エッセイ「舞台『光の檻』感想」 ※ネタバレあり
舞台『光の折』感想 ※ネタバレあり
正直言って、面白かったです。
春原と夏目と冬木が特に印象的でした」。いや、他の人達も印象的ではあったのですが。
春原はあの高身長と体格で心臓病を患っているというのが、大日本帝国の男児として恥だったんだろうなぁとやるせない気持ちが重かったです。
夏目は指が無い表現を軍手でカバーするとは考えたなぁ、吃驚しました。その手があったか!と素直に思いました。
冬木はパニック障害に陥る所がとても印象的で、私もこうなるだろうなと一番感情移入しました。
永田がとにかく格好良い。非常に冷静に記録として残す為に映画を作っていたのに、兵役でその生涯を終える。悲しい人物でした。
岩間も粋なキャラクターでした。最初は堅物かと思いましたが、実は見逃すという一番抜けているというか、優しいというか、温いというか……こう、人情に溢れた人物だと感じました。だからこそ最後は沖縄に行く事を命じられる。それは死を宣告された」も同然。しかしそれを待つ前に死んでしまう。実に悲しいキャラクターだと私は感じました。
紅山は様々な苦労が個人的にあったんだなと思うと、最後の脚を引き摺って出てくるシーンは冬木とこれからどうやっていくのか考えさせられるラストでした。後、これは個人的な考えですが、春原、夏目、冬木と来て春夏秋冬で統一するのかと思えば紅山。紅葉の一部という事で、まだ見習いだったから中途の名前になっていたのかなとか思いました。
梅子はもういたたまれないキャラクターでした。戦争で夫を亡くし、唯一の娯楽である映画も自分の夫を面白おかしく馬鹿にされたような感覚になる上映をされる。これは人間心理としてとても悲しい現実を突き付けられて悔しかったでしょう。
志摩は「バンザーイ!バンザーイ!」とされるシーンで心の底から喜べない。でも形だけでも喜ばなきゃいけない。この狂気の中にいなければならない。それは梅子の気持ちを理解出来た瞬間だったのでしょう。これほど絶望を味わった瞬間は無かったのではないかと思われます。
椿木は格好良いキャラクターでした。キャリアウーマンというか、世間に流されない、物静かな中に世間に対する苛々を感じる、切れ者のキャラクターだと思いました。後個人的に思ったのが、多分、永田とは何かあった関係だと思いました。
長は優しい性格で人を思いやるという気持ちが強いキャラクターでとても好印象でした。日本軍に攻められたのに恨みが無い。これが台湾人の優しさというか寛容さなんだなと思いました。
喜久子は依存先を求めるあまり、自分で自分の首を絞めるかのように、抜けられない状況になってしまっていたのかなと思いました。
佐渡さんはもう代々受け継いできた帝和館に本当に愛があったんだなと思いました。そして岩間との関係性も最後に和解出来たところは少しホッとしました。しかし永田を罵倒する所は流石に笑いました。永田の事が見えてないんだなと一発で分かるあの演技は素晴らしいです。流石ベテラン、と思いました。
最初、春原が咳き込むシーンは本当に体調が悪いのか。喉の調子が悪いのかと思わせる演技で本当に心配してしまいました。
そして初日のスコープは機材トラブルがあったのか最後の帝和館の映像が流されませんでしたが、それはそれで良いなと思いました。フラットでは流れましたが、良い意味であっても無くても味のある作品のラストになっていたように感じました。
そして最後の春原と夏目の最期の悪あがきがとても泣けました。角度的に夏目が片手だけ映写機に手を掛けて息絶えるシーンは二回目に観た時に本当にウルッと来ていました。あぁ、最後まで帝和館の人間だったんだ、と思わせる死に際でした。春原も最期一人ぼっちになって悪あがきというか、最後の力で敵を引き付けようとしたその大日本帝国男児の、せめてもの底力だったのではないかと思うと二回目観た時に「あぁ、死んじゃうのかよ……!これで……!」と悔しい気持ちが溢れて来ました。
ラストの冬木と紅山の再会シーンも熱かったです。あれから生き延びた紅山が冬木と手を取り合ってこれからの映画界を作り上げていく。これは非常に冬木にとってかなりの救済処置だった気がします。
総評として、歴史としては間違っていた日本でしたが、大日本帝国を信じていた国民にとっては全員が正義で、悪人では無かったという事に悲しさと無常さ、苦しさを感じました。
また再演する機会があれば是非ともまた見てみたいと思います。




