エッセイ『小学六年生の時の話』
『小学六年生の時の話』
小学六年生の時の話です。
当時、言っちゃ悪いのですが、学級崩壊したまま学年が上がっていった私の代のクラスは、とっても良い先生に出会いました。
怒る事は多かったものの、三年生の時のような理不尽さは無く、筋の通った教育をしており、また、やんちゃ坊主が先生にドロップキックしても黙って耐えているくらいタフな方でした。しかもそんな事をする生徒がいるにもかかわらず、先生は「私の力不足です。生徒に非は一切ありません」と言う気丈な振る舞い。
正直、この先生は大好きでした。
ただ、一回だけ私はこの先生に反抗した事があります。
それは「DEATH NOTE」です。
当時の私達は、DEATH NOTEがアニメ化されて間もない頃でした。
そして学校側から「DEATH NOTEは観てはいけない」という指導が入りました。
そこでその担任の先生も「DEATH NOTEは観るな」と言いました。
私は挙手し「何故ですか?」と聞きました。
学校側からすると「死神と仲良くなって人を殺す事を楽しむ残虐非道な不良の物語」という曲がった解釈をしたものでした。
「それは違います」と私は反論しました。すると先生は「成程」と少し考え込み「少しだけ時間をくれる?」と言ってきたのでその日は下校しました。
一週間後、先生は校長先生に、学校側の方針に強く反対しました。
DEATH NOTEはそんな軽はずみな「作品」ではないと言いました。どうやら一週間かけて、漫画を全巻読んだようでした。
私の意見をちゃんと聞いてくれ、最後まで生徒を守り切った先生でした。
そんな先生は先日、タイムカプセルを開ける際に来て下さり、少し話をしました。
「あら、河野君。お久し振り」
「お久し振りです〇〇先生」
「今は何をしてるの?」
「はぁ……役者をやってたんですが、今は諦めてニート中です……」
「あら、ニートになれるだなんて良いじゃない!」
「え?」
「それだけこれからの事を考えさせてくれるご両親って事でしょ?感謝してしっかり、未来で恩返しできるように頑張んなさい!役者も諦めないで!諦めたら、今度は別の楽しみを見付けないさい!私の自慢の生徒の一人なんだから大丈夫!」
こんな会話をして下さいました。
本当に最後まで優しい、今でも先生は先生だった、というのを書き残しておきたくてここに書かせて頂きました。




