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エッセイ  作者: 河野吉田
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エッセイ『祖母との別れの話』4

『祖母との別れの話』4


 母と話していました。

 最後に一回くらい、祖母を家に連れて帰る事が出来ないか。

 しかし家の前には階段があります。

 前に祖父の納骨の際、お寺に父と兄と私の三人がかりでお寺の階段を上らせました(しかも兄は何をどうしたら良いか分からずほぼ棒立ち状態)。

 施設にいて本人は「掴まる手摺りさえあれば歩ける」と言っていましたが、それは施設のあの程良い高さで両脇にある綺麗な手摺りがあれば2~3メートル歩けるだけで、今じゃ起き上がるのも、トイレに行くのも、果ては車椅子に移るのでさえ介護士さんの手を借りないと出来ない程弱っていました。

 まぁ施設に入るという事はそういう事だというのは重々承知していましたが、まさかここまでとは母と二人で愕然としていました。

 ご飯を買ってくるのが嫌ではない。ご飯を作るのが嫌ではない。食器を洗うのが嫌ではない。着替えを手伝うのが嫌ではない。おしめを替えるのが嫌ではない。ウンチを触るのが嫌ではない。

 問題は、夜眠れないという事だった。

 以前にも書いたように、自分(祖母)のタイミングでトイレに呼ばれるのでちょっとした外出も出来ず、特に私は毎週東京の病院に行かなければならないのでその日はハラハラしながら行って飛んで帰って来て、帰ってきたら大惨事、というのが常でした。

 本人は今でも「一人でトイレに行ける」と言っていますが、施設の人に聞いてみるともう全面介助だと言われました。

 また「風呂になんか入らなくても誰にも迷惑を掛けない」と言っていましたが、常に一緒に寝起きをしていた私は気付けませんでしたが、母と父が言うには臭かったらしいです。

 「じゃあもう無理じゃん」と思っていると、祖母が「『早く死ね』って言っておくれ。そうしたらすぐに死んでやるからよ」と冗談を言って来ましたが、心の底から「そんな事言える訳無いだろ」と答えるのが精一杯でした。

 今度、祖母を連れて出掛けなければならない予定があるので、介護タクシーが捕まり次第、行く予定です。

 その時に、約十か月振りにマクドナルドを食べさせてあげたいなと思う一方、家の近くまで来たら「一度で良いから中を見せてほしい」と言われるんじゃないかと思うと胸が苦しくなります。

 どうにか祖母を宥める方法を考えなければ……と思う日々を過ごしています。

 続きます。


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