エッセイ『病院帰りに子供さんに絡まれた話』
『病院帰りに子供さんに絡まれた話』
某月某日、平日昼間、皮膚科の病院の帰りに最寄りのスーパーに寄った際、おそらくお母さんと喧嘩したらしい四歳くらいの子供さん(男児)が突如私の下へ走って来て足に抱き着いてきた。すると子供さんが。
「もういい!僕、この人の家の子になる!」
そう言われて怒っていたお母さん。テンパった私は咄嗟に。
「ごめんね。オジサンはニートだから君の事養ってあげられないんだ……」
そう言うとお母さんが。
「グッ……!」
と一瞬、笑いを堪えていた。「養う」の意味は理解していたのか、子供さんは。
「ニートって何?」
と聞いてきたので、今度は目線を落として子供さんの肩を掴んで。
「無職って事だよ」
と答えると、お母さんはまたも。
「グフッ……!」
と笑いを堪えていて、「よしよし、もう一推しだ」と私は思った。子供さんが。
「無職って何?」
と聞いてきたので。
「働いて無いって事だよ」
と答えると、お母さんが。
「ブフゥッ!」
と、遂に噴き出した。内心「やったぞ……!」と私は思った。お母さんは子供さんの手を引いて。
「グフッ……!ほら!お兄さん迷惑してるでしょ!ブフッ……!すいませんでした~!ブフゥ!」
去って行きながら子供さんが。
「何であの人、働いて無いの~?」
とお母さんに聞くと、お母さんは笑いを堪えながら。
「グフッ……!人には人の事情があるの!ブフッ!」
そう言って去って行った。そんな笑いと悲しみを秘めた日。




