エッセイ『本屋で痴漢冤罪を掛けられた話』
『本屋で痴漢冤罪を掛けられた話』
某月某日、好きな漫画の新刊発売日に近所の本屋に寄った。元々一冊だけの予定が、気付けば十冊くらい手に取って、買い損ねていた巻がある漫画がある事に気付き、探していた。狭い通路を通ろうとした際、小学校五年生くらいの女子が立ち読みをしていた。その時リュックサックを背負っていたのでぶつかったら嫌だよなと思って前に抱え直し、両手で十冊以上の漫画を持って背面越しになりながら通り抜けようと思った。その際、私のケツポケットにあった財布が小学生女子にぶつかった。その時はスルーしたのだが、瞬間的にその小学生女子が「ち、チカーン!」と叫んだ。自分の事とは思わず、「何?」と思いながら振り返ると、その小学生女子が私の腕を掴んだ。そして店員さんを大声で呼び、店員さんが駆け付けてきた。「この人、痴漢です!」と小学生女子が言った。勿論、痴漢したつもりはなかったので「誤解です」と店員さんに説明したが、店員さんは店長さんを呼んで来て「裏で話を聞きましょう」と私と小学生女子を連れてバックヤードに向かった。小学生女子は泣きそうな顔で「このオジサンが私のお尻におちんちんを当ててきました!」と訴えた。私は「背中を向けていたので違います」と答えた。しかし店長さんは私の風貌を見て「君ねぇ、何でこんな事したの?」と疑いの眼差しを向けてきた。小学生女子も「こんなにエッチな漫画ばっかり買おうとしてる!性犯罪者!」と叫んでいた。「とりあえず警察呼ぶから」と通報された。暫くして警察官二人が到着。しかし警察官二人は私を見るなり「……ん?」と首を傾げ、顔を見合わせていた。警察官は「本当に痴漢してないんですよね?」と聞かれたので「はい」と答えると、小学生女子は「固かった!変態!」と言った。それを聞いて警察官は「今、勃起出来る?」と聞いてきたので「この状況で勃起出来る訳無いでしょう」と答えると「まぁ、ですよね……」とまた警察官二人で顔を見合わせてヒソヒソと何かを話し合っていた。では現場検証しようという事になり、さっきの通りに荷物と漫画を持ち、今度はわざと財布を小学生女子のお尻に擦り付けた。すると小学生女子は「あっ!この感覚!この感覚です!」と振り返ると、そこには私の財布が小学生女子のお尻に当たっていた。それを見て小学生女子は焦り出し、涙目になりながら「だ、だって、固くって、お尻に当たってて……それで……ご、ごめんなさい!」と叫んで走り去っていった。呆気に取られた一同は、一応、監視カメラの映像を確認しようとなり、確認してみると、さっきの再現通りに私はリュックサックを前に抱え、漫画十冊以上を両手で持ち、背中合わせで通り過ぎる私と、財布がぶつかった小学生女子の姿が映っていた。これを見て警察官は「これは冤罪ですねぇ」と私の背中をポンポンと叩いた。店長さんもハナから私を疑って高圧的だったので冷や汗を搔きながら「申し訳ありませんでした!」と頭を下げた。私は「良いんですよ」と言って漫画を購入し、警察官と共に帰って行った。その私の姿を見た他の客は「やっぱり痴漢だったんだ……」と言った声が聞こえてきた。「違ぇよ!」と言ってやりたかったが、グッと堪えて帰って行った。今思うと、根は悪い子じゃあなくて、純粋な子だったんだろうなぁ、と少しその小学生女子の事を哀れに思った。
この話を家に帰った時に母に話したら「そういう時は絶対に裏に行っちゃ駄目だよ!?身の潔白を証明する為に、堂々としていても、女側が『やられた!』って主張して警察呼ばれたらもう一発でアウトなんだからね!?今回はたまたま運が良かったから良かったものの、次からは気を付けなさい!只でさえデブで地味な服着てロン毛なんだから!」とお叱りを受けた。
皆さんもどうか痴漢冤罪にはお気を付け下さい。




