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エッセイ  作者: 河野吉田
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エッセイ]『病院の先生が強過ぎた話』

『病院の先生が強過ぎた話』


 某月某日、某病院にて。鬱病の症状がもしかしたら別の病気の可能性があるとの事でそこに向かった。大きい総合病院だった為、待機人数は軽く二百人超え。

 血液検査、MRI、レントゲンを終えて待っていると、私の前に座っていた老人男性がずっと大きい声で

「いつまで待たせんだよ!ふざけんな!いい加減にしろ!」

 と看護師さんに怒鳴っていた。看護師さんは「すみませんねー」くらいに流していたが、それが気に喰わなかったのか

「こっちは一時間も待ってんだぞ!冗談じゃねぇよ!」

 と叫んでいた。「まぁ私は三時間待ってるんですけどねー」とか思いながらその怒声をBGMとして聞いていた。

 いざその老人男性の番になり、診察室に入ると中からこんな会話が聞こえてきた。

「お前んとこの病院はどうなってんだ!?」

「ここは私の病院じゃないんでねー。私は雇われなんでねー」

「一時間も待たせやがって!」

「後ろに控えてるお兄さん(多分私の事)は三時間以上待たされてますけどねー」

「血液検査如き、すぐに終わるだろ!」

「血液検査と一口に言っても様々な物を一つずつ手作業で調べるんでねー」

「あんなに血を抜いたんだから看護師総出でどうにかなるだろ!」

「あれだけでしょー?いっそ二リットルくらい出してくれるなら良いですよー?それに、検査するのはアンタだけじゃないんでねー」

「さっきから何だ!?その態度は!?」

「話の通じない相手はしない主義なんでねー」

「おい!お客様は神様だろ!」

「客と患者は違うんでねー。勿論、従業員と医者も違うんでねー」

「もういい!二度と来るか!こんな所!」

「あっ、そーですかー。じゃあ手術の話は無かった事にしますねー」

「手術!?聞いてないぞ!?」

「まだ言ってませんからねー」

「先に言えよ!?」

「言う前に出て行こうとしたじゃないですかー?」

「分かったよ!言えよ!?何の病気だ!?」

「え?もう二度と来ないって仰ったんでデータ消しましたよー?」

「何でだよ!?職務放棄か!?」

「そうですよー?これは医者と患者は信頼関係なんでねー」

「患者を見捨てる気か!?お前それでも医者か!?」

「我々は慈善事業じゃないんでねー」

「じゃあデータを復元しろ!」

「完全に消しちゃったんで、また検査を一からやり直しですねー」

「今までの時間を無駄にするな!」

「それ、後に控えてる他の患者様の事を考えて言ってますー?」

「五月蠅い!良いからデータ復元しろ!バックアップあるんだろ!?」

「あ、バレましたー?でも勝手に消したり復元したり出来ないんで、少しお時間頂きますー」

「こんなのカタカタやるだけでどうにかなるんだろ!?すぐやれよ!」

「カタカタじゃ無理ですねー。なのでまた暫くそこで待ってて下さーい?」

「ふざけんな!訴えるぞこの野郎!」

「威力業務妨害で逆にこっちがアンタを訴えますけどそれでも良いんですかー?」

「分かったよ!待つよ!待てば良いんだろ!?」

「だから最初からそう言ってるじゃないですかー」

「じゃあ終わったらすぐ呼べよ!?待ってるからな!」

 そう言って老人男性が診察室から出てきた。

「またのご来店、お待ちしておりますー。あ、河野さーん?河野吉田さーん?〇番診察室へどうぞ―?」

 そう言って私が呼び出されました。お医者さん強ぇー……と思った日でした。


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