表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エッセイ  作者: 河野吉田
PR
10/36

エッセイ『実家がボヤ騒ぎになった話』

『実家がボヤ騒ぎになった話』


 2016年12月某日、悲劇は起こった。

 遡る事一日前。その日、大学時代の友人と飲んでいた。トークが弾み。気付けば終電の時間に。電車に乗ったが人身事故で遅延した。乗り換えが必要だったが、案の定、乗り換えの電車は出てしまっていた。ネカフェかカラオケに泊まろうと思っていたが、田舎だった為ネカフェもカラオケも無かった。前に乗っていた電車はまだあり、いっそ戻って友人宅に泊まろうかとも考えたが、流石に迷惑かなと思い止めた。散歩で二回程歩いた事がある道だったので、三時間もあれば帰れるだろうと思い、余裕だと思っていた。実際は酒が入ってフラフラだったので全然余裕ではなかった。四時間後、午前余事頃、無事、帰宅。祖父母を起こさないように風呂へ入り、その後就寝。就寝して三時間。酒がまだ残っている事もあったのか、半覚醒状態。祖父母が起きたのだろうと思い、二度寝。二度寝して一時間程経った時、突如祖母のこんな声が聞こえてきた。

「火事だー!」

 瞬時に覚醒し、何の疑いも無く跳び起きた私。「どこだ!?」と襖を開けると、そこには私の背丈くらいある火が点いたテーブルがあった。暫く凝視して「あ、火事か……!」と理解に数秒掛かった。すると祖母が「はい!」と言って消火器を私の前に置いた。それを見て私が固まっていて、「あ、俺が消すのか!」と口に出したら「当たり前でしょ!?」と何故か祖母から怒られた。

 この時、何故か冷静で、小学生の頃にやった避難訓練で学んだ消火器の使い方を思い出しながら火の元を目掛けて噴射し、すぐに消化出来た。歓喜の為、ベランダの戸を開けた。まさか小学生の時の避難訓練がここで役立つとは夢にも思わなかった。

 自分を落ち着かせる為に外で数回深呼吸した。火をちゃんと消せたかどうか確認しようとリビングに戻ると、まさかの事態が起こった。鼻から息をすると、煙が酷過ぎて呼吸が出来ず、家の中に入る事が出来なかった。さっきまで煙の中にいたのに、外で数回深呼吸しただけでもう中には戻れなかった。

「避難訓練の煙の下を潜るやつは視界の話だけであって、呼吸は無視してたんだ」

 とか考えていた。

 数分経ってから家の中に戻ると、母が二階から降りてきた、

「何があったの!?」

「火事」

「嘘っ!?」

 火が上っている所を見ていなかったからか、理解してもらうのに少しだけ時間が掛かった。母は火事が起こった部屋の真上の部屋で寝ていたので心配だったが、無事だったので一安心した。「まず消防に通報だね!」電話をすると消防と救急だけでなく、警察も来る事に。放火の可能性があるからだとか。

 ふと思った。「祖父ちゃんは!?」と。祖父は散歩に出掛けていた。父は?と思い母に聞くと「まだ二階で寝てる!」との事で、これだけ騒いでいるのに降りてこないのはもしや煙にやられているんじゃないか!?そう思い二階に行った。父は「何だ!?」とただ寝ているだけだった。あれだけ騒いでいたのに。まぁ無事で良かった。

 十分程で警察と救急が到着し、現馬検証が始まった。燃えた炬燵布団とテーブルを持って行かれた。母が状況説明をしている一方で私と祖母は救急車に乗せられ。病院に向かう事に。祖母は元々足腰が悪く、今回の事でショックがあり、常時フラフラだった。そこで救急の退院さんは私よりも祖母を担架に乗せ、私も同乗し、出発した。血圧や体温等、軽い検査をし、パニックを抑える為か適当な雑談を救急隊員の方が祖母としていた。そして本題に。

「第一発見者はお祖母様ですか?」

「はい」

「では消火の際の出来事をこれから聞いていきますね?まず……」

「あ、消火したのは孫です」

 救急隊員の皆さんが「えっ!?」と驚いた。慌てる救急隊員の皆さん。

「だってこんなにフラフラで……!?」

「祖母は足腰が悪いんです」

「あ、そうなんですか……じゃ、じゃあ改めて聞いていきますね?てっきりお祖母様が消火したものだと……」

「すみません……」

 隊員さんが困惑するのもごもっともである。

 病院に着くと、一酸化炭素濃度をチェックする為に採血する事に。腕を捲って差し出そうとすると「あっ、ベッドの上に横になって下さい?」と言われ、そのままベッドの上に横になった。「何故?」と思っていると、いきなりズボンを下げられた。「えっ?」と思っていると、股関節の血管からだと一酸化炭素濃度チェックが確実なんだとか。検査の結果を待合室で待っていると、祖母も出てきた。同じように採血されたらしい。少し待って検査結果を聞かされ、特に異常は無かった。会計を済ませ、タクシーで帰宅、家に帰ると警察も消防もっ帰っていた。そすて一旦落ち着いたところで祖父が帰宅。「何があった!?」と惨状に狼狽えていた。母の話によると、同じ話を何度も警察と消防に話したらしく「ドラマの『部署が違うもので』とリアルで聞くとは思わなかった」と少し笑っていた。

 今回の火事の原因は、テーブルの脚が電気炬燵のコードの上に乗っかり漏電して発火したらしい。加えてそのコードは祖父が延長の改造をしており、燃え易い状況を作っていた。これを言われ、祖父は酷く落ち込んだ。それもその筈。下手したら家を失い、家族も失うところだったからだ。その原因が自分にある事を知ると「皆、ごめん!」と珍しく祖父は謝った。祖父は某航空会社で整備員をやっていた為、こういった改造は色んな物にやっていた。

 とりあえず臭いが酷かったので消臭剤を大量に買ってきた。一通り作業を終えた後、ホッとしたのか体全体から力が抜けた。自室で寝る事に、意外にもすんなり眠れた。次に起きた時はもう夕方だった。臭いはまだあった。仕方ない事だが。そして早めの夕飯を食べ、ふと思った。

「昨日、。夜通し歩いて帰らなければ、最悪の事態になっていたかもしれない……!」母の話によると、火事の時、煙が上がっていた事に気付かなかったらしく、下手したら煙を大量に吸って一酸化炭素中毒で死んでいたかもしれない、との事だった。何故か飛び起きる事が出来た私がいなければ、足腰が悪くてパニックを起こしていた祖母だけでは家を、何より家族を失っていたかもしれない。そう思ったX(当時Twitter)で今回の事を呟いたら昨日一緒に飲んでいた友人から安否の確認が入った。「大丈夫」と答えたが、何故か友人は「俺のせいだ……」と落ち込んでいた。意味が分からない。「心配掛けてごめん。ありがとう」と言っておいた。

 火事なんてドラマやニュースの話で、自分には無縁な話だと思っていた。でもこの日で考えを改めた。火事に限らず、色んな事件や事故は身近にあるのかもしれないのだと認識させられた。今回たまたま私の判断が瞬時に出来たが故に大事には至らなかったが、深い眠りに着いていたり、祖母の叫びを信じずに眠っていたらどうなっていたか。

 皆さんもどうか他人事と思わず、お気を付け下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ