デスソシエの組織
健司達が次の街へと出発した頃、南の山 ノースリエ山と呼ばれる山がある。ここは木が生えない場所で、常に岩と石が多い山である。そこのふもとに、小さな屋敷がある。
緑色の屋敷で、塀に囲まれているところだった。
ここは、かつて資産家が暮らしていたが、資産家がなくなると、財産を相続するものがいなくなり、廃墟となっていた。
そこに、ある魔女達が暮らしていた。
デスソシエの組織の魔女達だ。
そこに1人の魔女が入ってきた。
髪は漆黒の髪で、後ろの髪を縛っていて、片目を髪で隠している髪形だった。
名前はクロエと言う。
「カテリーナ様、大変です。ミイナが支配していたディーバ、それに、ルナが支配していたダサンが何ものかにより、解放されました。」
クロエが話しかけた先に、円卓のテーブルに座っていた何人かの魔女がいた。
その奥に座っていたデスソシエのボス金髪の魔女カテリーナが、苛立ちを見せていた。
「何!あそこはクロエの指導していた魔女達が治めていた街だ。そう簡単に破れるとは思えない。一体何ものだ?」
クロエは恐る恐るカテリーナを見ながら、
「1人は人間の男、2人は魔女です。」
別の魔女、眼鏡をかけた魔女が
「魔女?どこの魔女だ?」
クロエは更に続けた。
「分かりません。ただ、その者達は西から来たみたいです。それに、魔法が異質です。ルナの暗闇魔法を破り、私の魔法を無効化しました。」
その場にいた全員が驚いた。
「嘘ですよね?クロエの闇魔法は、私達でもそう簡単に破れない。どんな魔法だったんですか?」
クロエは、ある推測を立てた。
「私の魔法は光が弱点なので、光魔法かと思いましたが、私はその魔女のある言葉に注目しました。精霊、と。もしかしたら、あの組織の一員かと思いました。自然を愛する組織だと。」
クロエの話しを聞いていたカテリーナは、机をバン、と叩きながら、
「ちっ。まだ、他の組織が争う気がないのに。となると、次の街は洗脳の魔女が支配していたな。」
カテリーナがちらっと、白銀の魔女を見る。
「はい、カテリーナ様。クロエが警戒するほどの相手、私が直々に行きましょうか?」
カテリーナは、白銀の髪の魔女を見ながら、
「珍しいな。任せるよ。洗脳の魔女とおまえがいれば、撃退できるだろう。頼んだよ、ソレイユ。」
白銀の髪の魔女 ソレイユは、頷いた。
「お任せください。私達の夢の為には、これ以上街を取られる訳にはいきませんから。」
カテリーナは自信満々気に頷いた。
「そう。ソレイユの魔法なら、どんな相手でも、苦戦するだろう。みんな、一旦これで解散よ。」
カテリーナがそうに言うと、みんなぞろぞろと、解散していった。
クロエもその場を離れて、外に出て、小さな屋敷から少し離れた場所に行くと、そこで安堵のため息をついた。
ふぅ。とりあえず、疑われずに済んだわね。次の街は洗脳の魔女か。あの子ね。あの子だけなら、何とかなるかもしれないけど、ソレイユが動いたとなると、厄介ね。大丈夫かしら。
クロエが考え事をしていると、後ろから近づく音が聞こえてきた。
2人くらいの人の足音がする。緊張感が漂ってきた。
誰?まさか、ソレイユ!
クロエが手に闇の魔力を溜めて、魔法を放そうとした。
それを後ろから近づいてきた人に手を捕らえられ、魔法が消えた。
「危ないなぁ。私だよ。」
赤髪の魔女が驚いた顔でクロエの手を離した。
もう1人黒髪のショートカットの魔女が穏やかな顔で、
「クロエ。何を1人で考えているの?」
クロエは安堵した。この2人は、デスソシエの中では1番信頼できるからだ。
「何でもないよ。」
赤髪の魔女は、クロエの額に指を押し付けた。
「嘘だな。さっきカテリーナ様に嘘ついたでしょう?」
クロエはギクっとした顔をした。
「ばれてたか。確かに、嘘はついたね。さっき話した魔女は、はぐれ魔女に違いないわ。」
ショートカットの黒髪の魔女は、驚いた顔をして、
「はぐれ魔女!4人くらいと言われている魔女か。それで、クロエは何故嘘ついたの?」
クロエは目を静かに伏せた。
「私、思うの。魔女だけの国では限界がくる。ただ、だからといって、人間と組む気にはならない、以前はそう思っていた。でも、見たの、彼らを。あれがあるべき姿なんだって。それに私の魔法を簡単に破ったの。あれは恐ろしかった。」
赤髪の魔女はクロエの心情を納得して、
「クロエが言うなら、私は信じる。私もカテリーナ様の考え方にはついていけない時はある。しかし、クロエの魔法を簡単に破ると、厄介だね。で、クロエはこれからどうするの?」
クロエは空に広がる果てしなく青い空を見て、
「何もしないわ。今はね、成り行きを見届けるわ。ただ、彼らはここ、デスソシエの拠点までくるわ。何となく、ね。」
ショートカットの黒髪の魔女は、クロエを抱きしめて、
「大丈夫。クロエのことはどんな事があっても、私達がいるよ。」
クロエはその言葉を聞いて、
「ありがとう。またね。」
3人はそこでそれぞれ別の方向へ向かった。
それをじーっと見ている魔女がいた。
3人からは認識ができないくらいの遠さで、木の影で呼吸音すら聞こえないくらいの人物だった。
その人物は、眼鏡をかけている魔女だ。
やはりか。全てを話していないとは思っていたが、はぐれ魔女を隠していたとは。だが、どうする?カテリーナ様に言えば、クロエ達は抹殺対象になるだろう。
クロエ達の実力は捨てがたい。どうしたものか?
そこに、後ろから歩く音が聞こえてきたので、振り返ると、女性がいた。
彼女は、黄金の髪で、優しそうな魔女で、デスソシエの一員の1人だった。
「こんなところで何をしているんですか?」
眼鏡の魔女は、悩みながらも打ち明けた。
「ちょっとね。クロエ達が裏切るかもしれない。しかし、まだ確定はしていない。どうしたものか。」
黄金の髪の魔女は、邪悪な笑みで
「大丈夫ですよ。たとえ裏切ることがあっても、私達は揺らがない、そうでしょう?それに、クロエ達が裏切る原因がミイナ達を破った魔女でも、次の街にはソレイユがいます。ソレイユが現実を教えてくれるでしょう。」
眼鏡の魔女は目を閉じて、笑った。
「ふっ。確かに、ソレイユなら安心だ。何も起こりはしない。」
健司達は次の街でもどんな事が待っているのか、想像もつかない。けど、デスソシエの企みを破ることはできるのだろうか。




