本性
シーリンは、周りの景色が太陽の街ザサンに戻ると、健司、ハレッサ、アウレリアがいるのが見えた。
シーリンはいつも通りの笑顔に戻り、健司に話しかけた。
「健司さん、会えてよかったです。ついでに、ハレッサも。」
ハレッサはニコニコしながら、シーリンに話しかけた。
「シーリン、あなたのこと全部見たわ。健司君もね。」
「何のことでしょう?私にはわかりませんが。」
「とぼけなくたっていいよ。シーリンがまさか、あんなに冷酷だったなんて、健司君に嫌われたね。」
ハレッサは、指をさした。
指をさした方向を見ると、アウレリアとおびえきっているガーネットがいた。
シーリンは、それでも笑顔を崩さなかった。
「ふふふ、あれは正当防衛ですよ。誰だってあんなこと言われたら、切れますよね?」
健司がここで恐る恐るシーリンに話しかけた。
「シーリンさん、怒るとあんなに怖いんですか?相手はあんなに怯えきってますが。」
シーリンは健司を見て、一瞬だけ動きが止まった。
健司の目を見て、怯えてるような感じを受けたからだ。
「健司さん、私も1人の人間です。誰だって感情があるんです。それも大事な人に対しては、私も感情のコントロールは、効かないんです。」
健司は少しだけ、安堵したような顔した。
「そうでしたか。いつもは優しい人なんで、シーリンさんのあんな顔初めて見ました。よかったです。いつものシーリンさんに戻って。」
健司の肩を叩いたものがいた。
健司が振り向くと、ハレッサだった。
「健司君、騙されちゃだめだよ。それもすべて、シーリンの作戦なんだから。もしかしたら、あれがシーリンの本性かもよ?」
シーリンの雰囲気が変わった。
柔らかい雰囲気だったのが、今は冷たく重い雰囲気に変わっていった。
「ハレッサ、あなたも対して変わらないのでは?」
ハレッサは更に、シーリンに対して、棘のある言葉を言った。
「相手を攻撃して、傷ついたのを回復して、また攻撃する。そんなのただ弱いものイジメじゃない?シーリン、あなたには情がないの?」
「ハレッサ、あなたには言われたくありませんね。あなたこそ、健司さん以外は何も興味示さないじゃないですか?ハレッサ、どちらがふさわしいか、健司さんに決めてもらいますか?」
急にシーリンにふられた健司は、オロオロとし始めた。
(シーリンさんとハレッサさん、どっちかに味方にしたら、片方が不機嫌になる。どうしたらいいのか?
…………そうだ!もうこれしかない。)
健司はアウレリアを指差して、シーリンとハレッサに言った。
「アウレリアさんが1番ふさわしいと思います。彼女は、どんなことでも余裕がありますから!」
シーリンとハレッサは、ニコニコし始めた。ただ、手に魔力を宿して。
「健司さんも酷ですね。アウレリアを倒した方がふさわしいということですね。」
「あははは、健司君、わかったよ。それで決めようか?」
健司は、え?という顔をした。
健司は慌てて、2人を止めようとした。
「待ってください!2人とも、落ち着きましょう。」
3人が何やら話してるうちに、アウレリアは、リーベル、ガーネットを見て、さすがに余裕がなくなった。
(ガーネット、リーベルも決して弱くはない。いろんな魔女とも対決してきた彼女たちが、戦意を喪失するなんて!ハレッサ、シーリン、彼女たちは化け物だわ!見誤っていた。彼女達は、健司という檻に入っていただけなんだ。)
アウレリアがいろいろと考えているうちに、ガーネットが怯えながら言った。
「アウレリア様、あいつは危険です。人の心など、ないようなものです。」
シーリンは、ガーネットの言葉にすぐ訂正した。
「違いますよ。心はあります。親しいもんだけにね。」
シーリンの目が、ガーネットをまっすぐとらえていた。
ガーネットは怯えたように、震え出した。
その時、周りの景色がある屋敷の部屋の中に変わった。
そこに映し出されたのは、アウレリアとガーネット、リーベルだ。
アウレリアは、それを見て、目を見開いた。
ガーネット、リーベルが話した。
「アウレリア様、アウレリア様の親しい令嬢たちがアウレリア様の悪口を。」
「アウレリア様、この手口は、あいつらの仕業です。それでも、私たちはいつまでもついてきます。」
アウレリアは、紅茶をすすりながら、ガーネット、リーベルを元気付けた。
「心配しないで。彼女たちだって、やりたくてやってるはずじゃないから。」
アウレリアは、幻想を消すように言った。
「これは幻想だ。そして、私は信じる、あなたたちを!」
幻想が消えて、太陽の街ザサンの風景にまた戻った。
健司は幻想について、違和感を持っていた。
「シーリンさん、この魔法は一体何なんですか?アウレリアさんの幻想が?」
「おそらくですが、この幻想は、言葉によって、反応するみたいですね。人は、言葉でイメージしてしまいます。多分、親しい人に反応したみたいですね。」
ハレッサは納得したような顔で言った。
「なるほどね、じゃあ、彼女達が何目的に動いてるのか、大体わかったね。」
「ええ、アウレリア、あなたの事は調べましたよ。あの国で。」
アウレリアの表情が一瞬だけ変わった。
しかし、いつも通りに優雅な女性に戻った。
「あの国?何のことかしら?」
アウレリアは、シーリンの言葉にとぼけた。
シーリンは、更に続けた。
「あなたは、人望がありすぎた。令嬢でありながら、令嬢はもちろん、組織の中でも支持されていた。それが気にくわない連中によって、追い出された。」
アウレリアは、黙ってしまった。
ガーネットが叫ぶように言った。
「おまえらに何がわかる!私たちは変えようととしたんだ、あの国を! 」
ガーネットの主張に、健司が全くわからなかった。
何一つ、わからなかったのだ。
あの国についても、世界についても、何も。
しかし、これから知ることになる。
この世界に一体何が起きているのか?




