永続魔法
ハレッサは、じっと冷たい目でアウレリアを見た。
「健司を離しなさいよ!」
アウレリアは健司を離して、ハレッサから1歩後ろに下がった。
アウレリアは、ハレッサからの並々ならぬ雰囲気を感じたが、それでも強気を保った。
今、この街ザサンはアウレリアの魔法 イリュージョン・ワールドにかかっている。
この魔法の範囲内にいるものは、誰しもがイメージすれば幻想にかかってしまうからだ。
アウレリアも例外ではない。
「ハレッサ、あなたをみくびっていたわ。まさか、リーベルの魔法すら効かないなんてね。ただ、あなた達の仲は、壊れたのも当然よ。」
ハレッサは、チラッと健司を見た。
健司がハレッサを見る目は、少し怯えてるように見えた。
「健司君……。」
ハレッサは少し悲しそうな表情をした。
(健司君、信じて。確かに、私の本性はあんな感じだけど、健司君に危害をくわえるなんて絶対にない。それだけは真実。信じて…………健司君。)
健司は、ハレッサに対して怯えながらも、重い口を開いた。
「ハレッサさんの夢はなんですか?2人だけの世界がいいんですか?」
健司が怯えている理由はそこにあった。
ハレッサの本性見たからではない。
ハレッサが2人いればいい、と本当に思っているのか、知りたかったからだ。
ただ、もし本当に思っていたのだとしたら、恐怖を感じたからだ。
「私の夢は、……健司君と一緒に暮らすことよ。これからもずっと。でも、2人だけの世界はつまらないわ。だから、ルメ、シーリン、エルフェリアも一緒よ。」
健司は、ハレッサの答えを聞いても、不安だった。
(ハレッサさん、ルメだと思っていた攻撃は、敵そのものに対する攻撃に見えました。あれでも、仲間だと言えるんですか?)
健司は、ハレッサに対して、1歩後ろに下がった。
ハレッサは、健司が何をそんなに怯えているのかがわからなかった。
「健司君、なんでそんなに怯えてるの?」
「ルメに対しての攻撃は本物に見えました。あれでも、敵じゃないって言えるんですか?」
ハレッサは、健司が言いたいことがよくわかった。
手をぎゅっと握り締め、緊張しながら話した。
「健司君……ルメだけじゃなく、シーリン、エルフェリアもだけど、私たちは仲間であり、家族であり、ライバルでもあるの。お互いを高め合う仲かな。」
ハレッサは、さらに続けた。
「この旅を思い出してみて。私たちは喧嘩もあったけど、誰か1人がかけては成り立たなかったでしょ?私たちはそういう関係、健司君、あなたがいなきゃ、この旅もなかった。」
健司は、ハレッサの言葉に、心が揺れ動いた。
(そうだ!この旅は誰かがかけても、無意味なんだ。お互いを高め合うか……。みんな成長してるんだ。色んな魔女に出会って、いろんな考え方がある。僕たちは旅しているんだ。なら、僕は彼女達を信じる。どんな本性があっても!)
「ハレッサさん、信じます。あなたの本性でさえ、それもハレッサさんの一部だと。」
ハレッサは、涙を流しながら、喜んだ。
「健司君、ありがとう!」
ハレッサと健司は、お互い近づいて、抱きしめた。
それを見ていたアウレリアは、苦々しくもイラついた表情で、話した。
「大した茶番ね。そんなものはいくらでも崩れる。たったひとつのきっかけが、あればね。」
ハレッサは、アウレリアが何をうらやましいのかがわかってしまった。
(アウレリアが幻想を使うのも、トラウマがあったから使えるということか……。仲間?絆?この幻想では、夢に関するものだった。なら……。)
「あなたが何が欲しいのか、わかっちゃったわ。」
アウレリアは、ハレッサに対して鼻で笑った。
「フッ。あなた程度に何がわかるの?」
「アウレリア、あなたが欲しいのは心の仲間。そうでしょ?それなら全てが説明がつく。」
アウレリアは、仲間と聞いて、激昂した。
「黙りなさい!仲間など所詮、邪魔なだけだ!私たちが信じるのは、この世は幻だ!」
その時、周りの景色が変わっていき、ある建物の中の会場みたいな場所に移された。
ドレスを着た女性が話しかけてきた。
「アウレリア様、いつも美しくてうらやましいです。」
また、ドレスを着た別の女性がアウレリアに話しかけた。
「アウレリア様、相談事があるのですが……。」
アウレリアは、急に叫んだ。
「これは幻だ!現実ではない!」
周りの景色は戻り、太陽の街ザサンの風景に戻った。
ハレッサは、アウレリアがどういう人なのかを考察してみた。
「アウレリア、あなたもしかして、お嬢様じゃないかしら?そしてあなたがたびたび言う、信じる、という言葉はある組織と結びつく。」
健司がハレッサの言うある組織について、聞いてみた。
「ある組織ですか?」
「そう。その組織は、トップの人が神みたいな人だってさ。そしてその組織に反抗して抜けたやつがいる、っていうのを、エルフェリアから聞いた。その抜けたやつって言うのが、上品で優雅な魔女らしい。あなたのことね、アウレリア?」
アウレリアの表情が一変した。
今までに見たことがない位、憎悪をした目でハレッサを見た。
「それがどうした?そんなことわかった位で、お前たちにはどうすることもできない。私の魔法 イリュージョン・ワールドは、幻だと見破らない限り、永遠に続く。この魔法は、永続魔法だ。この街にかけたものも永遠に続いている。私たちがこの街を占拠したその日からな!」
ハレッサと健司は、アウレリアの魔法に驚いた。
「馬鹿な、そんな魔法が続くなんて!」
「それじゃあ、幻だと思わない限り、覚めないと言うことですか?」
アウレリアは、優位に立ったのか、余裕な表情で話した。
「見てみなさい。彼女たちを。まだ、覚めてない。この幻から。私たちの勝ちはゆるがない。」
健司とハレッサは、まだ幻からさめてないシーリン、ルメ、エルフェリアが立ち尽くしていた。
アウレリアが笑いながら話した。
「ふふふ。見てみましょうか、次はシーリンの夢を。」
周りの景色は、シーリンが見る夢へと変わっていった。




