幻想の魔女アウレリア
デスソシエのボス 風速の魔女カテリーナが健司の説得により、完全に戦意を喪失した。これにより、デスソシエと健司達のいざこざは、集結した。
シーリン、ルメ、ハレッサは、健司に対して、目を細めた。
「あれが希望ってやつですね。」
「まさか、本当に説得しちゃうなんてね。」
「まぁ、それが健司の長所でもあるけどね。」
クロエ達もこれには驚きを隠せなかった。
「ありえないわ。こんな魔法、未知の魔法だ。」
「確かにね。でも、戦いは終わった。これでよかったのよ。」
「クロエの言う通りになったね。まさか、カテリーナの戦意を喪失させるとは。」
クロエ達は、カテリーナにかけよった。
「カテリーナ!あなたが認めるとはね。」
カテリーナは、クロエ、ヴェリシア、リセルを見た。
かつての優しい目で、あの時初めて会ったような顔で。
「クロエ、ヴェリシア、リセル。私は間違っていたよ。クロエの言う通りだ。魔女だけでは限界があると、思い知らされたよ。」
クロエはそんなカテリーナを見て、笑った。
「そうよ。命令口調のカテリーナは、似合わないよ。1番天然なんだから。」
カテリーナは顔を真っ赤にして、否定した。
「そんな事は無いわ。ちゃんとボスらしくしていたでしょ。」
そこに、エルネア、ソレイユ、リーネ、セレナがやってきた。みんな、満身創痍の状態だった。それでも、やってきた。かつて、この山ノースリエで初めて会ったときのように。
「カテリーナはボス失格だね。」
「そうだね。クロエ達を処分する時は、ヒヤヒヤしたものだよ。」
「カテリーナもただの女だったね。」
「これでよかったかもしれません。また、1からやり直しましょう。」
デスソシエの面々は、仲間だったときの関係のように、上下関係もなくなり、対等のような関係で話していた。
それを見ていたエルフェリアは、健司に駆け寄り、
「健司、よくやったね。最終的には、話し合いで解決したね。」
健司はエルフェリアを心配そうに見ていた。
「エルフェリアさん、大丈夫ですか?敗北すると心配していました。」
エルフェリアは急に機嫌が悪くなった。
「誰が敗北するって?私はまだ負けてないよ、誰がそうに言ったの?」
健司は後ずさるように、エルフェリアから距離を保ち、
「えっと……シーリンさんが、勝ち目がないって言うから。」
そこに、シーリン、ハレッサ、ルメがやってきた。
彼女たちはエルフェリアに対して、優越感を感じるように、
「事実でしょ。膝をついてたじゃない?」
「健司に感謝しなきゃね。いなかったら、負けてたと思うよ?」
「まったく、いつも余裕、ぶってるから、こんなことになるんですよ。」
エルフェリアは、みんなの顔を見て、観念した。
「はいはい。さて、危機はまだ終わってない。この場を操っている黒幕が何か仕掛けてくるはずだよ。みんな、気をつけて!」
健司が何かを言おうとした瞬間、異変は起きた。
健司がイメージで作り出した魔女と人間が暮らす街から一変したイメージが現れてきた。
街は燃え、人々の叫び声が聞こえて、女の笑い声だけが印象に残っていた。
カテリーナは急に怯え出し、震える体を両手で抑えるようにしていた。
「この光景は!あの時と一緒、あの魔女たちが侵略してきた時と全く同じ。」
聞いたこともない女性の声が聞こえてきた。
みんながそっちのほうに向けると、注目した。
何より注目したのが、まるでお嬢様のような、上品で、優雅な女性で、ローブを着ていなかったからだ。
そのそばには、2人の魔女がいた。
カテリーナとソレイユは、すぐに気がついた。
「お前は、幻想の魔女アウレリア!まさか、全てを仕組んだのは、お前たちの仕業か!」
アウレリアは、ただ笑っていた。
「ふふふふふふ……。笑えるわね。全ては、私の手のひらの上。ソレイユが街から逃げ出した時から、ずっと見ていたのよ。それで、あの場面を目撃した。」
カテリーナは怪訝な表情をした。
「あの場面?何を言っているのかしら?」
アウレリアはただ一言言うだけで、カテリーナ達を絶望に追い込んでやった。
「ルゼー……。あの戦いは面白かったね。希望が打ち砕かれる瞬間を。」
デスソシエの面々は、アウレリアの言葉に怒りがこもった。
「あれもお前たちの仕業か!許さない!」
アウレリアは、即座に否定した。
「違うわ。あれは私たちではない。でも、力のない魔女は淘汰される。違う、カテリーナ?」
カテリーナは過去のトラウマを思い出していた。
なす術もなかったある魔女達のことを。
アウレリアは、さらに言葉を続けた。
「カテリーナ、あなたの魔法、ある魔女にそっくりだよね。風魔法においては1番だと言う魔女に……!」
カテリーナは完全に黙ってしまった。
そんな時、健司がアウレリアに話しかけた。
「もし、力がすべてだと言うなら、あなたたちは負けているんです。すでに。」
そこまで余裕だったアウレリアの表情が冷たかった。
健司を見る目がさけずんだ目をしていた。
「健司と言ったかしら?あなたに何ができると言うの?ただ、はぐれ魔女たちに守られているだけじゃない?」
健司はアウレリアの言葉をただ聞いていた。
そして、健司はイメージをした。
アウレリアさんは、おそらく心で支配しようとしている。彼女たちの得意な事は、幻想を見せること。なら、僕のやる事は……。
健司は今目の前にある街が燃えてるイメージを草原に桜がただ舞い散っているイメージをした。
すると、街は消え、草原に桜が舞い散っている場面になった。
アウレリアは苦々しく健司を睨みつけた。
「だから何。あなたがどんなイメージをしようが、私の幻想には勝てない。」
健司はアウレリアに対して、ある言葉を言った。ただそれはアウレリアにとって確信をつくものだった。
「幻想って素晴らしいと思います。なぜそれを現実にしないんですか?なぜ行動しないんですか?それだけの力があるのに。あなたは諦めてるんですよ、アウレリアさん。」
アウレリアは急に動きが止まった。
いや、怒りが増しているのだ。
「面白いこと言うのね。いいわ、私たちの所まで来るがいい。歓迎してあげるわ、太陽の街 ザサンでね。そこで、どちらが正しいのか、決着をつけましょう。」
アウレリアは、そう言って、そばにいた魔女2人とともにその場から去った。
それと、同時に、南の山ノースリエは、木が生えない山へ戻っていった。
カテリーナたちは、そこで初めて気づいた。
最初から彼女達の幻術にかかっていたことを。
「私たちは、最初から、彼女たちの手のひらの上だったのね。」
カテリーナ達にかかっていた幻術も解けていった。
こうして、健司が目標にしていた南の山ノースリエについて、魔女達を救う目的は、一旦叶ったのかな、と健司は感じていた。
ルメは、そんな健司を見て、静かに抱き寄せた。




