回復の魔女リーネ
健司達は、デスソシエの連携攻撃に、苦戦を強いられていた。
セレナの遠距離攻撃、ソレイユの一点集中攻撃、カテリーナの撹乱に、エルネアの指示、そして、リーネの回復。
全くの隙のない攻撃に、防戦一方だった。
その時、セレナの月魔法メテオスター がハレッサの体に目がけて、無数の月が高速で光輝いて、降ってきた。
ハレッサはたまらず、避けきれないと思い、打ち消そうとしたが、それよりも先に、メテオスターがハレッサの体に命中した。
「ぐっ。痛いわね。」
ハレッサはギロっと、セレナを睨んだ。
セレナはそんなハレッサの姿を見て、
「勝負あったわね。いかにあなたが出鱈目な魔法使おうとしても、遠距離には勝てない。」
セレナの月魔法メテオスターが、またハレッサの体に命中した。
ハレッサは吹き飛んでしまい、そのまま地面に倒れた。
健司が叫ぶ。
「ハレッサさん!」
この状況を見たエルフェリア、シーリン、ルメは、まずいと感じた。
ルメは、ハレッサの馬鹿と思ってしまった。
ハレッサ、あんたなら、あの攻撃よけられたでしょう。
避けられなかったのもわかっている。
あの攻撃をよければ、健司達に当たるから、ワザと避けなかったんでしょう。
あのクソ女が!
一瞬だけ注意が散漫になったため、ルメも腕に、ソレイユの魔法サーンランス の攻撃をまともに受けてしまった。
ルメはたまらず、後退した。
「ちっ。熱い。想像以上の攻撃だね。あなたたちの腐った攻撃には、ヘドが出るわ。」
ソレイユは勝ち誇こった顔で、
「これが戦いだよ。あなたたちみたいなあまちゃんでは勝てないんだよ。そうそう、後ろにいる人間の男は、誰が好きなんだろうね?まぁ、口の悪いあなたじゃない事は確かだ。」
ルメは、拳を強く握った。
ルメの目には、怒りのこもった目をしていた。
シーリンがすぐ叫んだ。
「挑発に乗らないでください。ルメ。」
ルメは怒りのあまり、地面を蹴った。
ここで回復の魔女リーネが勝利宣言をした。
「私たちの勝ちですね!あなた達など、初めから敵ではなかったのです。特に、人間の男さえいなければ、勝負はわからなかったんですがね。」
この言葉に、エルフェリア、シーリン、ルメは、異様な雰囲気を醸し出せていた。
そんな3人を見たリーネは、
「事実でしょう。現に、彼を守る行動が私たちに優位に立たせた。」
エルネアはそんなリーネに対して、
「言い過ぎだ。やめろ。」
「やめませんよ。私たちが追い詰められたのも、彼らのせいなんですから。それにこんなこともできますよ。」
リーネが杖を地面に叩くと、深緑の魔力が集まっていき、その魔力がルメに浴びせた。
ルメは急にダメージを受けて、膝をついた。
ルメはこの魔法の正体がわからず、驚きを隠せなかった。
「何、この魔法は。急にダメージがきた。」
リーネが自分の魔法に種明かしをした。
「この魔法は、アンチヒールといいます。私が治した傷は、取り除いているだけなんです。それを相手に移してるだけです。」
ソレイユが膝をついているルメに対して、
「わかったよね?つまり、私たちは無敵だって言うことだよ。」
健司は、普段なら倒れているハレッサ、膝をついているルメを心配するところだが、リーネの魔法を見て、関心を抱かずには、いられなかった。
すごい!魔法って、本当にいろいろあるんだ。
なら、僕にも真似できるかな?
どうやって、やればいいんだろう?
そうだ!彼女たちの立っている場所を回復エリアにしよう。
健司は、ひたすらイメージをした。
回復!回復!回復!回復!
すると、倒れていたハレッサ、膝をついていたルメは、体が軽くなったと同時に、何かが入ってくる感じを受けた。
「何これ!体が軽くなった感じ!」
「いやいや、驚いたね。こんなこともできるなんて思わなかったよ。」
これには、デスソシエの魔女達は、わけのわからない顔をしていた。
「は?これは、リーネの魔法?」
「ありえない!」
「リーネの魔法を使うなんて!」
「嘘でしょう!」
リーネが1番困惑していた。
「嘘?どうやって?人間、何をしたの?」
健司は、リーネに向かって、
「回復のイメージをしました。リーネさんの魔法が素晴らしかったので。だから、僕たちが立っている場所を回復のエリアにしようかな、と」
リーネは健司の言葉を聞いて、
「すばらしい?私の魔法が?そんなこと、誰にも言われたことがなかった。そうか。自分だけを見ていれば、こんなことにならなかったのに。」
リーネはかつて、医者ですら治せない傷を治してしまったことにより、街から追い出された過去がある。
無自覚で治してしまったので、みんなに気味悪がられた。
健司か。クロエ達が信じるのも納得ですね。何だろう?敵だと思っていたのは、間違いなんですね。今は、信じてみようと思う。
リーネは健司の方を見て、
「私は、健司の魔法は魔女を救う、と思っていますよ。期待していますよ。」
その言葉は、リーネが降参を示し、クロエ達も驚いた。
「嘘でしょう?」
「あのリーネが!」
「人間を認めるなんて!」
エルネアがリーネに掛け寄った。
「リーネ!なんで?」
「エルネアさん、私はなぜ彼らを敵と思ってしまったんでしょうか?今ならわかります。何者かの魔法に私たちは受けている。違いますか?」
エルネアは、リーネの言葉に思うところはあった。
確かに、いつもと違うところはあった。
一体何の魔法なんだ?
エルネアは答えが出なかった。
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優雅で上品な魔女は、健司を興味深そうに見つめていた。
「面白いわね。一体何の魔法かしら?それにあなたの魔法も解けるなんてね。」
聞かれた魔女は、
「驚きです。解かれたことなんて、一度もありません。」
優雅で上品な魔女は、
「まぁ、でも、操っているのは、私たちだから!」
岩の影に隠れながらも、戦況をじっと見つめていた。




