待ち伏せ
健司達は、影の街バリッテを1夜泊まり、翌朝、南の山ノースリエのふもとにあるデスソシエの本拠地を目指すことにした。
そんな時、クロエ、ヴェリシア、リセルは、健司達にこう注意した。
「この先は、デスソシエの本拠地がある。そして、ボスと幹部がいる。だから、私たちも一緒に行くよ。それが私たちのけじめだから。」
いつの間にか、ハレッサは健司にぴったりとくっついて、
「健司君は渡さないよ。私のものなんだから!」
その言葉に、エルフェリア、ルメ、シーリンはカチンと来た。ハレッサの自由さにイライラしていたからだ。
「はぁーい、誰もあなたを認めてないけど。」
「あんたなんか、お姉さんしか見られてないよ。」
「いい加減にしてください。健司さんはまだ誰のものでもないんじゃないんですから。」
ちょっと、一触即発の雰囲気が漂っていた。
健司はこの流れが喧嘩になると感じていたからだ。
やばい、何とかしなきゃ。そうだ!
クロエさん達を利用しよう。
健司はハレッサのもとを離れ、クロエさん達に近づき、リセルの手を取った。
「リセルさん、綺麗ですよね。ヴェリシアさんも美人ですし、クロエさんはミステリアスな雰囲気があります。」
3人は健司にこんなことを言われて、顔が赤くなった。
3人は男性に免疫がないのだ。魔女になる前からも、交際経験がないのだ。だから、とても純粋だった。
彼女たちがそんな反応示しているうちに、殺気を感じた。
健司の後ろからだ。
いつも余裕そうなエルフェリア、いつも微笑を浮かべているハレッサ、いつも優しそうなシーリン、とても不機嫌なルメだ。
クロエ達は、反射的に1歩下がった。
彼女たちの殺気には、恐怖すら覚えたからだ。
とても不機嫌そうなルメが、指で合図をして、健司を招き寄せた。
エルフェリア、ハレッサ、シーリン、ルメが健司に
対して、こう言った。
「女性の接し方覚えないとね。」
「健司君、女の武器に負けちゃだめよ。」
「健司さん、ああいうの誘惑と言うんですよ。」
「健司、誰が1番綺麗?」
健司は彼女たちが怒ってることに気がついてしまった。
彼女たちは、一旦怒り出すと、手がつけられない。
健司は正直に話すことにした。
「喧嘩するの良くないから、クロエさん達みたいな関係が理想だったんだ。」
エルフェリアは、ふっと、笑った。
「喧嘩?あんなの、喧嘩すら入らないよ。喧嘩なら、相手の存在を消してるからね。」
健司はエルフェリアの言葉に、心の中で思った。
それは、憎しみじゃないのだろうか。
そんな時、影の魔女ローザがやってきた。
「皆さん、いってらっしゃい。私はここを守ります。今度は自分の意思で。」
クロエはローザを抱きしめて、
「また戻ってくるわ。そして、今度こそ上下関係なしの対等な関係になろう。」
リセルもローザに対して、
「ローザ、頑張ってね。カテリーナも幹部達も連れてくるわ。」
ヴェリシアもローザに対して、
「ローザ、そんな心配な顔するな。また会えるさ、すぐにでも。」
ローザは3人の言葉に、感慨深かった。
彼女達がそんな言葉をかけるのは、初めてだったからだ。
そして、ローザは健司達を見送った。
ただ、この時は誰も知らなかった。すでに、魔女の魔の手が近くまで、忍び寄っていたことを。
——————————————————————————
健司達は、影の街バリッテを出発して、歩くこと数十分、本当に何もない荒野を歩いていた。そんな時、健司は、クロエ達に聞いてみた。
「クロエさん、デスソシエの本拠地って、どこにあるんですか?」
健司達の後ろを歩いていたクロエ達は、
「本当に、山のふもとよ。かつて、資産家が保有していた家に住んでいるわ。そして、近くに森があるわ。」
この言葉に、怪訝な表情を見せたのがエルフェリア、シーリンだ。
気になったのが、森があるということだ。なぜなら、南の山ノースリエは、木が生えないことで有名だから。
そんな疑問を持ったエルフェリアは、クロエに対して、
「いつから森は生えていたの?確か、南の山ノースリエは、木が生えないことで有名だったみたいけど。」
クロエは、エルフェリアがなぜそこに注目したのか、がわからない表情で、
「知らないわ。いつの間にかあったの。リセル、ヴェリシア、知っている?」
リセルもヴェリシアも知らない表情で、
「知らないわ。いつも間にかあったっていう。」
「そうだな。本当に、森はいつの間にかあったっていうわけだよ。」
シーリンは、エルフェリアにコソっと耳打ちをした。
「エルフェリア、もしかしたら、あの魔女達が関係しているかも知れません。」
エルフェリアは誰だか、心当たりがあるらしく、
「間違いないね。おそらくあの魔女だ。私は1度だけ、その魔女を見たことがある。恐ろしい魔法だからね。できれば、敵対はしたくない。」
そんな時、ルメはある疑問を口にした。
「ねぇねぇ、デスソシエって、どんな集まりなの?いまいち、信念が見えてこないのよね?」
ヴェリシアが答えかけてる途中に、異変が起きた。
「それは、逃げてきたんだよ。私たちは…………。」
太陽が照らされている青い空に、急に眩い無数の光が健司達を襲った。
数の光が、素早いスピードで、当たる瞬間に、クロエの闇魔法ナイトメアでかろうじて、防いだ。
クロエは、この攻撃に心当たりがあった。
「これはまさか!」
無数の光がおさまった瞬間、健司がクロエに聞いた。
「クロエさん、心当たりがあるんですか?」
前方から5人の影がうっすらと見えてきた。
健司達が目を細めてよく見ると、徐々にはっきりと見えてきた。
先頭に歩くデスソシエのボス 金髪の髪の魔女カテリーナ、
そして、その後ろを歩くデスソシエの幹部 白銀の髪の魔女ソレイユ、黒髪の髪の魔女セレナ、黄金の髪の魔女リーネ、眼鏡をかけた魔女エルネアがゆっくりと歩いてきた。
今、デスソシエのボスと初めて、見たのだ。
ボス 金髪の髪の魔女 カテリーナ。長身でモデル体型のようなすらっとした足、緑色のローブを着ていた。
カテリーナが口を開いた。
「あなたたちがはぐれ魔女かしら?私は、デスソシエのボス カテリーナ。さぁ、返してもらおうかしら?私たちの友人であるクロエ、ヴェリシア、リセルを。」
エルフェリアがカテリーナの前に立った。
「私がはぐれ魔女のエルフェリアだよ。私達は争う気ないよ。話し合おう。」
後ろから見ていた健司は、つい口走った。
「みんなきれい。ルメ達にひけを取らない美しさだ。」
そんな健司に対し、ルメとハレッサは思いっきし、健司の足を踏んだ。
健司は足を抑えて、痛かった。
ルメとハレッサは、健司を睨んだ。
今、健司達とデスソシエの最終戦が始まろうとしていた。ただ、何ものかの魔女の存在を感じながら。




