シーリン対炎の魔女ヴェリシア
ハレッサ対透視の魔女リセルの決着がついた頃、
周りに家があり、草が生えている空き地のような場所に移動させられたシーリンは、相対している魔女に目を向けた。
赤の髪に、赤いローブを着ている魔女ヴェリシアに視線を捉えた。
「あなたが炎を使う魔女ですか?」
ヴェリシアはニヤッと笑い、
「よく知っているね。そう、私は炎を使う魔女ヴェリシア。そういう君は、シーリンでいいのかな?君達の情報はわかっている。シーリン、冷静沈着で頭のいい魔女らしいね。」
シーリンは眉をぴくっと上げた。
情報がバレているとなると、他のみんなも不利な相手と戦われているかもしれません。今は、この目の前の魔女ヴェリシアに集中しなければ。
シーリンは、ヴェリシアに集中して、
「精霊よ、精霊よ、光よきたまえ。」
光の精霊が来て、光の壁が張られた。
シーリンの魔法 ミュデミリア。
常時、光の壁がシーリンを覆う。
ヴェリシアは、シーリンが何かをしたのを感じ、右手に赤い魔力を貯め、炎が出た。
「さぁ、始めようか?」
ヴェリシアは、赤い炎の槍がシーリンに目掛けて、突進した。
赤い炎の槍は、シーリンの光の壁を破り、シーリンの肩を傷つけた。
シーリンは、肩を押さえて、後ろに引いた。
「うっ。私の魔法が破られた!なんていう威力。さすがは、主力の1人炎の魔女ですね。」
ヴェリシアは、炎の槍を構えて、
「ロースフラム。炎の槍さ。一点集中の魔法だよ。シーリン、君は相手の魔法を見極めるタイプみたいだね。だから、最初に防御をした。違う?」
シーリンは、ヴェリシアに対して考えを改めた。
攻撃型かと思いましたが、違うみたいですね。冷静に見ている。炎だから、突進してくるかと思いましたが、やりにくい相手ですね。エルフェリアみたいなタイプですね。全く、やりにくい相手です。
シーリンは、また光の壁を張ったが、ヴェリシアはロースフラムで攻撃して、光の壁をまた破り、今度はシーリンの足に攻撃した。
シーリンは、左足を負傷した。今度は、火傷のような感覚を受けた。
「うっ。熱い。熱?そうか、この魔法は、温度を簡単に変えられる魔法ですか?厄介ですね。」
ヴェリシアは驚いた顔をした。
「正解!そうさ、この槍は温度を自由に変えられる。ただの槍なのか、それとも炎の槍なのか、区別がつかない。どうする、シーリン?」
シーリンは深く考えた。
この魔女、かなり戦い慣れてますね。いちかばちか、あの魔法を使うしかありません。
先手を取らなければ、負ける。
シーリンが魔法を発動しようとした瞬間、火が草に燃え移り、円の形になり、シーリンとヴェリシアを囲んだ。
シーリンはあたりを見回して、驚いた。
「炎!これでは逃げ場がない。」
ヴェリシアはさらに笑った。
「はは。この魔法は、フォームフレイム。時間が経つことに円の面積は、狭まっていく。終わりだよ、シーリン。」
シーリンは深くため息をついた。
はぁ。覚悟を決めるしかないようですね。ぶっつけ本番は嫌いなのですが、ルメの真似ができれば良いのですが。
シーリンは唱えた。
「精霊よ、精霊よ、精霊の奇跡を。」
精霊魔法 コピースピを使った。
火の精霊が出てきて、シーリンは、炎の槍を持ってヴェリシアに向かっていった。
ヴェリシアは呆然とした。
ヴェリシアの魔法と同じ魔法が現れたからだ。
「は?そんなの嘘だ。はったりに違いない。まがいものだ。」
ヴェリシアはシーリンに向かって、炎の槍を突き出した。シーリンも炎の槍で応戦した。
ヴェリシアは炎の槍で何度もつこうとしたが、シーリンにことごとく、防がれ、後ろに下がったところを、シーリンが鋭い突きで、ヴェリシアの腹部を傷つけた。
「ぐっ。馬鹿な、ありえない。いくら、人の魔法を真似ようとも、槍はそう簡単に使えない。」
シーリンは、今や圧倒的に優位に立っていた。
「簡単なことですよ。私たちは魔法に頼っていない。それに真似をするのが得意な魔女がいるので、それに対抗するために、私は近づけさせないために、槍で練習しました。」
ヴェリシアはシーリンの言葉にイラついた。
魔法に頼ってないだと!それほどの力がありながら、なぜ動かない?おまえ達が動いていれば、世界は、こんな世界になってなかったはずだ。
「魔法に頼ってないんだと?でもお前達は、魔女だ。それは逃れようもない事実。」
シーリンがヴェリシアに近づく1歩手前で、炎の柱がシーリンを襲った。
ヴェリシアは盛大にに笑った。
「ははは。引っかかったなぁ。私の魔法 ファイアエリア。仕掛けた場所に足を踏み入れると、自然と発生する。これで、私の勝ちだ。 」
しかし、シーリンは炎の中から現れた。
しかも、無傷だった。
ヴェリシアは無傷なシーリンを見て驚いた。
「は?なぜ無傷なんだ?確かに、魔法で攻撃を受けたはずだ。」
シーリンは上品に笑った。
「ふふふ。最初に見せた光の魔法。あれは常時、発動しているんですよ。」
ヴェリシアはシーリンの告白に、愕然とした。
なんだ、この魔女は。そんな魔法、規格外だ。これがはぐれ魔女達か。考え方が全然違う。
シーリンは1歩前に踏み出し、炎の槍で、ヴェリシアの首元に突きつけた。
ヴェリシアはシーリンの顔を見た時、恐怖を覚えていた。
シーリンの顔が笑っているが、目が笑っていない。
シーリンが唐突に言った。
「降参しますか、ヴェリシア?」
ヴェリシアはシーリンの有無を言わせない威圧感に、
「降参だよ。強いね、シーリン。」
シーリンは魔法を解いた。
炎は消えて、光も消えた。
「そうですか。それはよかったです。」
ヴェリシアはクロエが期待してることが実現すると思った。
クロエ、こいつらは本物だよ。彼女たちなら、カテリーナ様も止められる。
魔法に頼らないか。もしあの時、私が炎の魔女たちに立ち向かっていたのなら、魔女になってなかったのかもしれない。あの非情な魔女たちに。そうすれば、両親もまだ生きてたかもしれないのに。
クロエ、リセル、生きていればいいけど、大丈夫かな?
シーリンはヴェリシアが戦意を失ったのを見て、
「みんな、今行きますからね。待っていってください。」
シーリンは健司、ルメ、ハレッサ、エルフェリアを心配した。シーリンにとって、彼らは家族だからだ。




