ハレッサ対透視の魔女リセル
道場みたいな場所に移動させられてしまったハレッサ。
対する相手は、黒髪でショートカットの魔女リセル。
右手には、細長い剣を持っていた。
ハレッサは、細長い剣に注目し、考えた。
あれはおそらく、スピード重視の剣。スピードを生かすための魔法を使ってくるはずね。なら、最初は様子を見るかね。
ハレッサは、蹴りをリセルの左側頭部に向けて、放った。リセルは、左手でそれを防ごうとしたが、蹴りは、リセルの脇腹に向かっていた。これはフェイクだ。ミリィ相手に使った技。
当たる瞬間、左手でハレッサの足をつかみ、見事防いだ。
ハレッサは驚いた顔をした。
「どういうこと?あなたの目線は頭のほうに向かっていたはず。なのに、つかめるなんて。」
リセルは足を掴んでいた左手を広げて、ハレッサの足は自由になった。
「簡単なことよ。私は透視魔法が使える。魔法ムーブメント。相手の動きが手に取るようにわかるの。あなたは頭を狙うに見せかけて、がら空きになった脇腹を狙ってくる。そういう動きが癖になっているのね。なるほど、ミリィがやられるわけね。彼女もそれなりに格闘経験があるけど、あなたはそれ以上ね。」
ハレッサはリセルのことを最大限警戒した。
いくらわかると言っても、それは自分の体が反応しての話し。いとも簡単に反応して、足を掴むなんて。
リセルは、右手で持っていた剣を構えて、
「次は私の番だね。ハレッサ、あなたの魔法がどういうものかいまいちわからないけど、これは防げない。」
リセルは上段からの剣のふりでハレッサの頭を狙った。
ハレッサは当然、後ろに逃げようとするが、リセルは読んでいたかのように、一歩先に足で踏み込んで、ハレッサの手に、切り傷を与えた。
ハレッサは斬られた手を見て、
「これがムーブメントね。相手の動きを見ながら、剣で攻撃する。リセルの攻撃手段と言うわけね。」
リセルはハレッサの考えに、
「当たり!そう、これが私の戦い方だよ。いくらあなたが魔法使おうとも、それすらさせない。降参でもする?」
ハレッサは深くため息をついた。
はぁ。厄介な相手ね。透視魔法相手には、動きが読めるものはだめだね。なら、どうするか、あれしかないか。
ハレッサは距離を取った。
弓を引くポーズで、上に向かって、引いた。
リセルはハレッサに対して、嘲笑をした。
「ふふ。何しているのかな?あなたが魔法をいくら使おうとも、全てが見えるのよ、ハレッサ。」
ハレッサは、挑発的な笑みで、
「試してみる?あなたは、この魔法を見て、驚くかもね。」
ピンク色の矢が無数に空中から現れて、リセルに向かって、放たれた。
リセルは、ピンク色の矢の軌道が見えて、防ぎながら、ハレッサに近づいた。
ハレッサは、ニヤリと笑った。
「くらったわね。あなたは、この魔法の真髄ラブキュートを知ることになる。この魔法は理解不能な魔法。初見じゃ避けれない。 」
リセルは、何を言っているのか、と感じ、ハレッサに対して、上段からの剣の振りで、顔を狙うが、ハレッサは間一髪で避けた。
見えてるよ!次の動きが。
リセルが再び剣で、ハレッサを狙う瞬間、ハレッサのうごきがく全く見えなかった。
なんで!魔法ムーブメントが消えてる?
ハレッサは笑った。
「今気づいたの?これが私の魔法。魔法を消したのよ。」
リセルはハレッサの言葉に理解が出来なかった。
魔法を消す?ありえない。そんな魔法、聞いたことない。
だが、リセルは問題ないと感じた。
例え、魔法が消えても、私の剣術では、防ぎようがない。終わりよ、ハレッサ。
リセルの剣が再び、ハレッサの頭を狙う。
ハレッサは、リセルの手を取り、剣を奪い取った。
リセルは理解ができなかった。
は?動きの予測が全く読めなかった。それに早い!蹴りじゃないの?
ハレッサはニヤッと笑い、
「蹴りだけじゃないよ。私はただ速いだけなんだよ。それに、こんなことも得意かなぁ?」
ハレッサは剣を上に振りかぶり、リセルの顔を狙った。
リセルは動揺した。
もしかして、私の技?でも、簡単に真似されるなんて!
リセルは後ろに下がったが、ハレッサの剣の振りはリセル以上に鋭かった。
リセルの手を深く切った。
うっ。
リセルはその場に膝をついてしまった。
私の技を模倣した?いや、私以上の剣の鋭さ。
完敗だね。
リセルは戦意を失い、ハレッサに疑問をぶつけた。
「あなたの魔法素晴らしかったわ!でも、驚きだわ。蹴りだけじゃなく、剣ですら扱うなんて。なんでもできるのね?」
ハレッサは、満面の笑みで、
「相手の素晴らしいと思った技は、真似できるんだよね。これも愛かな?そうそう!蹴りもね、もともとはルメの技なんだよね。」
リセルは、目を見開き、
「天才だね。あなたは。完敗だよ。」
リセルはハレッサを称賛した。
ハレッサは、逆にリセルに対して、
「あなた、本当はやる気なかったでしょ?逆に言えば、試すような感じ?本気なら、同じ場所を何度も狙わない。」
リセルは、本当の目的をいい当てられ、
「あなたにかなわないなぁ。ここで負けるなら、この先は生き残れない。でも、あなたは、見事勝った。」
リセルの負傷している手を見て、ハレッサは、
「さあ、行きましょうか?みんなのところに。」
リセルは訳がわからなかった。
「なんで私を?」
ハレッサはリセルの手を取り、
「他のみんなも試してるんでしょう?なら、敵じゃない。味方だよ。」
リセルは笑った。
「さすがは、はぐれの魔女!ハレッサ、あなたは何の魔法なの?」
ハレッサは、優雅に答えた。
「愛よ。愛さえあれば何でもできるんだよ。」
リセルは愛と聞いて、魔女になったときのことを思い出した。
愛か。もし、私が醜い本性の人間に出会う前に、ハレッサと出会えたなら、透視の魔法なんか発現しなかったかもね。
リセル、ヴェリシア、彼女達は本物だよ。彼女たちならもしかして。
リセルは、上を見上げた。
まるで、愛を感じたかのように。




