ハレッサの蹴り
ミリィの手に宿った魔力がハレッサに向けて放たれた。
ハレッサは急に動きが止まった。
ハレッサはある言葉が脳内に響いた。
健司が好きなのは、あの2人。あなたじゃない。
あなたの言う愛は重いんだよ。
ほら、見てよ。あの2人だって、あなたの不気味に思っているよ。
ハレッサは脳内の響きに体が全く動かなかった。
私は、不気味?いや、違う。健司、ルメ、シーリンはそんなこと言わない。あいつだって。でも、心の内ではどうなのかな?わからない。
ハレッサが完全に動きが止まっているのを見て、ルメ、シーリンは完全に様子がおかしいと感じた。
「ハレッサ!どうしたの?」
「これはまさか魔法?いつ放たれたのかわからないですね。全く見えなかった。」
ミリィは明らかに嘲笑していた。
「あはは。これが私の魔法コンセイ。私の誘導で、脳内に響く声を従わざるをえない。これに抗うものは誰もいない。次はお前たちの番だ。」
ルメとシーリンが、ミリィの魔法が発動する前に、身構えた。
「シーリン、何か手立てないの?」
「無理です。魔法自体が見えないんですから。今の私の魔法では、見えるものしか対応できません。」
ミリィが一歩一歩、ルメ、シーリンに近づいてきた。
それは、ルメとシーリンがこの世の終わりの意味だった。
「どうしたのかな?来ないの?なら、こちらから行かせてもらうよ?受けてみるがいい、私の魔法コンセイを。」
その時、ハレッサが2人を守るようにして、前に出た。
誰もが驚いた。洗脳にかかってるはずだと、みんながそう思っていたからだ。現に、健司はそこから1歩も動かない。ミリィの魔法コンセイにかかっているからだ。
「馬鹿な、ありえない。私の魔法は、完璧なはず。どうやった?」
ハレッサは手を横に大きく広げて、
「いやぁ、あなたの魔法大したものね。でも、私には効かないわ。私は愛で生きているからね。たとえみんなからどう思われても、それはすべて愛。どんなことでも受け入れる。だってそれも愛だから。」
ミリィはそんなハレッサの言葉にブチ切れた。
「愛、愛、そんなものは初めから存在しない。あるのは、圧倒的な恐怖なだけだ。強者から弱者への優越感だけだ。」
ハレッサはそんなミリィを見て、憐れんだ。
「憐れね、あなた。愛を知れば、そんな考えもすぐに変わるわ。それを今から証明してあげる。」
ミリィはまた手に、魔力を溜めて、魔法コンセイを放つ準備をしていた。
だが、予想外のことが起きた。
ハレッサが急に消えたかと思えば、ミリィの前にすぐ現れ、次の瞬間、ミリィの脳内が揺れて、地面に倒れそうになった。
ミリィは何が起きたのかわからず、すぐさまに地面に手をついて、ハレッサから距離を取った。
何が起こった?何も見えなかった。魔法?だが、魔法を放つ気配はなかった。じゃあ、身体能力強化?わからない。格闘をメインにした魔法を使う魔女もいない事はないが、速すぎる!
だが、次の瞬間、ハレッサは距離をつめてきて、ミリィに対して、上段への蹴りをくり出した。
ミリィは今度こそハレッサの攻撃が見えてきた。
見えた!上段への蹴りだ。甘いな。確かに魔女なら、格闘技は有効だ。だが、残念だったな。私は魔女になる前から、そこら辺のごろつき相手に、喧嘩してきた。
ある程度なら、戦える。
ミリィはハレッサの上段への蹴りがくると予想して、右腕でガードしようとした。
しかし、ハレッサの上段への蹴りはフェイクで、ミリィのわき腹に直撃した。
「がはっ。くそ、フェイクか。なら。」
ミリィの拳がハレッサの顔面を狙ったが、簡単にかわされ、腕をつかまれ、地面に倒された。
ハレッサは優雅に微笑んだ。
「残念ね。あなたもそれなりにできるけど、私が1番得意なのは蹴りなの。魔法に頼りきった結果がこのざまよ。」
ミリィはハレッサを見て、ガクガクと震え出し家た。
ありえない。私は、幼い頃から父親に愛と称されて、暴力を受けてきた。だから、私はその時から愛を否定してきた。家を出てきてから、私は喧嘩で力を試してきた。この世は全て力だ。そんな時、魔王が発言したのだ。そう、洗脳だ。おそらくだが、父親に洗脳されたくなくて、発現したのだろう。
なのに、なぜこんなに震えているのだ?
ハレッサがさらに、
「ねぇ、力で負けた気分はどう?あなたが否定してきた愛は力よりも強大なんだよ。」
ミリィは、今気づいた。
そうか、愛は心さえ、おれなければなくなる事は無いんだな。私は仲間がいたら、変わっていたのだろうか?いや、私は拒絶していたんだな。
ミリィはここで初めて涙を流した。
「私の負けだ。ハレッサ、愛を初めてわかったよ。今から私の魔法を解除するよ。そうすればみんなも元通りになる。」
ミリィは魔法コンセイを解除し、健司も街の住人も元通りになった。
ルメはあんなハレッサを見て、
「相変わらず恐ろしいわね。魔女が蹴りだけで圧倒する、普通?」
シーリンは、首を振りながら
「恐怖で相手を降していましたからね。そんなことより、魔法が解けたことにより、洗脳が解けましたね。」
健司は周りを見渡しながら、
「あれ?一体何が起きたんですか?」
ルメは健司の方にかけ寄り、
「全て終わったよ。洗脳の魔女を倒し、街も元通りになったよ」
健司はハレッサの側で座っている魔女を見て、手を差し伸べた。
ミリィは驚いた。
今まで敵だった奴が、手を差し伸べるなんて事は、経験になかったからだ。
「変わったやつだな。けど、それがハレッサのいう愛なんだな。」
ハレッサはそんなミリィの言葉に反応示し、
「これが健司よ。誰とでも仲良くなれるの。」
健司は照れながら、
「そんなに大したものじゃないですよ。魔女を救うっていう目的がありますからね。」
こうして、戦いが終わったかに見えた。
しかし、次の瞬間、1人の女性が急に現れてきた。
その女性は、白銀の髪で黄色い色ローブを着ていた。
その女性は、デスソシエの幹部で、魔女であるソレイユだ。
ソレイユの目には怒りがこもっていた。
「ねぇ、ミリィ。なんていう姿かしら。負けるなら、まだしも、敵の手を取るなんてね。」
ミリィはそんなソレイユを見て、
「ソ、ソレイユ様。私は弁解する気はありません。ただ、愛を知ったんです。」
ソレイユは、そんなミリィに対して、冷酷な目で見て
「愛?馬鹿にしてるのかしら。そんなもの、あなたには必要ないんじゃない?それにしても、お前たちは少しやりすぎた。生かしては返さない。」
ソレイユの怒りが健司達に対して、向けられた。
ソレイユの実力が健司達を驚かされることになった。




