09
「二十四日、ひよりとはどうだった?」
「突然二人きりになってしまったけど最後まで上手くやれたよ」
「え、めめちゃんとさく君はいなかったんだ?」
そう、二十五日になっても戻ってこなかった。
二十時前には解散にしたのもあって寂しかったな、二十六日の今日はちゃんといてくれているけど。
めめは僕の頭の上で寝ていて、さく君は彼女の足の上でゆっくりしている状態だった。
「うん、七戸さんはどうだったの?」
「私の方はいつも通り家族と仲良くやれたよ、楽しかった」
「そっか、よかったね」
「ふふ、よかったのは勝呂君もでしょ? お互いに名前で呼び始めていい状態になっているって聞いたけど」
「さっきめめと一緒に離れたときに聞いたんだね? まあ、名前では呼び始めたね」
昨日は一緒に過ごさなかったけどあともう少ししたらこの家に来る約束となっている。
あとあんまり意味もないものの、このこともちゃんと言っておいた、やたらと彼女のことを気にしているからね。
「二十五日も一緒に過ごせばよかったのにね」
「そのことについてはなにも言っていなかったからそこまでじゃなかったんでしょ」
「分からないよ? いまのひよりなら――ああ、私がいるって聞いて落ち着かなかったんだね」
「ちょっと出てくるよ」
扉を開けてみると逆に気持ちがいいぐらい無表情のひよりさんが立っていた。
こちらが上がってよと言う前に上がって「なゆ先輩」と話しかけている。
文句を言われることはなさそうだったので最低限の常識として飲み物を持ってきた。
「あの男の人とはどうなっているんですか?」
「どうもなっていないよ? 別に私とあの子はひよりと勝呂君とは違ってクリスマスに一緒に過ごすような仲じゃないから」
「そ、そうですか」
「あ、ひよりさんこそあの男の子のお姉さんともう一緒にご飯を食べにいったの?」
これであの男の子の本当のところが分かる。
「いえ、まだです。というか、私はずっと玄太先輩と過ごしていたので無理だと分かりそうなものですけどね」
「それでも夜まで独占してしまっていたわけじゃないからね」
イブ以外は十九時前に解散にしていたから食事にいくには十分な時間があった。
お姉さんは成人しているみたいだから余裕だろう、あとはあの男の子もいてくれればもっと安全にいけるわけで。
「ど、独占って、それではまるで私を独り占めしている日もあるみたいな言い方ですね?」
「イブとかそうだったよね?」
「あーあんまりいちゃいちゃするのはやめてね、一応私もいるんだから」
「めめとさく君もね」
僕はこうして動いているのにすーすー寝息を立てながら寝ているめめは器用だ。
だけどこうなっているのにも理由があって、帰ろうとしたのにお父さんに言われて帰れなくて盛り上がれなかったから拗ねてしまっているのだ。
そういうのもあって僕から離れずにこうして抗議している形になっている。
「なゆ、僕らのことは気にしなくていいよ」
「さく君ももう少し頑張ってよ、そうしないと私だけが仲間外れになっちゃうから」
「というか、なゆは玄太に興味なかったんだ?」
ああ、そういうのはやめてくれえ……。
無駄に振られるのはもう嫌なのだ、中学生のときは二回ぐらいそんなことがあって無駄にダメージを受けた。
あの頃は母もいなくなって変わり始めていた頃だったから悪い方に働き、彼女やひよりさんと出会う前までの僕みたいになってしまった。
本当は興味があるくせに他の人が恋をすればいいとか、ね、できない僕みたいな人間があんなことを言っていてもただただださいだけなのに。
「興味はあるよ? でも、大人の女として譲るの」
「そればっかりだね」
「争いたくないんだよ、それに私は勝呂君と話せればそれでいいからね。だからひよりも不安にならなくていいよ」
「別に私は不安になってなんかいませんが、それに玄太先輩みたいにすぐに不安になってしまう人は別にという感じですし」
すんとした感じだった。
冬で寒いいまに相応しい、雪の女王みたいだ。
「あれ、勝呂君にも素直になれなくなっちゃったんだ」
「はい? はぁ、まあこれがなゆ先輩ですからね、いつも通りなのに変な反応をしていまいました」
うん、確かに彼女らしいと言えるからこういう反応になってもおかしくはない。
それより対彼女の場合はからかわれても感情的にならずにいけるようだ、大人の対応ができているのはいい。
「じゃあそろそろ私も玄太君って呼ぼうかな、玄太君も私のことはなゆって呼んでよ」
「分かった、それならなゆさんで」
ある程度の仲になればこれぐらいは当たり前だろうから受け入れておけばいいだろう。
あとは本当でも嘘でもみんながいる前で振ってくれなくて感謝だ、今度ちゃんとお礼をしよう。
「ちょっ」
「うん? 言いたいことがあるならちゃんと言った方がいいよ? それとも、後で二人きりになったときにぶつけたいのかな?」
「別にそのことが気になったわけではないです、さくさんを借ります」
「ひより――ぎゅえ!?」
少し乱暴だったのは最初だけですぐに優しくしていたからなにも言う必要はなかった。
それとこちらもからかいたくて先程のことを受け入れたわけではないし、誤解もしてほしくなかった。




