ぼくとトイレのぺろりんさん08
……それは、おれが小学3年生だったある日のことだ。
ぎゅるるるる! ぐるるるる!
「うわーっ、家までまにあわない! ふん!」
学校からの帰り道で急にうんちがしたくなったおれは、おしりのあなをきゅっとしめて、小走りに公園のトイレをめざしていた。
「なんでうんちって急にしたくなるんだよ、おなかをこわすようなもの食べてないのに。もう、いやになっちゃうよ。ううう、もう少しでトイレだ、がんばれ、おれ! ふん!」
じぶんでじぶんをはげましながら、おれはトイレにいそいだ。
タタタタ、バタン!
「よかったあ。まにあった。ふう……ん」
便器にすわってほっとしていると、外から声が聞こえてきた。
「しょーんべん。みんなでしょーんべん!」
「うるせえな! だまってしろよ」
うるさいヤツらがトイレに入ってきた。
なかまといるとやたらさわぐヤツってきらいだ。
早く出ていってくれないかな。おちついてうんちができないじゃんか。
おれは、気づかれないようにじっとしていた。
ジョロジョロジョロ……。
「あー、すっきりした」
「ん~、よっと!」
ガン! バキッ!
「!?」とつぜん、となりの個室からすごい音がしてドキッとした。
「あれ? こわれちゃった。思ってたよりヤワだな」
「何やってんだよ。トイレのふたをふづけて、こわしちゃダメじゃん」
「ふたがないほうが開けるてまがはぶけてよくない?⤴︎」
「だな。あははは」
どうやら、らんぼうでワルぶるのがカッコイイと思っている連中らしい。
トイレのふたをこわしただけなのに、じぶんたちは何かすごいことをしたと思っているみたいだ。
「お、こっちはだれかうんこしてるぞ」
「だ~れだ。入ってんの!」
ドンドン! ドンドン!
やばい、こっちに気づいた! ヤツらはドアをたたきはじめた。
「おい、出てこいよ!」
トイレのふたをこわしたことにこうふんしているせいか、だんだんはげしくなる。
おれはいきをころして、あらしがすぎるのを待った。
「たいへんだ~。雨がふってきた~」
ザバーッ! とつぜん上から水をかけられた。
「わっふん!」
思わず声が出てしまった。ま、まずい!
「おやっ? ぼうやが入っているのかな」
ガタガタガタ!
「おらおら!」
あいてが、子どもだとわかってドアをはげしくゆらしはじめた。
じぶんよりあいてが弱いとわかったとたんに強気になるヤツはサイテーだ。
小学生あいてに何はりきってるんだよ。
バキッ!
トイレがボロいからか、ちょうつがいがこわれ、ドアがはずれた。
すきまから中学生くらいの顔が見えた。
中学生のうちからヤンチャ伝説を作ろうと思って、わるいことばかりやってるヤンキーみならいみたいな連中だ。
こんなヤツらでも作り話じゃなくてちゃんとわるいことをやって伝説を作ろうとするところは、なぜかまじめだ。
「へへへ~、見~つけた!」
ヤンキーみならい中学生が、おれをこわがらせようとして変な声で話しかけてきた。
「だ、だれか……、ふわわ~ん」
つづく




