表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トイレのぺろりんさん  作者: 田中たんばりん
第1話 ぼくとトイレのぺろりんさん
PR
4/21

ぼくとトイレのぺろりんさん04

数日後、しずくはわすれ物をした。

鍵盤けんばんハーモニカが見あたらない。ランドセルの中にもない。

どうやら、へやのつくえの上におきっぱなしにしたようだ。


「あ~、だれかにかりるわけにいかないし、家まで取りにいってたら、まにあわないよ……」


挿絵(By みてみん)


しずくには思いつくことがひとつあった。

たしか、「困ったことが~あったら~またいってね~」っていってたな。

う~ん、ホントに助けてくれるかな? だいじょうぶかな? 何かこわいことが起きたりしないかな?

う~ん、う~ん……。なやみになやんで、しずくはトイレにいそいだ。


挿絵(By みてみん)


「学校のトイレにもきてくれるかな?」


しずくは、まわりに気づかれないように小さな声で便器に話しかけた。


「え~と……、ぺろりんさん?でいいのかな。困ってるの。助けて」


挿絵(By みてみん)


便器は、うんともすんともいわなかった。


「そうよね。ぺろりんさんは公園のトイレにいるんだもんね。学校のトイレにこれるわけないよね」


がっかりしてトイレから出ようとした時、便器からぺろっとしたが出てきた。


「しずく~、どうしたの~?」


「あ、ぺろりんさん? え~と、お願いがあるの。いいかな?」


「何かな~。できることと~できないことが~あるよ~」


「あのね、家のつくえの上に鍵盤ハーモニカをわすれてきちゃったの。持ってきてほしいんだけど、できる?」


「う~ん~」


「……むりならいいよ」


「がんばって~やってみるよ~。しずくの家は~どこ~?」


「学校からぺろりんさんがいる公園までいってもそのまままっすぐいって、車がたくさん止まっているところを左にまがって、コンビニのところを右にまがって、ちょっといった赤いやねの家。わかった?」


「ちょっと~むずかしいけど~まかせて~。じゃあ~いってきます~」


舌が○を作ってひっこんだ。


挿絵(By みてみん)


しずくは、そのまま中ではらはらしながら待った。

トイレからどんどん人がいなくなり、休み時間もおわろうかというころ、ぺろりんさんがもどってきた。


「ちょっと~道に~まよっちゃった~。はい~どうぞ~」


ぺろんと、鍵盤ハーモニカがさし出された。


「やった! ありがとう、ぺろりんさん!」


挿絵(By みてみん)


しずくはぺろりんさんのおかげで、ぶじに音楽のじゅぎょうを受けることができた。

でも、ふしぎなことに鍵盤ハーモニカはトイレの中をとおってきたはずなのにぬれていなかった。


どうやってぺろりんさんは鍵盤ハーモニカを持ってきたんだろう。

だいたいぺろりんさんは便器の中にどうやって入っているのだろう。

ぺろりんさんに聞きたいことがいっぱいあった。


それからしずくは何度か公園にいって、トイレでぺろりんさんと話をしたそうだ。

聞いたことのほとんどが、じぶんのことなのに「よくわからない~」ということだったらしい。


そうやって、しずくはぺろりんさんと友だちになったということだった。


挿絵(By みてみん)



「ぺろりんさんって、ぜんぜんこわくないよ。お兄ちゃんもぺろりんさんとお話して、お友だちになればいいよ。そうすれば、お兄ちゃんも困った時、ぺろりんさんがきっと助けてくれるよ」


「ぼくは、べつにぺろりんさんと友だちにならなくてもだいじょうぶ。困った時はじぶんでなんとかするよ。さあ、もうねよう」


しずくを2段ベッドの上にのぼらせると、ぼくはじぶんのベッドのふとんにもぐりこんだ。


しずくは、ぼくとぺろりんさんが友だちになれると思っているようだけど、ぼくはあんなうすきみわるい妖怪と友だちになる気はない。

だいたい、うんちをするたびにおしりをなめられるのは、かんべんしてほしい。っていうか、そもそもなんでぺろりんさんなんていう妖怪がいるんだよ。べろんがいたり、ぺろりんさんがいたり、世の中どうなっているんだ。


そんなぼくのしんぱいをよそにそれっきり家のトイレにぺろりんさんはあらわれなかった。


挿絵(By みてみん)


つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ