ぺろりんさんと学級新聞03
日曜日、ぺろりんさんがいる公園でデーブと待ち合わせて見崎さんの家に向かった。
しばらくいくとおなじかべが、ずっとつづいていた。
「このかべ、とぎれないね」
「おなじ家のかべだな。あ、門があるぞ。ふん!」
門には「見崎」と表札があった。
「これ見崎さんちだったの?」
「ずいぶんでっかい家だな。ふん!」
ピンポ~ン! 門のよびりんをおした。
「はーい」
「こんにちは。雨森っていいます」
「デーブです。ふん!」
「夢羽のお友だちね。ちょっと待っててね」
「デーブさ、じぶんでデーブはおかしくない?」
「お、やっとデーブってよんでくれたな。たれる。ふん!」
デーブからツッコまれて、なんだかはずかしい。
「と、友だちなんだから、いいだろ」
「そうそう、おれたち友だちだもんな。ふひひひ。ふん!」
しばらくすると、ガチャっと門のカギが開いて、見崎さんが顔を出した。
「いらっしゃい」
「よう。ふん!」
「やあ」
見崎さんの家は、すんごいお金持ちだった。
門から家のげんかんまでちょっと歩く。庭があり、木がうわっていた。
「あれはなんの木?」
「みかんの木」
「え、じぶんちでみかんが食べられるのか? ふん!」
「食べられるけど、お店で買うほうがおいしいわよ」
「なったみかんは、どうするの?」
「そのままにしておくと、だいたい鳥が食べちゃうわね」
げんかんのドアはでこぼこがあって、まるでチョコレートみたいだった。
ぼくの家のドアはぺったんこのまったいらだ。
家に入ったらソファーとガラスのテーブルがあるへやにとおされた。
うちは台所とテーブルがいっしょにあるへやでごはんを食べるけど、ここは何のへや?
ソファーがふかふかで、すわったとたんにデーブがひっくりかえりそうになってもがいている。
しばらくすると、見崎さんのお母さんがケーキと紅茶を持ってきてくれた。
「はい、どうぞ」
「いただきます」
「いただきます。ふん!」
ぼくは、これまで紅茶をのんだことがない。家ではジュースかココアかお茶だ。
お父さんとお母さんはコーヒーをのむけど、にがいからぼくはのまない。
紅茶って砂糖をどのくらい入れればいいのかな?
角砂糖をはじめて見た。とりあえずふたつ入れてみよう。
よくまぜてとかす。のんでみる。
おっ、いい感じのあまさになってる。
はなからぬけるこのかおり。これが紅茶か。
よこにレモンの輪切りがあったので入れてみた。
ん? ちょっとすっぱくなったぞ。
う~ん、入れないほうがよかったな。
ちょっとすっぱいのはケーキでカバー。
食べてのむと、ちょうどいい。
そういえば、ケーキをフォークで食べるのってむずかしい。
一口分切るとだいたいたおれる。
で、たおれたケーキにフォークをさすとボロっとくずれる。
ケーキをボロボロにしながら食べる。
どうやったらじょうずに食べられるのかな。
いつも手づかみでケーキを食べているから、そっちのほうが楽チンだ。
ふと、よこを見たらデーブが手づかみでケーキをもりもり食べていた。
「デ、デーブ!」
「ん? どうかしたか? ふん!」
「いや、なんでもない」
そうだよな、子どもなんだもん、まわりの目なんか気にしないで好きにすればいいんだよな。
気どっていたじぶんがバカみたいだった。
「出井くんって、おいしそうに食べるのね」
「え? だって本当においしいだもん。それにさ、これ渡来来渡ショッピングロードにある〈フレスカ〉のケーキだろ。だったら、おいしいに決まってるじゃん。ふん!」
「デーブ、どこのお店のケーキか、わかるの?」
「食べたことがある店のケーキなら、だいたいわかるぞ。ふん!」
「出井くん、すごいね!」
デーブの意外な才能発見だ。
「ケーキを食べおえたら、わたしのへやで学級新聞の話を進めようか」見崎さんが、紅茶をのみながらいった。
つづく




