ぺろりんさんとおばあちゃんの思い出のスカーフ03
「用意は~いい~? じゃあ~いこう~」
くつをはいたぼくとしずくにぺろりんさんの舌がしゅるるるっとまきつくと、ぼくたちはすぽっと便器にすいこまれた。
「お兄ちゃん、これ何!」
「しずく、だいじょうぶだから、おちついて。これは、ぺろりんさんがふしぎな空間をとおって、ぼくたちをべつのトイレにつれていってくれているんだ」
「べつのトイレにいけるの? ふしぎだね」
「そうなんだ。すごくふしぎなんだ。ふしぎすぎて、ここがどんなところなのか、さっぱりわからないんだ」
しばらくすると、ぼくたちはすっぽーんと外に出た。
「あ、公園のトイレだ。そうか、だからくつをはいたのか。家の外に出ちゃうのに、はだしっていうわけにいかないもんな」
しずくは、くんくんと体のにおいをかいでいる。
便器の中に入ると、やっぱりにおいが気になるもんだ。
「くさくないね」
「うん。どうやら、あのふしぎな空間はトイレの管じゃないみたいなんだ」
「じゃあさ、ぺろりんさんにお願いすれば世界じゅうのどこにでもいけちゃうのかな?」
「いけるんじゃないかな? ただし、トイレに出ちゃうんだけどね」
そうだな。世界じゅうどこでもいけちゃうかも。
今度ぺろりんさんにお願いしてハワイとかにつれていってもらおうかな。
お昼ごはんを食べてからハワイのトイレにいって、ゆうがたにうちのトイレに帰ってくればいいんだもんね。
ん? ちょっと待てよ。
たしかお父さんが世界には時差というものがあって、日本とほかの国では時間がズレているっていってたな。
日本とハワイではどのくらい時間がズレているんだろう?
ハワイにいってみたら夜だったなんてこわいもんな。ちゃんとしらべておこうっと。
「お兄ちゃんさ、ぺろりんさんにどこかにつれてってもらおうと思ってるんじゃない?」
「な、なんだよ」
しずくにかんがえていることを見ぬかれてぎくっとした。
「でも、お兄ちゃんこわがりだから、いったところのトイレの前から一歩も動けないんじゃない?」
「う……」
そのとおりだと思った。ハワイにいくのはあきらめよう。
「ちょっと~待ってて~。ぼくも~外に~出るね~」
「外に出るって……、え? ぺろりんさん、何をいってるの?」
いきなり、ぺろりんさんが入っている便器がゴムのようにぎゅーんとのびた。
つづく




