ぼくとトイレのぺろりんさん13
「よく見てて」
ぼくはトイレで便器に話しかけた。
「ぺろりんさ~ん、ちょっといいかな。ぼくとぺろりんさんの関係を出井くんに説明しなきゃいけなくて困っているんだ」
たぶん、ぺろりんさんはきてくれるはずだ。
「便器に話しかけるなんて、おまえ何やってるんだ? ふん!」
「な~に~?」しばらくすると、舌がぺろっと出てきた。ぺろりんさんがやってきた。
「の、のろいの舌じゃねえか! ふがっふん!」
そして、ずばっとぺろりんさんの顔が便器にはまった。
「ひっふん!」
ぺろりんさんがあらわれるところを見て、デーブがおどろいている。
これまでデーブと話をすることがなかったからわからなかったけど、デーブはすごいこわがりみたいだ。
「あのさ、ぼくはぺろりんさんの友だち……でいいのかな?」
「うん~そ~だね~。ぼくは~たれるの~友だち~」
「ね、わかってもらえたかな」
「う、う、うん。ふん!」
デーブが、がたがたとふるえながらへんじをした。
「あとさ、ぺろりんさん、2年くらいまえに出井くんに何かいった?」
「2年くらいまえって~いつ~? この子に~? ん~……あ~、どれくらいまえか~わからないけど~ぼくが~おこって~人を~こらしめたことを~いわないでねって~お願いした~」
「なんで?」
「ぼくが~らんぼうで~こわいって~思われたくなかったから~」
「約束をやぶって、その話を人にしゃべったらのろうの?」
「ぼくは~人を~のろうことは~できないよ~。それに~約束じゃなくて~お願いだよ~」
「だってさ。人にしゃべってもだいじょうぶみたいだね」
「な、なんだ、のろいの舌との約束をやぶるとのろわれるって、おれが勝手に思っていただけなのか……。ふん!」
ぺろりんさんの話を聞いて、デーブは気持ちが少しおちついたみたいだ。
「ぺろりんさん、ありがとう」
「どういたしまして~」コホッ!
ぺろりんさんがすいこまれるようにして、すがたを消した。
ぺろりんさんとわかれトイレから出たところで、お母さんに会った。
「あら、気がついたのね、よかったわ。今ココアを入れてあげるわね」
「うん、お願い」
たれるのへやにもどるあいだにデーブはかんがえた。
ほんとうに雨森はのろいの舌と友だちみたいだな。
いや、のろわないっていってたからのろいの舌じゃなくて、雨森がよんでいた「ぺろりんさん」って名まえなんだろう。
それにしてもトイレの便器にずばっとはまった顔。あれは、はじめて見た。びっくりしたぞ。
目がぎょろぎょろしていて、すごくこわい。雨森のヤツ、よくへいきだな。
こいつ見た目とちがって、どきょうがあってたのもしいヤツかもしれないぞ。
雨森になら、おれが泣き虫でこわがりだってことをいってもだいじょうぶそうだ。
たぶんこいつなら、人の弱みをいいふらしたりしないだろう。
へやにもどるとデーブはたれるに話しかけた。
つづく




