ぼくとトイレのぺろりんさん11
ぺろりんさんの舌がしゅるるるっと、ぼくとデーブにまきついた。
そして、持ちあげられたと思ったら、すっぽんと便器の中に入った!
「ええーっ! なになに!? 便器の中にすっぽんと入ったんですけどー!」
バタバタしていると、ぺろりんさんが声をかけてきた。
「だいじょうぶだから~おちついて~」
ぺろりんさんにそういわれて、バタバタするのをやめた。
ぼくとデーブには、ぺろりんさんの舌がしっかりまきついていて、まっくらな空間をどこかに向かっている。
さっき便器の中に入ったけど、ここはトイレの管じゃないみたいだ。
だって、水は流れていないし、くさくもない。
だいたいトイレの管って、人がとおれるほどふとくないはずだ。いったいここはどこなんだ?
まっくらな中、遠くに小さなあかりが見えた。
それがだんだん近づいてきて、すっぽーんと外に出た。
目の前がいっぺんにあかるくなってまぶしい。
「うっ、ここは?」
だんだんあかるさに目がなれてまわりを見たら、ぼくの家のトイレにいた。
よこには気をうしなったデーブがいる。体はぜんぜんぬれていない。
「くんくん」
体のにおいをかいでみたけどくさくない。
やっぱり、トイレの管じゃないふしぎな空間をとおってきたようだ。
「とうちゃく~。なんどか~きたことがあるから~すぐにこれたよ~」
「ねえ、ぺろりんさん、ぼくたちはどこをとおってきたの?」
「よくわからない~」
やっぱりこれも「よくわからない~」なんだ。
「じゃあね~」
ぺろりんさんは去っていった。
「デーブをぼくのへやまでつれていかないとな」
ぼくは、そーっとトイレから出て、今、外から帰ってきたばかりのふりをして、お母さんに声をかけた。
「帰り道で友だちが気持ちわるくなったから家までつれてきたんだけど、トイレで気をうしなっちゃったんだ。ぼくのへやで休ませたいんだけど、てつだってくれる?」
「あら、たいへん。ベッドによこになってもらいましょ」
お母さんとぼくとでデーブをへやまではこび、ベッドにねかせた。
あんなに重かったデーブだけど、おとながいっしょだとかんたんにはこべた。
「目がさめたらおしえてね。あったかいココアを入れてあげるから」
そういって、お母さんがへやから出ていった。
ベッドにねているデーブを見ながら、ちょっとかんがえてみた。
ぺろりんさんって、いったいなんなんだろう? ぺろりんさんは、じぶんは妖怪じゃないっていってるけど、ぼくから見たら妖怪だ。
だいたいぺろりんさんは妖怪がどんなものかわかっているのかな?
でも、ぼくたちだって妖怪っていうものがよくわかっていなくて、じぶんたちが理解できないものを妖怪っていっている気がする。
ぼくたちからぺろりんさんを見たら妖怪で、ぺろりんさんからじぶんを見たらちがうんだろうな。
そういえば、ぺろりんさんはぼくはぼくっていってたな……。
つづく




