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トイレのぺろりんさん  作者: 田中たんばりん
第1話 ぼくとトイレのぺろりんさん
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10/18

ぼくとトイレのぺろりんさん10

キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン!

しゅうぎょうのベルがなった。

みんなそれぞれグループになりながら帰っていく。

でも、デーブだけはひとりでのっしのっしと歩いていく。


ぼくは、お礼をいうためにデーブのあとをつけた。

しずくがぺろりんさんと出会であった公園のよこまできた時、ちょうどまわりにだれもいなくなった。


「よし、今だ!」


ぼくがデーブに近よると、デーブが公園の中に入りトイレのほうに向かっていった。


「あれ? おしっこでもしたくなったのかな?これはこれでチャンスだ。トイレでふたりきりになれるから、ほかの人に見られなくてすむぞ」

ぼくも公園の中に入っていった。


挿絵(By みてみん)


雨森あまもりに話しかけられてあののろいのしたのことを思い出したおれは、公園のトイレにいってみることにした。


あれから何年もたつけど、こわくて公園のトイレには一度もいっていない。あの舌はどうしているだろう? 気になるな。見に行ってもだいじょうぶだよな。

そういえばあれって、今みんながウワサしているべろんってヤツなのかな? それも気になるな。


デーブがトイレに入っていった。ぼくもあとからついていく。

デーブは個室のほうを気にしているようだ。

うんちがしたいのかな? だったら、もらしちゃうとわるいから、さっさと話をすませちゃおう。

人に対する気使きづかいがたいせつだとお父さんもいっていた。

ただ、お母さんが、お父さんの気使いはよくからまわりするっていっていた。


「あの……、出井いでいくん」ぼくはそっと声をかけた。


「ふん?」デーブがふりむいた。


「あ……」


うっ、こわっ。しんぞうがバクバクする。

でも、だまっちゃダメだ! お礼をいわなきゃ! よし、いうぞ!


「……き、きのうは助けてくれてありがとう。じゃあ!」


よし、おわった! いそいで帰ろう! さあ帰ろう! すぐ帰ろう!

お礼をいいおえたぼくは、ダッシュでトイレから出ようとした。……でも、つまづいてコケた。


「だあっ!」

ドテッ!


挿絵(By みてみん)


「いて~」


「きのうって、おれ何かしたか? ふん!」


デーブが話しかけてきた。見あげるとデーブの顔が目の前にあった。ひょえーっ!


挿絵(By みてみん)


「うわわわ! いやいや、べつにそんなたいしたことじゃ……」


あわてて立ちあがろうとしたけれど、思っていたよりも強くひざをうったのか、うまく立てなくてしりもちをついた。


ドスン!


挿絵(By みてみん)


「あいた! いたたた~。あー、ズボンやぶれちゃったよ。お母さんにおこられるかなあ。困ったな」


「たれる~だいじょうぶ~」

そこにぺろりんさんの舌が、しんばいそうに便器から出てきた。


「ぎゃーっ! 出たーっ! ふんがふーん!」


とつぜん、デーブがさけび声をあげた。


挿絵(By みてみん)


「だ、だれにもあのことは、いってないよ! いってないから! のろわないで! ふふん!」


デーブは大さわぎをしている。

ぺろりんさんの舌を見てびっくりするのはわかるけど、こんなにさわぐことはないんじゃないかな?

よく見ると、さわぐというよりもこわがっている感じだ。


「やめてー! やめてー! ぶわわーん!」


ついにデーブは泣き出した。

はな水をたらしながら、大泣きしている。

いったいどうしたんだろう? ぺろりんさんって、そんなにこわかったっけ?


挿絵(By みてみん)


「出井くん、おちついて」


「ぶわーん! 助けてー! ぶわわっ!」


はな水をまきちらしながら、デーブがぼくにだきついてきた。

デーブの怪力かいりきにぼくはしめあげられる。


挿絵(By みてみん)


「ぐ、ぐるじ~……」


「助けて、ぶわーん!」


助けてほしいのは、ぼくのほうだ。

デーブにしめあげられ、じたばたしていると、ぺろりんさんの舌がデーブをちょんとつっついた。


「力を~ぬいて~」


「ぶわぎゃーーん!」


ぺろりんさんにさわられて、ものすごいさけび声をあげたデーブから力がぬけた。

どうやら、デーブは気をうしなったみたいだ。


ぼくは、ぜんぜん動かないデーブにおしつぶされている。

デーブの怪力にしめあげられるのもくるしいけど、デーブにおしつぶされるのもくるしい。

力がぬけた人間ってこんなに重いんだ。すごいなあ……。

いやいや関心かんしんしているばあいじゃない。このままじゃ、いきができない。


挿絵(By みてみん)


「だ、だれか、だずげで~」


すると、それまで重くのしかかっていいたデーブが急に軽くなった。


「たれる~だいじょうぶ~?」


ぺろりんさんの舌がデーブを持ちあげて、ぼくの上からどかしてくれた。


「助かったあ。ぺろりんさん、ありがとう」


「どういたしまして~」


「んしょっと」

体についたどろをはらいながら、ぼくは立ちあがった。


デーブにお礼もいったし、家に帰ろうかと思ったけど、気をうしなったデーブをこのままにしてはおけない。


「どうしよう。ぼくの家につれていくにしても、デーブをぼくひとりじゃはこべないし……。う~ん、困ったな」


「まかせて~」

ぺろりんさんの声が聞こえた。


挿絵(By みてみん)


つづく

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