第2話 出会い その1
気がつくと、私は自然の中に立っていた。
辺りを見渡すと一面に木々が生えていて、何かの動物らしき鳴き声がこだましている。
自分の腕を自分で切ってその瞬間に感じた「痛み」に恍惚とするあまり止血が間に合わなかった私は、今世で死んでしまった。
その後、白い空間で目を覚ました私は、その白い空間で聞こえた【凛とした女性の声】から、私は【ある世界】へと飛ばす。と告げられた。
今、私がいるこの世界が、その【ある世界】なのだろうか?
私は、まず辺りを見渡し自分がどんな場所に居るのか把握する事に気を取られるあまり気づいていなかったが、一瞬視界が暗くなって気づいたことがある。
「あれ?瞬き・・・出来てる・・・」
白い空間で目を覚ました時の私は身体の無い、魂だけの存在で、目も、瞼も無いから何らかの力で""視界が暗くなる""事はあっても、目を瞑る事は出来なかった。
でも、今は目を瞑っている感触がしっかりとある。
続けて、両手で頬を触ってみた。頬を手で触る感触が、これもまたしっかりとある。
つまり、私はきっと新しい身体を得たのだろう。
きっと、あの【凛とした女性の声】の力で・・・
そういえば、あの【声】、私の本来の肉体は火葬で消えちゃったけど、なるべく近い形で構築する。・・・みたいな事言ってたけど
実際、わたしの今の姿・・・どうなってるんだろう?
あと、気のせいかちょっと寒い気がするけど、これは木々の先に見える湖のせいだろう。
「ちょうどいいや、あの湖に体を写して、私がどんな姿をしてるのか確かめようっと」
私は少し歩き、湖の畔に着いた。畔に着いた私は
そのまま湖へと歩き、水面に自分の姿を写した。
「あ・・・あれっ・・・?」
まず、顔が視界に入った。元の私より少し成長している様な気がする・・・が、それより首から下だよ!
「わ・・・私・・・服着てない・・・・・・?」
いや、水面だとボヤけるから服を着てないように見えてしまったのかもしれない。
そう思った私は、今度は自分の肉眼で自分の体がどうなっているか見てみたけれど・・・・・・
下着すら着けていない、正真正銘の全裸だ。
幸いにも、周りに私以外に人はいないみたいだから、裸で過ごしても問題は無いのかもしれないけど
それでも、さすがに裸で外を彷徨くのは、ちょっと・・・いいや!・・・かなり気が引ける!
私は【痛み】に興奮するだけで他の感性は一般的だと自負している。
だから、羞恥心はちゃんとあるし、決して変態的な事が好きな訳では無いのです。
私はせめて胸と下を隠す為に使えそうな大きめの葉っぱを探す為に森の中に戻ろうとしたら・・・・・・
湖の上に動物が立っているのが見えた。
「あれ?さっきまであそこ・・・何も・・・・・・」
次の瞬間
私の背中に感じた事の無い衝撃が走った
鈍器で指を叩き複雑骨折にしてみた時の数倍もの痛み・・・・・・
即ち、私にとってはとてつもない程の快感だ。
「こ・・・これ・・・す・・・・・・す・・・・・・すごく・・・!気持ち良い―――!!!」
私は思わず昇天しそうな快感に悶えた。
私は衝撃を感じた背中の状態を興奮を抑えながら手で確認してみた
「あ・・・あれ?・・・ひひっ・・・あ・・・穴・・・空いてない・・・・・・??」
目を下に向けて自分の胸を見ると砲弾で貫かれた様な空洞が空いていた。
私はそのまま背中から身体に開いた空洞に手を突っ込んだら、ぴしゃぴしゃと、流れ落ちる血が手に掛かる感触がした。
「へへっ・・・私って・・・・・・本当に不死身になったの・・・か・・・な・・・?めっちゃ血出てるんだけど・・・・ま・・・また死んらわなひ・・・?えへっ・・・へへっ・・・」
身体を貫かれた痛みが気持ちよすぎるあまり、呂律が回らなくなっているが、また""死んでしまう""のは本当に困る。
だって、死んでしまっては、この【快感】も感じられなくなってしまうのだから。
「あ・・・あれ?なんか・・・モゾモゾして・・・・・・」
突然、体の中で何かが急激に動き出す感覚を覚えた。その瞬間―――――――
ぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅうっっっ!!
胸に開いた空洞が物凄い速さで塞がってしまった
「す・・・凄ーい!な・・・治った!!」
まるで、魔法みたいに損傷した身体が一瞬にして完全に再生してしまったのだ。
「本当に・・・不死身になってる・・・・・・ふふっ・・・しかも・・・【痛み】はちゃんと残ってる!えへへっ・・・お・・・お願いした通りに作ってくれたんだぁ・・・あの人・・・・・・」
「ちょっ!ちょっと待ってよ!なんで私の領域に人がいるんだよ!し・・・しかも・・・裸で・・・!!」
背後から誰かの声が聞こえた。
「へぇ・・・?」
今の私は痛覚に浸るあまり、羞恥心で身体を隠すという思考が薄れたままフラッと振り返った。
「へへっ・・・だ・・・誰れすぅ・・・?」
冷静になると、めちゃめちゃ恥ずかしい有り様だけれど・・・これが私と、師匠の・・・初対面の瞬間なのです。




