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7-10


 今日は少し寝坊をしました。


「朝ご飯冷蔵庫にあるからね」


 アミラさんにそう言われましたが、食欲が湧きません。


「どうした?具合でも悪いのか?」


 山田さんが私の顔を覗き込みます。


「そういう訳じゃないけど……何ていうか、できれば色んな人に相談したいなって」

「昨日のことか?」

「それもだけど、三日月さんの安否も気になるし……」

「じゃ、集められるだけ集めるか」


 スマホを手にした山田さんは、あっという間に人を集めてしまいました。山田さんの行動力が羨ましいです。


 集合場所は図書館の奥の、誰も来ないけど椅子とテーブルが置かれているとても静かな場所でした。


「これで全員かな」


 集まったのは松岡くんとみやちゃんと姫ちゃん、それと自警団のメンバー二人でした。


「松岡くんには話してるけど、まずはみんなに話しておかないといけないことがあるの」


 私は、隣に住んでいた芝原さんの行方が分からなくなったところから芝原の奥さんと私の父が同級生だったこと、その奥さんと父が同窓会の火事で亡くなったこと、奥さんが黒姫さんのモデルらしいこと、その同窓会には沙那ママやにいなママも居たこと、そして沙那ママ達の様子が今おかしいことを話しました。


「あと松岡くん、友達四人最後の一人も分かったよ。堂本くんの親戚だった。松岡くん結構前に堂本くんの様子を気にしてたこともあったよね。あれ沙那さんを心配してたんだと思う。元々知り合いみたい」

「なるほど、世間って狭いね。田舎だからかな?」

「それと、これは昨日分かったことなんだけど」


 昨日黒木さんに会ったことと話したことを、黒木さんが目撃された黒姫さんの姿と似ていることも含めて話しました。


「つまり、ウェーブ髪の黒姫さんはその黒木さんなんだね」


 自警団の人がメモを書く手を一旦止めます。


「あと、昔の火事は沙那さんや三日月さんの母親達のイタズラが原因だと思ってる感じかな?」

「証拠とかはないですけど」

「ちょっと待って待って。姫、頭悪いから良く分かんないんだけど、みかっちのお母さんが人殺したっていうのはそのイタズラをしたからってこと?」

「自警団としてはあまりオカルトの情報を混ぜたくないんだけど、三日月さんが変だと感じた理由はそこにあるのかもしれないね」


 姫ちゃんは頭を抱えてしまいました。


「それでなんですけど」


 みんなの顔色を伺いながら、私は話を続けます。


「やっぱり今は三日月さんの安否の確認をしたい。何ていうか、上手く説明できないんだけど、凄く危険な立場になっちゃってる気がするの。知念くんとか王子くんとかなら知ってるかもしれないけど、そもそも姫ちゃんすら会えてないし。他に心当たりがあれば」

「みや、知念くん病院で見かけたよ」


 ぱっとみんなが一斉にみやちゃんを見ました。


「みやのお父さん、一昨日やっと退院したんだけど、その時に知念くんが病院の玄関近くうろうろしてたんだよね。結構長い時間居たみたいなんだけど、受診しに来たとか付き添いって感じでもなかったんだよね」

「病院か」


 ずっと黙っていた山田さんが呟きます。


「お前、お母さんに渡すものあったよな。渡しに行くついでに病院捜してみるか」


 姫ちゃんが急に表情を変えました。


「えっ、もしかしてお母さん入院してたりするの? ごめん、大変な時に姫のことで付き合わせちゃって」

「気にしないでよ。お母さんもあと一週間くらい? で退院できるみたいだし、私も三日月さんが心配だから」

「病院、れおれお捜すんなら姫も付いていって良いかな」

「山田さん、大丈夫かな」

「任せろ。私がアミラを言いくるめる」


 山田さんがスマホを手にして自信たっぷりに言いました。


「佐倉さんの話はそれで全部かな」

「一応もう一つ。前におかしくなった友達が居るって言った時の子なんですけど、その子からメッセージが届いたけれど本人と直接会った時に知らないって言われちゃって」

「それって、ハルちゃん?」


 みやちゃんが不安そうな顔をします。


「うん。メッセージが送られてきた時間、ハルちゃん習い事だったみたいなこと言ってたから乗っ取り? とかいうやつかなって山田さんと話してて」

「それどんなメッセージだった?」


 急に自警団の人の声がピリつきます。


「それは……一言だけ「今どこにいる」って。ハルちゃんっぽくないメッセージだから変だなとは思いましたけど」

「……佐倉さん、前髪に着けてる白い花のヘアピンっていつも着けてるの?」

「へっ? はい……夏休みになってからは割と着けてます」


 唐突に関係なさそうな質問をされて戸惑います。話を逸らされたのかと思いましたが、自警団の人の顔は真剣なままでした。


「実は、花を玄関とか目立つ場所に置くのは、白い花の髪飾りをした子を捜しているモノに教えるための道しるべらしいんだ」

「えっ……え、え?」


 反射的にヘアピンを手で隠してしまいました。


「だっ、誰が捜しているんですか?」

「それは分からない。捜されてる子が佐倉さんなのか別人なのかも分からないけど、しばらくはそのヘアピンを外した方が……そのヘアピン貸してくれないかな」

「返してくれるんなら」


 白い花のヘアピンを渡します。


「他の人も白い花のものを着けないで。念の為にヘアピン以外もしばらくは避けて欲しい。花が不自然に置いてあるのを見かけたら見えない所に捨てて。これはもうすぐ何とかできるとは思うけど、それまでは気を付けて欲しい」

「分かりました」

「他に何かある人はいるかな。君とかはどうだい?」

「僕は、今のところはないかな」

「じゃあ、今回はこれで解散ということで。色々と有益な情報をありがとう」


 自警団の人達は颯爽と去って行きました。残された私達は別に運動もしてないのに、疲れ果ててしまったようにしばらく動けませんでした。


「みやのあげたヘアピンのせいでごめんね」

「ヘアピンのせいじゃないよ。目印になれば何でも良かったんだよ」


 少し休んでから私達も図書館を後にします。松岡くんとみやちゃんとは、ここでお別れです。



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