第二十一話 納言さんと同好会の夏休み 前日
「夏休み中って、活動はないんですか?」
そんなメッセージを送ったのは、八月に入ってからのことだった。
私の所属している、詩歌同好会のチャットだ。
スマートフォンを持ってぼーっとしていると、既読が二つついた。
「おっ、既読ついた。誰だろ?」
少しすると、一つメッセージが届いた。
公任:確かに、活動が少ないのはつまんないよねー
四条だ。
四条は、みんなで盛り上がりたいタイプだから。
たぶん、もっと活動をしたいのだろう。
私は、クスッと笑った。
Michinobu:もっと増やしてほしい?
四条道信先輩が、四条をからかっている様子が見えるようだ。
私は、ふふっと笑みをこぼした。
公任:このメンバーで遊びに行きたい!
わっ、いいね。
この四人で遊びに行ったことは、まだない。
詩歌同好会で、どこかに行ってみたい……!
私は、「いいね!」のスタンプを送る。
なぎ:遊園地とか行きたいです‼︎
Michinobu:詩歌とは関係ないよ?
公任:逆に、詩歌に関係あるところってどこ?
確かに、詩歌に関係のあるところは、近くにあるかな?
私は、マップのアプリでなんとなく検索をかけた。
まずは、この間みんなで話した「逢坂の関」。
蝉丸をはじめとしたたくさんの人たちが詠んでいて、滋賀県大津市にある。
おっ、京都駅から三十分くらいで着くじゃん。
なぎ:逢坂の関なら、三十分で行けます!
公任:いいじゃん!
世尊寺行成:いいですね。僕も探してみます。
ここで、世尊寺登場だ。
公任:大覚寺とかも、一時間以内に行けそう
Michinobu:行くとしても、一つだけだよ?
チャットは、思いの外盛り上がった。
その後、色々と話し合った末、私たちは逢坂の関に行くことにした。
みんなの予定の合う、一週間後に。
ドキドキ、と胸が高鳴った。
このメンバーでの、初めての外出。
少しだけ、緊張する。
私服を見られるのは、少し恥ずかしい。
私たちは、思い思いにチャットを閉じた。
一週間後に、ワクワクしながら。




