エピローグ
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霊廟を出ると、夕暮れの光が六人を迎えた。
入口で待っていたリディアは、先頭を登ってくるエドガーの姿を見つけた瞬間、表情をぱっと明るくする。
「エドガー様……!」
思わず駆け寄る。
あと一歩で抱きつきそうになって、はっと我に返り、騎士らしく一歩引いて頭を下げた。
「ご無事で……本当に、ご無事でよかったです。」
「心配をかけました。」
エドガーは穏やかに微笑んだ。
その横で、シフォンが腕を組む。
「それはもう、ご無事ですよー。」
「私たちだけ戦わせて、ご本人は最後にいいところだけ持っていきましたから。」
「シフォン。」
ロザリアが笑顔のまま肩をぽんと叩く。
「その続きは、後ほどですわ。」
「……はい。」
シフォンは口を尖らせた。
◇
野営地を撤収し、一行は王都への帰路につく。
帰りの馬車は、ターケシ、シフォン、ロザリア、フィリア、エドガー、リディアの六人。
さすがに少し狭い。
「ご主人様。」
シフォンが当然のようにターケシの膝へ座ろうとした。
「ここなら――」
「却下です。」
ロザリアが即座に止める。
「ターケシ様はお怪我をされているのですよ。」
「うぅ……。」
「隣へどうぞ。」
「……はい。」
しぶしぶターケシの隣へ腰を下ろすシフォン。
ターケシは苦笑するしかなかった。
しばらく馬車が揺れたあと。
エドガーは静かに頭へ手を伸ばす。
「皆さん。」
髪を覆っていたかつらを外す。
現れたのは、美しい金髪だった。
「改めまして。」
「エルドラシア王国第二王子、アルフォンスと申します。」
馬車の中が静まり返る。
沈黙を破ったのは、やはりシフォンだった。
「どこまで舐めプしてたんですか?」
「シフォン!」
リディアが思わず拳を振り上げる。
「王子殿下になんという口の利き方を!」
拳骨を落とされるかと、シフォンは頭を押さえる。
「だって本当じゃないですかぁ……。」
アルフォンスは苦笑した。
「返す言葉もありません。」
馬車の中に小さな笑いが広がる。
王族に対する口の利き方をシフォンは少しは学んだのだった。
◇
数日後。
王宮。
アルフォンスから正式に感謝の言葉が贈られた。
「此度の霊廟調査、および神話級魔物討伐の功績を称えます。」
ターケシたちは感謝状を受け取り、さらに報酬として金貨二百枚が入った袋を手渡される。
ずしり、と重い。
フィリアが袋を見つめてぽつりと言う。
「金貨二百枚。」
少し考えてから、
「……私たちを買った時の、ちょうど十組分ですね。」
場が静まり返った。
「あっ……。」
フィリアはようやく空気に気づく。
ターケシは苦笑しながら袋を受け取った。
「そうだな。」
「今は、仲間四人分の報酬だ。」
シフォンはにこっと笑う。
ロザリアも優しく微笑み、アルフォンスとリディアも頷いた。
霊廟での長い戦いは、ようやく幕を閉じた。
神話の因縁も、王家の宿命も、そこに眠っていた兵士も。
すべては静かに土へ還り、霊廟はようやく本来の静寂を取り戻した。




