神話の戦い
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紫色の光が一際強く脈打った。
光は渦を巻き、骨を集める。
一本。
また一本。
無数の骨が絡み合い、積み重なり、やがて一つの姿を形作った。
その姿に、誰もが息を呑む。
「……巨人。」
十メートルはあろうかという巨大な骸骨。
異形。
だが、この霊廟には、あまりにも似つかわしい存在だった。
フィリアが静かに呟く。
「まさか……。」
ターケシは視線を逸らさない。
巨人族。
神話の時代、神々と争ったと伝わる種族。
魔王を頂点とする悪魔族と並び、人ならざる力で世界を揺るがした一族。
神々に仕えた時代もあれば、神々へ牙を剥いた時代もある。
最終戦争で滅びたとも、地下へ姿を消したとも伝えられている。
さらに思い出す。
この地を治めた白聖王家。
その初代王は巨人族の姫を妃に迎えたという伝承があった。
天の神々へ祈りを捧げながら、地の巨人族を祖として祀る王家。
百五十年前に王国へ滅ぼされたあとも、この霊廟だけは墓所として残された。
だからこそ。
この霊廟で死霊が現れた。
王国が調査隊を送った理由も分かる。
噂はすぐに広がる。
「白聖王が蘇る。」
「神々の怒りだ。」
そんな話を放置できるはずがない。
だが。
誰も知らなかった。
霊廟のさらに地下で、本当に眠っていたものを。
ターケシは苦笑した。
「なるほどな。」
巨大な骸骨を見上げる。
「神話の巨人族の残滓か。」
肩を回しながら、小さくぼやく。
「こっちは異世界人。」
「はぐれ者の獣人。」
「滅ぼされた貴族令嬢。」
「エルフ。」
「……代理戦争もいいところだ。」
もちろん、その愚痴に答える者はいない。
紫色の眼窩が燃え上がる。
巨大な骸骨が、ゆっくりと剣を持ち上げた。
神話の残滓と、異世界から来た男。
長い時を越えた戦いが、静かに幕を開けた。
◇
「みんな、聞け!」
「敵は十メートル。怖いのは大きさじゃない。」
「リーチだ。それと、遠心力の乗った剣の一撃。」
「正面で受けるな。十分に引きつけて、余裕を持ってかわす。」
巨人を指さす。
「だが、あれは骨だ。」
「十メートルあっても重さは二トン程度。大きな熊と変わらん。」
「しかも二足歩行だ。」
「脚は柱だ。」
「一本崩せば体勢が乱れる。もう一本を崩せば倒れる。」
「倒れたら終わりだ。」
「頭蓋の奥にあるコアを、一気に叩く。」
三人を見渡す。
「最初から倒そうと思うな。」
「避けろ。」
「動け。」
「足を狙い続けろ。」
剣を肩に担ぎ、小さく笑う。
「……さあ。」
「熊退治だ。」
「倒しても肉は食えんがな!」




