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再探索

https://51577.mitemin.net/i1189760/

野営地へ戻ると、誰もが深いため息をついた。

水を飲み、煤を払い、ようやく全員が腰を下ろす。

エドガーは全員の顔を見渡した。

「まずは負傷者の確認を。」

幸い、重傷者はいない。

ロザリアの魔法とターケシたちの奮戦のおかげだった。

しばらく沈黙が流れる。

その静けさを破ったのはターケシだった。

「調査を続けるかどうかは、皆さんで決めてください。」

「俺から言えるのは一つだけです。」

全員が視線を向ける。

「地下に、スケルトンを生み出した原因が隠れている可能性があります。」

「放置すれば、また同じことが起きるかもしれません。」

それだけ言うと、ターケシは口を閉じた。

判断は自分の仕事ではない。

その姿勢だった。

すると技師ミリアが立ち上がる。

「……すみませんでした。」

肩を落とし、小さく頭を下げる。

「私が壁に触らなければ……。」

ターケシは首を横に振る。

「気にするな。」

「遅かれ早かれ、誰かが起動させていた。」

「だからロザリアには、魔力を温存してもらっていた。」

ロザリアも小さく頷く。

「あの一撃は、そのためでしたの。」

技師ミリアは少しだけ表情を緩めた。

今度はマティアス司祭が口を開く。

「……私は、正直申し上げて動揺しました。」

神官の拳が静かに握られる。

「しかし。」

「死者をこのような形で弄ぶ者がいるのであれば、見過ごすことはできません。」

「地下を調べるべきだと考えます。」

学者ベネディクトも静かに続ける。

「同感です。」

「霊廟は歴史そのものです。」

「それが何者かに利用されているのであれば、学者として看過できません。」

赤髪の女騎士リディアは腕を組んだ。

「私が懸念しているのは一つ。」

「全員の安全です。」

ターケシたちを見る。

「……もっとも。」

「あなた方の働きは、私の予想をはるかに超えていました。」

「護衛としては、十分信頼できます。」

再び沈黙。

全員の視線がエドガーへ集まる。

彼は眼鏡を外しかけ、すぐに手を止めた。

(私は、何度も王宮を空けるわけにはいかない。)

(だが……。)

(このまま引けば、真実は闇に埋もれる。)

彼はゆっくり顔を上げた。

「……調査を続行します。」

「マティアス司祭、ベネディクト殿の意見に私も賛成です。」

そしてターケシを見る。

「ターケシ殿。」

「護衛及び戦闘に関する現場判断は、あなたに一任します。」

ターケシは静かに頷いた。

「了解しました。」

その一言で、役割は明確になった。

学者は真実を探す。

神官は魂を弔う。

騎士は人々を守る。

そして冒険者は、誰よりも危険な最前線を切り開く。

九人は野営地で装備を整え直し、改めて霊廟へ向かった。

入口には、焼け焦げたスケルトンの骨が黒く散らばっている。

内部にはまだ焦げた匂いが残っていたが、昨夜までの不気味な気配は消えていた。

エドガーが全員を見渡す。

「探索を再開します。」

「最も怪しいのは、スケルトンが大量発生した祭祀場です。」

「ですが、まずは地上部分の安全を完全に確認しましょう。」

誰も異論はなかった。

ターケシも頷く。

「見落としがあるかもしれません。」

「一つずつ潰していきましょう。」

隊列は前回と同じ。

先頭はシフォン。

灰色の耳をぴんと立て、鼻を小さくふんふんと鳴らしながら慎重に歩く。

その後ろをターケシ。

さらにロザリア、フィリア。

調査隊が続いた。

回廊を隅々まで調べる。

壁を叩く。

床を確認する。

柱の継ぎ目を測る。

しかし、不自然な箇所は見つからない。

広間も同様だった。

石畳は整然と敷き詰められ、壁にも柱にも新しい加工の痕跡はない。

「掘り返された形跡もありません。」

技師ミリアが床へ膝をつきながら報告する。

学者ベネディクトも頷いた。

「少なくとも、この階は建造当時の姿を保っています。」

残るは、最奥部の祭祀場。

九人は再び円形の祭祀場へ足を踏み入れた。

静まり返った空間。

中央には古びた祭壇。

床を丹念に調べていた技師ミリアが、小さく声を上げる。

「……あれ?」

全員が視線を向ける。

祭祀場の中央。

石畳の一枚、その縁だけが、ほんのわずかに浮いていた。

紙一枚ほどの隙間。

注意して見なければ気づかないほどだった。

「ここだけ……違います。」

ターケシはしゃがみ込む。

剣を鞘から抜き、切っ先をその隙間へ差し込んだ。

「少し持ち上げます。」

ぐっ、と力を込める。

重い石が軋む音を立てた。

ギギギ……

石畳がゆっくりと持ち上がる。

その下から現れたのは――

闇だった。

底の見えない深い穴。

ひんやりとした空気が吹き上がり、地下の冷気が頬を撫でる。

シフォンの耳がぴくりと震える。

鼻を小さくふんふんと鳴らしたあと、小さく呟いた。

「……風。」

フィリアも穴の縁へ歩み寄る。

「地下に空間があります。」

学者ベネディクトは息を呑む。

「こんな地下構造は……記録にありません。」

誰も言葉を発しない。

静寂の中、闇だけがぽっかりと口を開けていた。

九人はようやく理解した。

本当の霊廟は、まだ始まってすらいなかった。

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