集合は3日後
冒険者ギルドは、昼時らしい賑わいを見せていた。
依頼書の貼られた大きな掲示板の前で、ターケシたちは腕を組む。
「さて……次はどうするか。」
「今度は、もう少し歯ごたえのある依頼にするか。」
シフォンが掲示板を眺めながら、耳をぴくりと動かした。
「私は、お肉がたくさん手に入る依頼がいいです!」
「……シフォン。」
ロザリアが小さくため息をつく。
「あなた、少しは慎みというものを覚えなさいな。」
「『お肉がいい』なんて、人前で言うことではありませんわ。」
「で、でも、おいしかったですし……。」
しゅん、と耳を伏せるシフォンを見て、フィリアの口元がわずかに緩んだ。
その時だった。
バァンッ!!
ギルドの両開きの扉が勢いよく開かれる。
それまで談笑していた冒険者たちが、一斉に振り返った。
入口に立っていたのは、一人の男。
金糸で刺繍された濃紺の外套。
胸には王家の紋章。
腰には儀礼用の細剣。
顎を上げ、人々を見下ろすような尊大な態度。
ロザリアが小さく息を呑む。
「……王宮の使者ですわ。」
ターケシの耳元で囁く。
男は周囲には目もくれず、高らかに告げた。
「ギルドマスターへ依頼書を達する!」
受付嬢が青ざめた顔で立ち上がる。
「は、はい! ただ今お呼びします!」
慌てて奥へ駆けていく。
間もなく、ギルドマスターが上着を羽織りながら姿を現した。
「これはこれは……王宮より何用ですかな。」
使者は返事もせず、一枚の羊皮紙を広げる。
そして、感情のない声で読み上げた。
「白聖王の霊廟に異変あり。」
ギルド中が静まり返る。
「王宮は調査団を派遣する。」
誰も息をしない。
「冒険者ギルドは、冒険者ターケシ、他三名を基準とするパーティを差し出し、その護衛に当たらせよ。」
ターケシは思わず目を見開く。
「集合は三日後、王宮正門前。」
「以上。」
静寂を破ったのは、シフォンだった。
「わ、私たちですかぁ!?」
思わず自分を指差す。
使者はその声に一瞬だけ視線を向けた。
値踏みするように四人を見回し、鼻で小さく笑う。
そして羊皮紙をギルドマスターへ押し付けるように渡した。
「遅れることのないように。」
それだけ言い残し、踵を返す。
再び扉が開き、閉まる。
重苦しい沈黙だけがギルドに残った。
依頼書を見つめるギルドマスターが、小さく息を吐く。
ほぼ同時に、ターケシも口を開いた。
「「……面倒なことになったな。」」
二人の声が、ぴたりと重なった。




