表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
58/100

プロローグ

https://51577.mitemin.net/i1189151/

闇が、霊廟を包んでいた。

月明かりすら届かぬ石段を、白い影が一つ、また一つと現れる。

かつて人であった骸。

朽ちた剣を握る者。

錆びた槍を引きずる者。

砕けた兜を被ったまま歩く者。

声はない。

骨と骨が擦れ合う乾いた音だけが、静寂の中に響いていた。

霊廟の最奥。

黒い祭壇の上に置かれた一冊の古びた書物。

その頁の隙間から、妖しく紫色の光が脈打つ。

鼓動のように。

呼吸のように。

光が揺らぐたび、霊廟の闇から新たな骸が姿を現した。

誰に命じられるでもなく。

誰に導かれるでもなく。

ただ、その光へと集まっていく。

まるで何かを待っているかのように。

深い森。

獣すら息を潜める夜。

一頭の巨大なオーガが、岩にもたれて眠っていた。

その前に、一人の人影が立つ。

黒い外套に身を包み、顔は深いフードに隠れて見えない。

静かに右手が持ち上がる。

掌から、紫色の光が溢れた。

光は霧のようにオーガの身体へ染み込み、筋肉を脈打たせる。

ゴリ……。

骨が軋む。

筋肉が膨れ上がる。

閉じていた瞼がゆっくりと開いた。

瞳は赤ではない。

禍々しい紫色に染まっていた。

「ガァァァァァッ!」

咆哮が森を揺らす。

木々に止まっていた鳥たちが、一斉に夜空へ飛び立った。

人影は、その様子を黙って見つめている。

そして、小さく呟いた。

「……まだ足りない。」

その声だけを残し、人影は闇へ溶けるように姿を消した。

森には、狂気を宿したオーガの荒い息遣いだけが残っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ