鎮魂の書
ギルドへ戻ると、受付嬢は四人の深刻な表情に驚いたようだった。
ターケシは背負っていた荷物から、黒い革張りの一冊を静かに取り出す。
「廃教会の地下で見つけた。」
机の上に置いた瞬間、受付嬢の表情が凍りつく。
「……これは。」
ギルドマスターもすぐに奥から姿を現した。
本を一目見るなり、顔色を変える。
「誰も触るな。」
低い一言で、周囲の冒険者まで静まり返る。
ターケシは淡々と経緯を説明した。
「地下礼拝堂だ。骨の山の中に埋まっていた。 拾い上げた瞬間、周囲の骸骨が動き出した。 この本を奪おうとしていたように見えた。」
ギルドマスターは黙って頷く。
「……死霊術の媒介だな。」
ターケシはあわてて本から手を離した。
「大丈夫か?おれたち呪われないか?」
ギルドマスターはターケシを見つめる。
「中を読まなかったのか。」
「開けると何か出てきそうだったからな。」
ギルドマスターは少しだけ笑った。
「……冒険者なら売る。 ただの魔術師や盗賊なら隠すかもな。」
本を布で丁寧に包み、封印用の箱へ納める。
「だが、お前は持ってきた。」
ターケシは肩をすくめる。
「俺たちは依頼を果たしただけだ。」
ギルドマスターは受付嬢へ向き直る。
「王都へ緊急報告。 教会にも連絡しろ。 廃教会は封鎖だ。」
「はい!」
受付嬢は慌ただしく走っていく。
その様子を見ながら、シフォンは小さく息を吐いた。
「……あの本、何が書かれてたんでしょうか。」
ターケシは頷く。
「さて。フィリアに心当たりはあるか?」
フィリアは本が運ばれていく姿を見つめながら呟く。
「…鎮魂の書。本来は、危険なものではありません。あれは、魂を世界樹に導く標」
「ではなぜスケルトンが」
「悪用されたからです。」
フィリアの表情は、読めなかった。




