↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奴隷市場から始まる異世界冒険譚―第一部王都編  作者: たーけし
王宮公認闘技大会

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
129/134

決勝戦 アルセイン&エルフィナ 後編前段

「始めッ!!」

カァァァンッ!!

澄み渡る鐘の音が、王都の空へ響き渡った。

次の瞬間だった。

ドンッ!!

シフォンが地面を蹴る。

真っ直ぐ。

一切の迷いなく、エルフィナへ向かって駆け出した。

「最初からエルフィナを狙うか!」

貴賓席でヴォルマンが目を見開く。

「当然でしょう。」

アルフォンスが静かに答える。

「風の魔導士を放置すれば、勝負になりません。」

「なるほど。」

王は楽しそうに頷いた。

「実に分かりやすい。」

一方。

「通さん!!」

アルセインが一歩前へ出る。

王国最強の若手騎士。

その姿は、まさしく王国の盾だった。

「エルフィナ!」

「ええ!」

エルフィナの周囲に風が集まり始める。

「風よ。」

「我が敵を裂き、縛れ。」

観客席がどよめいた。

「あの構えは……!」

「まずい!」

「来るぞ!」

今大会。

エルフィナの風は、幾人もの強豪を戦闘不能へ追い込んできた。

風の牢獄。

一人を封じ。

その間にアルセインがもう一人を倒す。

二人の勝利の方程式。

だが。

「止まりなさい!!」

エルフィナが魔法を完成させる、その寸前。

ロザリアの声と共に、シフォンが急停止した。

「なっ!?」

アルセインが目を見開く。

「ロザリア!! 行って!!」

「ええ!!」

シフォンが膝をつく。

ロザリアが、その背を踏み切った。

「借りますわ!!」

ドォォンッ!!

人の背を踏み台にして跳ぶ。

本来ならば、不可能に近い。

だが。

灰狼族の強靭な肉体と、二人が積み重ねてきた戦いの日々は、それを可能にした。

「飛んだ!?」

「何だあれは!?」

観客席が総立ちになる。

アルセインの頭上を越え、ロザリアが空高く舞う。

その手には、木剣と木盾。

そして。

「炎よ。」

金色の髪が、陽光を受けて輝いた。

「わが敵を焼き尽くせ。」

ボォォォォォッ!!

轟音。

次の瞬間、巨大な炎の壁が闘技場を真っ二つに分断した。

「火魔法だと!?」

「ロザリアは剣士じゃなかったのか!?」

「初めて見たぞ!!」

王都中がどよめく。

「ほう。」

王が目を細めた。

「面白い。」

「隠し玉というやつです。」

アルフォンスが満足そうに笑う。

「隠しすぎではないか?」

「切り札は最後まで取っておくものですよ。」

炎の壁が、アルセインとエルフィナを分かつ。

「エルフィナ!!」

アルセインが叫ぶ。

だが。

その頭上を越えた少女は、炎の向こうへ降り立っていた。

くるり。

前回り受け身。

流れるように衝撃を殺し、そのまま立ち上がる。

木剣を構える。

「あなたの相手は私。」

ロザリアの碧眼が、真っ直ぐエルフィナを見据えた。

「仕留めさせてもらうわ。」

「……。」

エルフィナは目を見開く。

やがて、小さく笑った。

「なるほど。」

「本当に、アルセインが語っていた人とは別人ですのね。」

その頃。

観客席では、ターケシが呆然と闘技場を見つめていた。

「……上手くなったな。」

白聖王家の霊廟。

あの日。

ロザリアは、自分に投げられて空を飛んだ。

そして。

『受け止めてくださいましーっ!!』

などと叫んでいた少女が。

今は、自分の意思で跳び、自分の力で立っている。

「あの子、もう受け止めてもらう必要がありませんね。」

フィリアが微笑む。

ターケシは、ほんの少しだけ寂しそうに笑った。

「そうだな。」

「嬉しいような、寂しいような。」

その言葉をかき消すように。

ガァンッ!!

木剣同士が激突した。

「エルフィナ!!」

炎の壁へ向かおうとしたアルセインを、二本の木剣が阻む。

「行かせません!!」

シフォンだった。

灰色の耳を立て。

二刀を構え。

地下格闘技大会を制した獣人の戦士が、王国最強の騎士の前に立ちはだかる。

「シフォン……!」

「あなたの相手は私です!!」

アルセインは歯を食いしばった。

炎の向こう。

エルフィナは、たった一人でロザリアと対峙している。

四年前。

守れなかった。

そして今。

また。

また、大切な人を守れないのか。

その瞳に、激しい動揺が走る。

獣人の少女は、それを見逃さなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。