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奴隷市場から始まる異世界冒険譚―第一部王都編  作者: たーけし
闘技大会へ 前編

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戦う目的

地下牢。

鉄格子の中。

ターケシ、ガレオスとロザリアだけで話す時間を持った。

三人は藁の上へ腰を下ろした。

ロザリアが真っ先に口を開く。

「あなたという人は……!」

「金貨四百枚なんて!」

「これまでの依頼の報酬を合わせても、とても足りません!」

ターケシは落ち着いたままだった。

「あるだろ。」

「え?」

「王宮公認闘技大会。」

「優勝賞金は金貨千枚だ。」

ロザリアは一瞬言葉を失う。

「で、ですが……優勝できる保証なんて…」

「もし負けたら、あなたが奴隷になってしまいます!」

ターケシは静かに言い切った。

「優勝する。」

短い一言だった。

「ハリントン家復興支援。」

「それがアルフォンス第二王子の約束だ。」

「忘れたのか。」

ロザリアは小さく首を振る。

ターケシはさらに続ける。

「それに。」

一拍置く。

「アルフォンス王子は、黒蛇の件と、ハリントン家の反乱容疑、軍資金横領の調査を進めている。」

「王宮公認闘技大会で優勝する。」

「その時、お前たちハリントン家の無実も明らかになる。」

ガレオスは鉄格子にもたれ、小さく息を吐いた。

「……話さねばなるまい。」

「四年前、ハリントン家は王国への反乱と軍資金横領の罪を着せられた。」

「反乱のために兵を集め、王国の軍資金を私腹を肥やすために横領した――それが王宮から突きつけられた罪状だった。」

ロザリアは俯いた。

「あの日……王宮から使者が来ましたわね。」

ガレオスは静かに頷く。

「無実を訴えた。」

「だが、帳簿も証言も、何もかもが私に不利だった。」

「今になって思えば、あれは最初から仕組まれていたのだろう。」

ターケシが口を挟む。

「赤牙の仕業ですね。」

ガレオスが苦々しく頷く。

「おそらく。そして、赤牙に繋がる者たち。」

「奴らは奴隷売買だけではない。」

「商人、役人、一部の貴族まで取り込み、国中に巣食っている。」

「私が追っていたのは、獣人奴隷売買だった。」

「その過程で、奴らの尻尾の一つを掴んだ。」

「だから消された。」

ガレオスは自嘲するように笑う。

「爵位は剥奪。」

「領地は没収。」

「ハリントン家は反逆者の家として没落した。」

「私は王都へ護送される途中で赤牙に襲われた。なんとか逃げ延び、隠れて生きるために地下闘技奴隷に身をやつした。」

「王都の護衛の抵抗は形だけだった。おそらくは買収されていたか赤牙の手の者にすり替わっていたのだろう。」

「王国では護送中に死亡、あるいは逃亡したことになっているはずだ。」

ロザリアが唇を噛む。

「だから、お父様は……。」

「顔を隠して生きるしかなかった。」

ガレオスは鉄仮面へ手を添えた。

「ハリントンの名は捨てた。」

「ガレオスという一人の奴隷として、この闘技場で生き延びることだけを考えてきた。」

ターケシは腕を組む。

「アルフォンスの話と繋がったな。」

ガレオスがターケシを見る。

「第二王子を知っているのか。」

「ああ。」

「王子は黒蛇と赤牙、そしてハリントン家没落事件の調査を進めている。」

「まだ証拠は集めている最中だが、王子は濡れ衣だったと確信している。」

ターケシはロザリアへ視線を向ける。

「王子が調査結果を公表し、ハリントン家の無実を明らかにする。」

「優勝者の言葉なら、王都の人々も耳を傾ける。」

「だから勝つ。」

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