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『ラウンド1から世界へ。』  作者: 龍崎
第3章 CHRONOS STRIKE PRO LEAGUE

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第11話 大将戦①

ORBIT 10―10 PHOENIX


体力はほぼ互角。


しかし流れは少しずつ変わり始めていた。


開幕直後こそMINATOが押していたが、紅蓮は既にLEXの攻めへ慣れ始めている。連携の癖。距離の取り方。攻めを継続するための選択肢。その全てを試合中に整理しながら戦っていた。


「紅蓮選手、対応していますね」


「ええ。最初のラッシュほど通らなくなっています」


Leonisの牽制がLEXへ触れる。


無理に攻めれば迎撃される。


だからMINATOも少し形を変えた。


さっきまでのように前へ出続けるのではなく、一度距離を置く。Leonisが前へ出れば迎撃し、下がれば追い掛ける。攻めるだけではなく、紅蓮の反応を利用して崩そうとしていた。


コメント欄も試合の変化に気付いている。


『対応してるな』『紅蓮うまい』『MINATOも変えてきた』『読み合い始まった』『レベル高い』


試合は中盤へ入る。


派手なコンボは少ない。


その代わり一回の牽制、一回の前歩き、一回のガードに観客が反応する。ここまで来ると技より選択が見どころだった。


LEXが距離を詰める。


Leonisが止める。


そこで終わらない。


MINATOは止められる前提で次を仕込んでいる。


紅蓮も読んでいる。


だからさらに一手先を考える。


「深いですね」


「二人とも次の行動を読んでいます」


体力差は僅か。


リードしているのは紅蓮だった。


差は本当に少しだ。


しかしその少しが大きい。


追う側は動かなければならない。


だからMINATOが前へ出る。


LEXのダッシュ。


投げ。


紅蓮は抜ける。


打撃。


ガードされる。


下段。


今度は通る。


歓声が上がる。


『うまい!』『入った!』『まだ分からん!』


コンボ。


起き攻め。


再び投げ。


Leonisの体力が削られていく。


試合開始から初めてMINATOが完全に流れを掴んだ。


紅蓮は守る。


だが崩れる。


守る。


また崩れる。


LEXというキャラクターの恐ろしさがそのまま現れていた。


「MINATO選手止まりません!」


「一気に行くつもりですね!」


観客席も立ち上がり始める。


会場の熱気がさらに上がる。


そして最後。


Leonisが暴れた。


LEXが読んでいた。


カウンター。


コンボ。


K.O。


第一ラウンド。


MINATO。


会場が爆発した。


『うおおおお!』『LEXやば!』『MINATOきた!』『開幕戦熱すぎる!』


MINATOは表情を変えない。


まだ一ラウンド。


必要なのはあと一つだ。


しかし席の向こう側にいる紅蓮も変わらない。


悔しそうな顔もない。


焦った様子もない。


ただモニターを見ている。


その姿を見てMINATOは少しだけ笑った。


(そうだよな)


簡単に終わる相手じゃない。


PHOENIXの大将。


長年トップシーンに居続けた選手。


一ラウンド取った程度で崩れるはずがなかった。


二ラウンド目が始まる。


今度は紅蓮から前へ出た。


Leonisの牽制。


前歩き。


LEXの迎撃。


お互いの攻撃が交差する。


さっきまでとは違う。


紅蓮が攻める。


MINATOが迎え撃つ。


会場の空気が再び変わり始めていた。


開幕戦最後の試合は、まだ終わらない。

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