第7話 オーダー発表
PHOENIXのオーダーが公開されると会場は大きく沸いた。
先鋒・朝陽。
中堅・迅。
大将・紅蓮。
伝統の強豪らしい堅実な並びだった。派手な奇襲はない。しかし長年上位を維持してきたチームらしく隙も少ない。
実況席でも考察が始まる。
「PHOENIXは紅蓮選手を大将に置いてきました」
「予想通りですね。リーグ経験、大舞台経験、安定感。その全てを考えれば紅蓮選手以上の選択肢はありません」
「一方で朝陽選手を先鋒に置いたのはどうでしょう」
「そこは面白いですね。若手ですが実力は十分です。勢いを作る役割を任せたのかもしれません」
配信コメントも流れ続ける。
『紅蓮大将』
『やっぱり来た』
『朝陽先鋒か』
『迅中堅嫌だな』
『PHOENIXらしい』
その頃、ORBIT控室ではモニターを囲んで全員がPHOENIXのオーダーを見ていた。ホーム側であるORBITは、このオーダーを確認した上で出場順を決められる。
ACEが画面を見ながら口を開く。
「ほぼ予想通りですね」
「だな」
REIGNも頷く。
「紅蓮大将は全員予想してた」
問題はそこではない。
PHOENIXは奇襲を仕掛けるチームではないが、それでもこの並びには意図がある。
朝陽。
迅。
紅蓮。
三人の名前を見ながらREIGNは少し考える。
「レオンを外してきたか」
その一言で部屋の空気が少し変わった。
確かに事前予想ではレオンが出てくる可能性も高かった。
「温存ですかね」
MINATOが聞く。
「分からん」
REIGNは肩をすくめる。
「でも何か考えはあるだろ」
長年トップに居続けてきたPHOENIXが理由もなくオーダーを組むはずがない。
だからこそ読み切る必要がある。
ACEは画面から目を離さない。
「朝陽選手が鍵ですね」
「同感だ」
ZEROも短く答える。
「勢いを作る役割」
PHOENIXは朝陽で先制し、迅で流れを維持し、紅蓮で締めるつもりなのかもしれない。
だが、それはあくまで予想だった。
結局のところ試合が始まれば分かる。
REIGNは立ち上がるとタブレットを手に取った。
「まあ考えすぎても仕方ないな」
「決まりました?」
ACEが聞く。
「決まった」
迷いはなかった。
「先鋒ACE」
ACEが頷く。
「了解です」
「中堅は俺」
「予想通りですね」
「お前が言うな」
小さく笑いが起きる。
そして最後。
「大将はMINATO」
そこにも異論はなかった。
世界王者。
LEGACY王者。
このチームで最も大舞台に強い選手だ。
MINATOも静かに頷く。
「了解です」
オーダーは決まった。
REIGNはタブレットへ入力すると、そのまま提出ボタンを押す。
数十秒後。
大型モニターにORBITのオーダーが映し出された。
先鋒 ACE
中堅 REIGN
大将 MINATO
会場が一気に沸く。
「ORBITのオーダーも出ました!」
実況の声が響く。
「ACE選手、REIGN選手、MINATO選手!」
「非常にORBITらしい並びですね。奇策ではなく正面から勝ちに来ています」
「そして注目はやはり大将戦でしょうか」
「紅蓮選手とMINATO選手。このカードを期待している人は多いでしょうね」
コメント欄も一気に流れる。
『ACEきた!』
『REIGN中堅』
『MINATO大将!』
『紅蓮VS MINATO見たい』
『開幕戦から熱い』
ステージの向こうから歓声が聞こえてくる。
開幕戦。
新規参入チームORBIT。
その最初のオーダーが決まった。
残るのは戦うだけだった。
ACEは椅子から立ち上がると軽く首を回し、ステージへ続く扉へ向かう。その背中をREIGNたちは見送りながらモニターへ視線を向けた。
先鋒戦。
ACE対朝陽。
CSPL最初のポイントを懸けた戦いが、今始まろうとしていた。




