第6話 開幕戦
CSPL開幕当日。
東京の大型アリーナには朝から多くの観客が集まっていた。日本最高峰のチームリーグ、CHRONOS STRIKE PRO LEAGUE。その新シーズンが今日から始まる。
会場中央の大型モニターには参加十二チームのロゴが映し出され、観客席からは次々と歓声が上がっていた。個人戦の世界大会や五大大会とは違う。ここで問われるのはチームの力だ。
実況席でも開幕ムードが高まっている。
「さあ始まります。CHRONOS STRIKE PRO LEAGUE開幕戦です」
「注目の開幕カードはORBIT対PHOENIX。新規参入チームと伝統の古豪、その対決ですね」
大型モニターに両チームのロゴが映し出されると会場が沸く。
「そしてホームアンドアウェイも発表されました」
「今回ホーム側はORBIT、アウェイ側はPHOENIXです」
観客席が少しざわつく。
CSPLではアウェイ側が先にオーダーを提出する。その後、ホーム側が相手のオーダーを確認した上で出場順を決定できるため、ホーム側が有利と言われていた。
「ORBITとしては良いスタートですね」
「ええ。ただしホーム側は選択肢が増える分、判断も重要になります」
配信コメントも流れ続ける。
『ホームORBITか』
『いきなり有利』
『PHOENIXどうする』
『オーダー気になる』
『神楽シン出る?』
『誰が大将だ』
その時、大型モニターにPHOENIXのオーダーが表示された。
先鋒 朝陽
中堅 迅
大将 紅蓮
会場が大きく沸く。
「PHOENIXのオーダーが公開されました!」
「紅蓮選手が大将ですね」
「やはり来ましたか」
「レオン選手を外してきたのは少し意外ですね」
『紅蓮大将』
『やっぱりか』
『迅中堅きた』
『朝陽先鋒か』
『レオン温存?』
実況席でも考察が始まる。
「PHOENIXとしては紅蓮選手で確実に二十ポイントを狙う形でしょうか」
「十分考えられますね。紅蓮選手はリーグ経験も豊富ですし、大将戦向きの選手です」
場面はORBIT控室へ移る。
モニターにはPHOENIXのオーダーが映し出されていた。
朝陽。
迅。
紅蓮。
予想から大きく外れてはいない。
ACEが最初に口を開く。
「紅蓮選手大将は予想通りですね」
「まあそこは全員分かってた」
REIGNが椅子へ深く座りながら言う。
「問題は先鋒と中堅だな」
ZEROもモニターを見る。
「朝陽先鋒は少し意外」
「勢いを作りたいんでしょうね」
ACEが答える。
「若手ですし、先鋒向きではあります」
MINATOも画面を見つめる。
「迅選手を中堅に置いたのは嫌ですね」
「分かる」
REIGNが頷く。
「どっちにも流れを持っていける」
PHOENIXらしいオーダーだった。
派手さはない。
だが穴もない。
長年上位に居続けたチームらしい堅実な並びだった。
スタッフが部屋へ入る。
「ORBITのオーダー提出まで残り五分です」
全員の視線がモニターへ向く。
ホーム側の特権。
相手のオーダーを見た上で出場順を決められる最後の時間だった。
「じゃあ決めるか」
REIGNの一言で空気が変わる。
CSPL。
ORBIT最初の戦いが、いよいよ始まろうとしていた。




