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『ラウンド1から世界へ。』  作者: 龍崎
第3章 CHRONOS STRIKE PRO LEAGUE

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第3話 大型アップデート

CSPL開幕まで残り一週間。その日、CHRONOS STRIKE公式から一つの告知が投稿された。


【Ver3.2アップデート内容公開】


たった一文。しかし競技シーンは一瞬で騒然となった。SNSでは関連ワードが次々とトレンド入りし、配信者たちは急遽反応配信を開始する。CSPL開幕直前というタイミングもあり、プロ選手たちにとっては今後を左右する重要な調整だった。


ORBITの練習施設でも昼の練習を終えた選手たちがモニター前へ集まっていた。REIGNはソファへ深く座り、ZEROは壁へ寄り掛かりながらスマホを弄り、ACEは既にタブレットでパッチノートを開いている。MINATOも飲み物を片手に隣へ腰を下ろした。


「来ましたね」


「毎回ビビってるな」


REIGNが笑う。


「だって消される可能性ありますから」


「お前はキャラ多いだろ」


「それはそうですけど」


ACEが画面をスクロールする。


「まず弱体化組ですね」


最初に表示された名前を見た瞬間、全員が納得した。


LEX。


現環境最強候補。


五大大会上位常連。


世界中で暴れ続けた怪物キャラだった。


内容は通常投げ後の状況悪化、特殊前ステップ硬直増加、一部コンボ火力低下。SNSでも反応が広がる。


『まあ来るよな』


『怪物終了』


『いやまだ強い』


『逃げられなかったか』


MINATOも苦笑した。


「まあ来ますよね」


「来ない方がおかしい」


ACEが即答する。


「でも思ったより軽いな」


REIGNが言う。


「まだ全然やれそう」


続いて表示されたのはArthalだった。対空成功時のリターン低下、一部通常技の硬直増加。


コメント欄も盛り上がる。


『王も来た』


『REIGN終了』


『KNIGHTどうする』


『まだ最強だろ』


REIGNは鼻で笑った。


「終わるわけないだろ」


「本人が言うと説得力ありますね」


「触れば分かる」


ZEROも小さく頷く。


「まだ強い」


短い一言だったが全員同意だった。


さらにFrostにも調整が入り、環境上位キャラが順番に下方修正されていく。


そして。


強化組。


ここから空気が変わった。


神楽シン。


その名前が表示された瞬間だった。


中段技発生高速化。


コンボ火力上昇。


一部必殺技硬直減少。


OD技性能向上。


ACEが黙る。


REIGNも黙る。


ZEROも画面を見る。


数秒後。


「強くないか?」


REIGNが言った。


「強いですね」


「いや、かなり強いぞ」


ACEも珍しく即答する。


SNSは既に爆発していた。


『おい』


『待て待て』


『神楽シン始まった』


『MINATO強化じゃん』


『LEGACY優勝キャラだぞ』


『やばいだろこれ』


MINATOも思わず笑った。


「思ったより貰いましたね」


「思ったよりじゃない」


ACEが即座に否定する。


「かなり貰ってます」


「ですよね」


「完全に当たり調整」


REIGNも頷く。


神楽シンはLEGACY終盤で投入された切り札だった。そのキャラがさらに強化されたとなれば当然話題になる。


さらにZeus、Leonis、Mirageにも強化が入る。


『Zeus来た』


『Leonis復活』


『Mirage面白そう』


『環境変わるぞ』


『神楽シン上位ある』


競技シーン全体が新環境考察で埋まっていく。


MINATOは神楽シンの項目をもう一度見た。


景虎。


神楽シン。


LEX。


現在の三本柱。


その中で一番恩恵を受けたのは間違いなく神楽シンだった。


「どうする?」


REIGNが聞く。


「触ります」


即答だった。


「まあそうなるか」


「やらない理由ないですし」


ACEも頷く。


「明日から検証ですね」


「今日からだろ」


REIGNが立ち上がる。


「CSPLまで一週間しかないぞ」


その言葉で全員の空気が変わる。


調整を見る時間は終わった。


ここからは試す時間だ。


新環境。


新リーグ。


新たな戦い。


大型アップデートはただ数字が変わるだけではない。勢力図を変え、キャラクターを変え、選手たちの未来を変える。


CSPL開幕まで残り七日。


ORBITは再び対戦台へ向かう。


日本最強チーム決定戦の幕開けが、すぐそこまで迫っていた。

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