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『ラウンド1から世界へ。』  作者: 龍崎
第1章  〜初めての大舞台〜

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第2話 証明

有名配信者SHIROとの対戦から数日が過ぎた。


天野湊の日常は相変わらずだった。昼はアルバイトへ行き、帰宅して夕食を済ませるとCHRONOS STRIKEを起動する。REVOLT JAPANまで残り一か月ほどになっていたが、特別なトレーニングメニューを組むわけでもなく、プロチームに所属しているわけでもない。ただ目の前の一戦一戦に向き合い、少しでも強くなろうと対戦を繰り返していた。


「よし、もう一戦。」


景虎を選択する。


マッチング。


試合開始。


勝利。


再びマッチング。


また勝利。


負ける試合もある。完敗することもある。それでも以前より勝率は確実に上がっていた。対戦を重ねるたびに新しい発見があり、負けた相手から学び、勝った相手からも学ぶ。その積み重ねが少しずつ結果として現れ始めていた。


気付けば勝率は七割を超えていた。


試合の合間にランキング画面を開く。


現在二位。


一位との差はわずかだった。


「ここまで来たのか。」


思わず苦笑する。


ランキングに強い執着があるわけではない。だがここまで来れば話は別だった。最上位帯にいるのはプロ選手、人気配信者、海外勢、大会上位常連ばかり。その中で頂点に立つことには確かな意味がある。


次のマッチングが始まる。


相手は海外の有名プロだった。


使用キャラはArthal【王】。


現環境六強の一角。


万能最強候補。


誰もが認めるトップキャラクターだった。


試合開始。


Arthalは強い。


だが湊は焦らなかった。


景虎で距離を管理し、牽制を置き、相手の癖を観察する。一ラウンドごとに情報を集め、通る行動と通らない行動を整理していく。序盤は互角だった試合も、中盤になる頃には少しずつ景虎側が主導権を握り始めていた。


そして最終ラウンド。


景虎の差し返しが決まる。


カウンター。


コンボ。


壁際。


追撃。


KO。


勝利。


ポイントが加算される。


さらに次の試合。


勝利。


その次も勝利。


そしてまた勝利。


深夜。


何気なくランキング画面を開いた瞬間だった。


「あ。」


思わず声が漏れる。


画面の最上段。


そこに表示されていたのは。


【1位 MINATO】


間違いない。


何度見ても変わらない。


国内ランキング一位。


CHRONOS STRIKEランクマッチの頂点。


「マジか……。」


椅子へ深くもたれながら画面を見つめる。


嬉しくないわけではない。


達成感もある。


だが思ったほど興奮は続かなかった。


「まあ、大会は別だしな。」


自然とそんな言葉が出る。


本音だった。


ランクマッチはランクマッチ。


大会は大会。


ランキング一位だから優勝できるわけではない。


実際に結果を残しているプロ選手たちの方が遥かに凄い。


それでも自信にはなった。


自分のやってきたことは間違っていなかったのだと少しだけ思えた。


その頃。


SNSでは小さな騒ぎになっていた。


『MINATO一位きた』


『景虎で一位はやばい』


『ついに来たか』


『RJ出るんだろ?』


『今一番気になる選手』


『大会未経験なの怖すぎる』


『ランク最強候補』


『本番でどうなるか見たい』


期待する者。


疑う者。


興味を持つ者。


反応は様々だった。


だが共通していることが一つだけある。


MINATOという名前が少しずつ広がり始めていた。


同じ頃。


配信中のSHIROもランキング画面を見ていた。


「うわ、本当に一位になってるじゃん。」


コメント欄が一気に流れる。


『RJ期待』


『ダークホース』


『大会で見たい』


『無名じゃなくなったな』


『景虎一位はすごい』


SHIROは苦笑しながら頷く。


ランクマッチだけなら証明は終わった。


間違いなくトップクラスだ。


問題はここから先。


観客。


配信。


オフライン。


緊張。


独特の空気。


大会にはランクマッチとは全く別の難しさがある。


「まあでも。」


SHIROは笑った。


「面白くなってきたな。」


REVOLT JAPANまで残り一か月。


無名の挑戦者だったMINATOは、少しずつ注目選手の一人になり始めていた。


その頃、当の本人はというと。


「腹減ったな。」


コンビニで買ってきたカップ焼きそばにお湯を注ぎながら時計を見ていた。


ランキング一位。


SNSの話題。


周囲の期待。


そんなことより今は夜食の方が重要だった。


だが本人の知らない場所で、REVOLT JAPANへ向けた注目は確実に大きくなり始めていた。

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