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『ラウンド1から世界へ。』  作者: 龍崎
* 第2章 挑戦者、ラスベガスへ向かう

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第21話 敗者復活戦

LEGACY Day3。敗者復活戦が始まろうとしていた。


ステージ裏の待機エリアにはウィナーズ側とは違う緊張感が漂っている。ここに残っている選手は全員が一度敗北を経験していた。そして次に負けた瞬間、本当に大会が終わる。世界最高峰の舞台へ挑む権利も、優勝への道もそこで途絶える。


湊は椅子へ腰を下ろし、静かに水を口へ運んだ。KNIGHTとの激闘からまだ三十分も経っていない。あと一歩だった。勝機は確かにあった。だが届かなかった。しかし悔しさを引きずっている余裕はない。LEGACYはまだ終わっていないのだから。


大型モニターが更新される。ルーザーズブラケットの対戦カードが表示された瞬間、周囲からどよめきが起こった。


【MINATO vs Gabriel Costa】


ガブリエル・コスタ。南米を代表するトッププレイヤーであり、世界ランキング上位の常連でもある。数々の国際大会で結果を残してきた実力者で、現在はLEX使いとしても注目を集めていた。強敵であることは間違いない。それでも湊は自然と笑っていた。世界を目指すなら、いずれ戦わなければならない相手だ。


その頃、会場では実況席による選手紹介が始まっていた。


「皆さん!ルーザーズブラケット注目カードです!」


神谷レンの声に会場が沸く。


「MINATO対ガブリエル・コスタ!!」


大型モニターに両選手の映像が映し出されると、観客席とコメント欄が一気に盛り上がった。


『きたああああ』

『ガブリエルだ』

『負けたら終わり』

『MINATO頑張れ』

『熱すぎる』


白石アキラも真剣な表情で続ける。


「非常に厳しい相手ですね。ガブリエル選手は世界大会でも上位常連ですし、一度流れを掴むと止まらない爆発力があります。」


神谷も頷いた。


「そしてMINATO選手はKNIGHT選手との死闘直後です。肉体的にも精神的にも厳しい状況で迎える試合になります。」


やがて選手入場の時間が訪れる。歓声と拍手の中、ガブリエルは観客へ笑顔で手を振りながらステージへ上がった。国際大会を何度も経験してきたトッププレイヤーらしい余裕がある。一方の湊はいつも通りだった。深呼吸を一つして席へ座り、静かにモニターへ視線を向ける。


ガブリエルが笑いながら声を掛けた。


「Finally。」

「Wanted to play you。」


湊も小さく笑う。


「Me too。」


長い会話はない。だが互いに相手を認めていることは十分伝わった。


キャラクター選択画面が映る。


ガブリエルはLEXを選択した。会場が大きく沸く。


『LEXだ!』

『怪物きた!』

『見たかった!』


そして湊のカーソルが景虎で止まる。


歓声はさらに大きくなった。


『景虎!』

『頼むぞMINATO!』

『勝ってくれ!』


実況席も熱を帯びる。


「さあ来ました!景虎対LEX!!ルーザーズブラケット敗者復活戦です!」


白石は静かに言った。


「ここから先は一試合ごとに優勝候補が消えていきます。だからこそ全ての試合に価値がある。」


ロード画面が表示される。


会場は静まり返った。


コメント欄だけが流れ続ける。


『頑張れ』

『いける』

『MINATO』

『世界を見せてくれ』


湊はレバーへ手を置く。


KNIGHTに負けた。


悔しかった。


だが終わっていない。


決勝で待っている。


あの言葉が頭をよぎる。


ならばここで立ち止まるわけにはいかなかった。


世界一への道はまだ続いている。


カウントダウンが始まる。


3。


2。


1。


FIGHT――。

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