第14話 進み続ける者たち
LEGACY初日。
大会が始まって数時間が経過していた。
会場の熱気は開幕直後よりもさらに増している。至る所で歓声が上がり、その隣では敗北に肩を落とす選手もいる。数千人が参加する大会だからこそ、一つの勝利と一つの敗北が同時に生まれ続けていた。
「さあLEGACY Day1、各プールの進行もかなり進んできました!」
神谷レンの実況が響く。
「既に多くの有力選手が二回戦、三回戦へ進出しています。」
隣の黒崎シンもモニターを見ながら頷いた。
「初日は実力差が出やすい部分もありますが、それでも毎年波乱は起きます。今年も既にシード選手が何人かルーザーズへ落ちていますね。」
チャット欄も盛り上がっていた。
『早すぎる』『もうルーザーズいるのか』『怖すぎる』『LEGACY始まったな』
その頃、湊は二回戦を終えたところだった。
結果は勝利。
これで二連勝。
だが楽な試合ではなかった。
対戦台から立ち上がると自然と息が漏れる。
「お疲れ。」
声を掛けてきたのはACEだった。
「ありがとうございます。」
「結構苦戦してましたね。」
「見てたんですか。」
「近くだったので。」
ACEは少し笑う。
「二ラウンド目、かなり危なかったですよ。」
「自分でもそう思います。」
正直、相手は予想以上に強かった。
国内なら名前も知られていない選手かもしれない。
それでも世界大会へ来るレベルのプレイヤーだ。
弱い相手など存在しない。
それを改めて実感していた。
「まあ勝ったならいいです。」
ACEはそう言うとモニターへ目を向けた。
「それより見てください。」
そこには別プールの試合結果が表示されている。
有名選手の名前。
そして。
敗北。
「え。」
湊は思わず声を漏らした。
見覚えのある海外トッププレイヤーだった。
「ルーザーズですか?」
「はい。」
ACEが頷く。
「毎年こういうことが起きます。」
LEGACY。
改めて恐ろしい大会だと思う。
知名度も実績も関係ない。
その日強かった選手が勝つ。
ただそれだけだ。
一方その頃。
別の配信台では有力選手の試合が行われていた。
「さあこちらは韓国最強パク・ジフン!」
神谷の声が大きくなる。
「今大会優勝候補の一角です!」
チャット欄も反応する。
『韓国最終兵器』『きた』『強すぎる』
試合はわずか数分で終わった。
圧勝。
黒崎も苦笑する。
「相変わらずですね。」
「危なげない。」
「無駄が一つもありません。」
世界四強。
その言葉に相応しい試合だった。
さらに別の配信台。
今度は中国の天才リン・シャオ。
こちらも勝利。
ロシアの皇帝イワン・ペトロフも勝利。
アメリカ王者アレックス・ハートも勝利。
優勝候補たちは順調に駒を進めていた。
「やっぱり強いな。」
湊はスマホで結果を見ながら呟く。
世界四強。
今はまだ遠い存在だ。
だがいつか戦う相手でもある。
そう思うと自然と気持ちが引き締まる。
「見てるな。」
後ろから声がした。
振り返る。
REIGNだった。
「気になりますから。」
「まあ分かる。」
REIGNも結果一覧へ目を向ける。
「でも今はそっちじゃない。」
「はい。」
言いたいことは分かっていた。
まずは自分が勝ち続けること。
世界四強を意識するのは、その舞台へ辿り着いてからだ。
「次だな。」
「次ですね。」
湊も頷く。
まだDay1。
大会は始まったばかりだ。
会場では次々と試合が進行している。
勝者が生まれ。
敗者が生まれる。
数千人いた参加者も、少しずつ数を減らし始めていた。
そしてLEGACYの本当の過酷さは、まだ誰も知らない。




