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『ラウンド1から世界へ。』  作者: 龍崎
* 第2章 挑戦者、ラスベガスへ向かう

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第11話 ラスベガス到着

十時間を超えるフライトを終え、ORBITのメンバーはついにラスベガスへ到着した。


空港へ降り立った瞬間、湊は思わず足を止める。


「でか。」

「だろ。」

「いや、想像より全然でかいんですけど。」

「まだ空港だぞ。」

「嘘でしょ。」


周囲を見回す。人の数も多いし、聞こえてくる言葉も様々だった。英語、中国語、韓国語。何を話しているのか分からない言葉が飛び交っているだけで、海外へ来た実感が湧いてくる。


「完全に外国だ。」

「外国だからな。」

「確かに。」


ACEが吹き出し、ZEROも少しだけ笑っていた。長時間の移動で疲れているはずなのに、全員どこか楽しそうだった。大会が近付いている高揚感は、湊だけではないらしい。


荷物を受け取り空港の外へ出ると、さらに圧倒された。巨大なホテルが立ち並び、派手な看板が視界を埋め尽くしている。日本では見たことのない景色だった。


「うわ。」


思わず声が漏れる。


そして視線の先には、大きな広告があった。


LEGACY。


大会ロゴが街の中心に堂々と掲げられている。


「実感湧いたか?」

「ちょっと。」

「早いな。」

「だって広告出てますよ。」

「毎年出てる。」

「すごいな。」


自然と笑みが浮かぶ。画面越しに見ていた大会が、今は目の前にある。本当にここまで来たんだとようやく実感が湧き始めていた。


ホテルへ向かう車内でも湊は窓の外ばかり見ていた。


「観光客みたいになってますよ。」


前の席からACEが振り返る。


「なってます。」

「認めるんですね。」

「初海外なんで。」

「それは仕方ないですね。」


ACEも笑っている。


「でも明日からは観光じゃないですよ。」

「分かってます。」

「本当ですか?」

「多分。」


その返事にREIGNが笑い出した。


「多分じゃダメだろ。」

「いや、ちょっとくらいは観光気分になりますよ。」

「まあ最初だけな。」


ホテルへ到着すると、ロビーには既に大勢の選手たちが集まっていた。チームジャージ姿の選手、スタッフ、ストリーマー。見覚えのある顔も少なくない。


「あ。」

「どうした?」

「見たことある人います。」

「そりゃいるだろ。」

「いや、本当にいるんだなって。」

「ここLEGACYだからな。」


REIGNの言葉に思わず納得する。


中国トッププロ。


北米の有名選手。


欧州王者。


普段なら配信や大会映像でしか見ないような人たちが普通に同じ空間を歩いている。


少し前まで、自分はそういう選手たちを見上げる側だった。


だが今は違う。


同じ大会へ出場する選手としてここにいる。


その事実が少しだけ嬉しかった。


部屋へ荷物を運び終えた後、湊はベッドへ倒れ込む。移動の疲れはあるが、不思議と眠くはなかった。


スマホを取り出し、Nexを開く。


ホテルの窓から見えるラスベガスの景色を撮影し、そのまま投稿した。


【到着。思ってたより凄い。】


数秒後には通知が鳴り始める。


『きた!』『ついにラスベガス!』『頑張れ!』『応援してる!』『世界獲ってこい!』


コメントを眺めながら自然と笑ってしまう。


数か月前まで、自分は大会配信を見ているだけだった。画面の向こうで戦う選手たちに憧れ、いつかあの舞台へ立ちたいと思っていた。


今は違う。


挑戦する側だ。


勝負する側だ。


世界王者を目指すためにここへ来た。


窓の外ではネオンが輝いている。眠らない街と呼ばれるラスベガスの夜はまだ始まったばかりだった。


そしてORBITのLEGACY挑戦も、ここから始まる。

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