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『ラウンド1から世界へ。』  作者: 龍崎
* 第2章 挑戦者、ラスベガスへ向かう

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第8話 呼び出し

翌日。


REIGNに呼ばれた湊は昼前にORBITの練習施設を訪れていた。急な連絡だったこともあり少し気になっていたが、あの人が細かく説明するタイプではないことは最近になって分かってきた。


『来れるか?』


昨日送られてきたメッセージもそれだけだった。


理由なし。説明なし。実にREIGNらしい。


会議室へ入ると、既にREIGN、ACE、ZERO、SAGEの四人が揃っていた。ORBITへ加入したばかりの頃は緊張していたが、最近は少し違う。同じチームで練習し、食事にも行き、何度も話しているうちに自然と距離も縮まっていた。


「お、来たな。」


REIGNが軽く手を挙げる。


「お疲れ様です。」


「固い固い。」


REIGNが笑った。


「もうチームメイトだろ。」


湊も苦笑する。


「じゃあ、お疲れ。」


「それでいい。」


そのやり取りを聞いていたACEが肩をすくめた。


「REIGNさんの場合、距離感が近すぎるんですよ。」


「そうか?」


「そうです。」


即答だった。


隣ではZEROが小さく笑っている。


「仲良し。」


「お前も最近だいぶ喋るようになったよな。」


REIGNがそう言うと、ZEROは少し考えてから頷いた。


「多分。」


短いやり取りだったが、以前より空気が柔らかくなっているのは湊にも分かった。加入当初は雲の上の存在に見えていたメンバーたちも、今では頼れる仲間として隣にいる。


そんな様子を見ていたSAGEが軽く咳払いをした。


「雑談はそのくらいにしましょう。」


全員が自然と席へ着く。


「LEGACYについて話します。」


その一言で空気が切り替わった。


モニターに映し出されたのは海外トッププレイヤーたちの試合映像だった。北米、ヨーロッパ、中国。世界各地の強豪たちが次々と映し出される。その中にはREVOLT JAPANで戦ったLONGの姿もある。


「改めて見ると凄いですね。」


思わず呟く。


会場の規模も歓声も、日本の大会とはまた違う迫力があった。


ACEが頷く。


「LEGACYは別格です。REVOLT JAPANも大きな大会ですが、LEGACYは世界中のプレイヤーが一年を通して目指す舞台ですから。」


「簡単に言うと化け物だらけ。」


REIGNの一言にACEが呆れたような顔をする。


「その説明は雑すぎます。」


「でも合ってるだろ?」


「否定はできません。」


結局認めていた。


湊は映像へ視線を戻す。


どの選手も強い。


どの試合もレベルが高い。


だからこそ面白そうだった。


REIGNがそんな湊の表情を見て笑う。


「やっぱりな。」


「何ですか?」


「お前、強い奴見ると嬉しそうな顔するんだよ。」


言われてみれば否定できなかった。


不安がないわけではない。海外大会は初めてだし、知らない相手も多い。それでも胸の奥にあるのは恐怖ではなく期待だった。


「楽しみですね。」


自然とそう答えていた。


REIGNは満足そうに頷く。


「その反応なら大丈夫そうだな。」


ACEも小さく笑った。


「MINATOさんらしいです。」


ZEROも短く言う。


「良い。」


SAGEはそんなやり取りを見ながら静かに資料を閉じた。


「その気持ちは忘れないでください。」


会議室が静かになる。


「結果を求めることは大切です。しかし強い相手との対戦を楽しめなくなった時、人は成長を止めます。」


静かな声だったが、その言葉には確かな重みがあった。世界王者のREIGN、トッププロのACE、韓国の精鋭ZEROも黙って頷いている。きっと何度も経験してきたのだろう。強敵と戦うこと、負けること、それでも諦めずに挑戦を続けることを。


ミーティングはその後も続いた。


海外勢の傾向。


現地での調整方法。


移動日程。


大会スケジュール。


初めて聞く話も多かったが、不思議と疲れは感じない。むしろ話を聞けば聞くほど実感が湧いてくる。


世界が近付いている。


ラスベガスが近付いている。


そして何より、自分がそこへ挑戦できる場所に立っている。


ミーティング終了後、湊は休憩スペースの窓から外を眺めていた。東京の街並みはいつもと変わらない。それでも自分の見ている景色だけは少しずつ変わり始めていた。


大会未経験だった挑戦者は、今やプロチームの一員として世界最高峰の舞台へ向かおうとしている。まだ世界大会にも出ていない。世界王者にもなっていない。だが焦る必要はなかった。


目指す場所は決まっている。


あとは前へ進み続けるだけだった。LEGACY開幕まで、残り二週間。世界への挑戦は、もうすぐ始まる。

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