第17話 あと二勝
REVOLT JAPAN最終日。
開場前にもかかわらず会場周辺には長い列ができていた。観客、配信者、メディア、海外ファン。その全員が同じ目的でここへ集まっている。REVOLT JAPAN王者誕生の瞬間を見届けるためだ。会場内の大型モニターには最終日のトーナメント表が映し出され、ウィナーズ側とルーザーズ側に残った選手たちの名前が並んでいる。そして開演時間を迎えた瞬間、公式配信が始まり、会場は大歓声に包まれた。
「皆さんお待たせしました!!REVOLT JAPAN最終日です!!」
実況の朝倉翔太が叫ぶと、観客席から大きな拍手が巻き起こる。
『きたあああああ』
『最終日!』
『待ってた!』
『優勝誰だ!』
コメント欄も凄まじい勢いで流れていた。
「いやぁ村瀬さん!ここまで本当にあっという間でした!」
「レベルが高すぎますね。今年は特に面白い大会になっています。」
解説の村瀬一樹も頷く。
「それでは最初の試合です!ウィナーズ準決勝!」
会場の照明がゆっくり落ち、大型モニターに選手紹介が映し出された。
【MINATO】
大会初出場。ランクマッチ一位。今大会最大の話題を集める挑戦者。
【SHADOW】
若手トッププロ。新世代を代表する実力者の一人。
紹介映像が流れると観客席から歓声が上がった。
『きた!』
『MINATO!』
『SHADOW強いぞ』
『楽しみ!』
「さあ来ました!話題のMINATOです!ここまで無敗!」
朝倉の声にも熱が入る。
「正直ここまで勝ち上がるとは思いませんでした。ただ、もう実力は証明しています。問題はここからですね。」
村瀬が静かに言う。
スポットライトの中、二人の選手が入場する。SHADOWは慣れた様子で席へ向かい、MINATOもまた落ち着いた表情で対戦台へ座った。初出場とは思えないほど自然な姿だった。
「若手対決ですね。」
「ええ。新時代を担う選手同士の戦いです。」
キャラクター選択画面が映し出される。
MINATOは景虎。
会場から歓声が上がる。
そしてSHADOWはRaiden【雷神】を選択した。
「出ました!Raidenです!」
朝倉が叫ぶ。
「爆発力最強クラス!一瞬で試合を終わらせることもある超攻撃型キャラクターです!」
『うおおおお』
『神カード』
『景虎VS雷神』
『楽しみすぎる』
カウントダウン。
そして試合開始。
開幕と同時にRaidenが前へ出た。凄まじい速度で距離を詰め、一気に攻勢へ転じる。SHADOWらしい攻撃的な立ち上がりだった。
「攻める!攻める!SHADOW選手止まりません!」
だが景虎は慌てない。ガードし、観察し、相手の動きを確認する。そしてわずかな隙を見逃さなかった。差し返しが決まり、カウンターから高火力コンボへ移行する。
「入ったぁぁぁぁぁ!!」
会場がどよめく。
景虎の連撃によってRaidenの体力が一気に削られていく。
『うまい!』
『景虎!』
『MINATO!』
「やはり対応力ですね。」
村瀬が頷く。
「試合中に情報を集めて修正する能力が非常に高い。」
そのまま第一ラウンドはMINATOが先取した。
しかしSHADOWもトッププロだった。
第二ラウンドが始まると流れは一変する。Raidenの怒涛のラッシュが景虎へ襲い掛かり、読み合いで押し切られたMINATOの体力が一気に消し飛ぶ。
「SHADOWだぁぁぁ!!」
実況席も総立ちになる。
KO。
一対一。
会場の熱気は最高潮に達していた。
最終ラウンド。
景虎とRaidenが向かい合う。
観客席は静まり返り、誰もがモニターへ視線を向けていた。
数秒。
互いに様子を見る。
そして同時に踏み込む。
差し合い。
読み合い。
攻防の応酬。
どちらも一歩も譲らない。
「どっちだ!?」
朝倉が叫ぶ。
次の瞬間だった。
景虎の中段がヒットする。
カウンター。
そこからコンボへ繋がり、起き攻め、投げの択、さらに読み勝ちを重ねてSHADOWを追い詰める。
会場の歓声が大きくなる。
そして最後。
景虎の正拳突きがRaidenを捉えた。
KO。
【WINNER MINATO】
一瞬の静寂。
その直後、会場が爆発した。
「勝ったぁぁぁぁぁ!!」
観客席が総立ちになる。
拍手。
歓声。
どよめき。
『つえええええ!』
『MINATO!!』
『また勝った!』
『本物だ!』
『優勝あるぞ!』
コメント欄も止まらない。
村瀬は思わず笑みを浮かべた。
「強いですね。本当に強い。」
朝倉も興奮を隠せない。
「MINATO!ウィナーズ決勝進出です!!」
会場の歓声はしばらく鳴り止まなかった。
大会初出場。
ランクマッチ一位。
誰も知らなかった挑戦者は、今やREVOLT JAPAN優勝候補の中心に立っている。
残る試合はあとわずか。
世界への切符を掴むまで。
あと二勝だった。




