95. 虚構の凱旋
投稿が遅れてしまって申し訳ありません(汗
ちょっと更新停止する事になりました。
もしよかったら活動報告を読んで下さると幸いです。
「悠馬お兄さん! 突然どうしたんですか!?」
「あぁ、ちょっとな……」
悠馬達は今しがた来たばかりの道を、猛スピードで戻っていた。
説明もなしに走り出した悠馬の後を、全員が追うように走る。
「この感じ……ユーマ!まさか!」
「あぁ、ドルの感じてる通りだ。また出たんだよ【赤い矢印】が——」
「えっ! それって!」
アリスの疑問に答える間もなく、悠馬の視界に再び白虎が映る。
「——やっぱりか」
先ほどと違うのは、白虎は既に立ち上がっており、臨戦態勢に入っているということだ。
前傾姿勢のまま、真っ直ぐに悠馬たちを視界に捉え、毛を逆立てている。
「奴さんやる気まんまんって感じだね……と、いうか」
「ヴィ、何か気付いたのか?」
「気付いたってわけじゃないけど、……さっきとは場所が違わないかい?」
「なにっ!?」
ヴァレンタインに言われ、改めて周囲を見渡す。
先ほど対峙した時にあった建物が、今はどこを見ても見当たらない。
「何をごちゃごちゃ言っとる! 今一度ぶった斬ってやればよかろう!」
ドレイヴンは大剣を構えつつ、白虎を眼前に捉え、今にも飛び出しそうな雰囲気だ。
「いや、ちょっと気になることがある。考えを整理するから少し待ってくれ」
————
「悠馬様、そろそろ……」
「あぁ、そうだな」
時間にして数分、その間も白虎はこちらを捉えたまま動かない。
「やっとか!」
「お父様ズルいです! 次は私の番です!」
「アリス、今回はドルに任せたい。と、いうか確認したいこともあるしな」
どっちが倒すか揉めていたガードルド親子をたしなめ、悠馬はドレイヴンに近づく。
「ドル、よく聞いてくれ。さっきと同じ力で白虎に斬り掛かってほしい」
「ん? 先ほどと同じ事をやればよいのか?」
「そうだ。そしてもし、倒すことが出来なかった場合は即撤退だ!」
「回復しただけで同じネコであろう? 万が一にも仕留め損ねる事なぞ——」
「ドルッ! いいから俺の言うとおりにしてくれ」
いつもとは様子の違う悠馬に、ドレイヴンも一瞬たじろぐ。
「うむ。お主がリーダーだ、その通りにやろう」
「ありがとう。皆はいつでも撤退出来るように準備を頼む」
悠馬の指示に各々が準備を整える。
そして、ドレイヴンが大剣を構え直した所で号令がかかる。
「よし! ドル行ってくれ!」
「おうよっ!」
ドレイヴンは一直線に白虎へと向かって突進する。
自身の間合いに入って来たドレイヴンに対し、白虎は咆哮で応える。
――オオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!
ビリビリと空気が振動し、悠馬達の身体を震わせる。
ドレイヴンは先ほどと同じように飛び上がり、大上段から大剣を振りかぶる。
誰しも同じ結果になると思ったその時——。
——ガキンッ!
白虎がその鋭い爪でドレイヴンの一撃を跳ね返す。
強烈な反撃を受け、ドレイヴンは後方へと飛ばされる。
「このクソネコがぁ……」
着地に成功したドレイヴンはそのまま反撃に入ろうとするが、悠馬の声に引き止められる
「ドル! 撤退だ!」
「しかし!」
「しかしじゃない! いいから言った通りにするんだ!」
「クソッ! 次は仕留めてやるから待っておれ!」
悠馬の指示通り、ドレイヴンは後退し全員と合流する。
「よし! 予定通り撤退だ、行くぞっ!」
再度、来た道を戻る。
その後姿を白虎は追いかけるでもなく、ただ見つめていた。
————
「悠馬お兄さん、どこまで走るんですか?」
「このまま安全地帯まで戻る、当初の予定通りにって感じだ」
「了解です!」
しばらく走っていると、こちらへ向かって走ってくる速水の姿が見えてくる。
「えっ!? 今度はまた戻って来るだと! 何なんだあんたら!」
「速水くん! 俺達は今から安全地帯まで戻るから!」
「えっ!? えっ!?」
「じゃっ! そういう事で!」
すれ違いざまに浴びせられた言葉。
速水は戸惑いつつも、踵を返し悠馬達の後を追うように走り出す。
「なんなんだよぉーもぉーー!!」
速水の叫びを背中に感じつつ、悠馬達は安全地帯へと急ぐ。
————
「おぉ、悠馬! いま戻ったのか? 遅かったじゃないか」
「淳か……すまない少し遅れた」
悠馬たちが安全地帯に戻った時、他の3チームは既に帰還した後だった。
情報を共有するため、悠馬の元へ全チームが集合する。
「さて、情報のすり合わせをしようか。まずは——」
「まぁ、待てや。ワシら『バーニングオクトパス』から行かせてもらおか」
「やけに自信満々だな。まぁ、大体想像はつくが……」
「聞いて驚くんやないで! 南に進んだところにな、鳥がおってん! デッカイ火の鳥や!」
木森は大げさに両手を広げ、身振り手振りでボスを表現する。
「……だろうな。で、どうしたんだ」
「ふっふっふっ。実は——ぶっ倒してやったわ! どや! 驚いて声も出ぇへんって感じか!?」
ドヤ顔の木森を他所に、悠馬は両手を腰にあて下を向いている。
坂元と火神は——。
「ちょっと待たんかい! ボス倒したのが自分だけやと思ったら大間違いやで!」
「いや、それならば我々『聖天の双翼』の話も聞いてもらおうか!」
どうやら各チーム全てがボスと討伐したのであろう、それぞれリーダーが我先にと話はじめる。
その時、悠馬が3人の間に割って入る。
「まぁ、待て! 俺の話を聞いてくれ! 大事なことなんだ」
「何やねん、しょーもない話やったら許さへんで!」
「えーっと、まず俺の推測なんだが——」
悠馬は南に『火の鳥』、北に『巨大亀』、東に『青い龍』が居た事を言い当てる。
そして、それぞれが討伐してしまったと。
「なんでわかったんや! ウチまだボスの話してへんで!」
「そうだ! 我々が倒した敵の姿がなぜ悠馬にはわかるんだ?」
「俺達が接敵した相手が白い虎、すなわち『白虎』。そして木森が戦ったのは多分『朱雀』、——こうくれば後は想像がつく」
「——四獣か」
「淳、正解だ」
「分かったからってなんやねん! ワシらはボスを既に倒したん——」
「——蘇ってる」
木森の言葉を遮るように悠馬は事実を伝える。
「俺達もボスを討伐した。だが、その後元いた場所に戻るとボスが復活してたんだ」
「なんだと……! それで再度戦ったのか?」
「あぁ、もちろんな。ただ初回と同じ攻撃内容では倒せなかった……あと、場所が少しだけ移動していた」
「だから何やねん! もっかい倒したったらえぇやろがい!」
「せやね! 復活せんくなるまで繰り返しや!」
「それもそうなんだが……。悠馬、何か気になる事があるんだろ?」
淳に促され悠馬は言葉を続ける。
「あぁ。ボスは討伐するたびに『強く』『近く』なる……憶測だがな」




