2. 落とし物と窓口の騒動
今日は3話一気に公開いたします。残りは20時に公開予定です。
悠馬は主を倒した後に出現する、ダンジョン脱出用のポータルを起動させる。
肩には意識のない女騎士を担ぎ、脇にはメイドを抱え、ポータルへと足を踏み入れる。
地上へ転送されると、その足のままダンジョン管理局へと向かった。
「……よお、望海。今日の分だ」
ドサリ、とオーガの角が入った素材袋を窓口に置いた。
続けて、その横の空きスペースに2人をそっと横たえる。
受付嬢の高梨 望海は、端末を叩きながら顔を上げた。
「あ、悠馬お帰りー。 お疲れさま。……って、えっ!? ちょっと待って、何それ!?」
望海は身を乗り出して、意識のない2人の装備を2度見した。
それはこの世界の金属とは明らかに違う、眩いほどに磨き上げられた純白色の甲冑――プラチナプレートだった。
「見て分からんか。落とし物だ。10層の主の部屋に転がってた」
「落とし物って……人じゃない! ちょっと悠馬、これどういうこと!? 迷い込んだ探索者? それとも――」
「さあな。年に1度はあるんだろ、こういうのが」
「まあ、そうだけど……。でも最近の発生率はちょっと異常だよ。昨日も別の支部に騎士が降ってきたらしいし」
望海は慌てて救急キットをカウンターの下から取り出す。
「でも、こっちからすれば貴重な即戦力なんだよね。異世界の人って基礎能力高いから、そのまま探索者登録するケースが多いし。……で、どうするのよこれ。人は落とし物センターじゃ預かれないよ?」
「……チッ。管理局の保護施設は?」
「今、転移者でいっぱいで半年待ちらしいよ」
悠馬はボリボリと面倒そうに頭を掻いた。
その時、悠馬の視界で【青い矢印】が強く明滅する。
矢印は意識のない2人を指し、そこから悠馬の自宅がある方角へと力強く伸びる。
「……『矢印』が連れて帰れって言ってるな。……これ、絶対面倒なことになるやつだろ」
悠馬はぽつりとつぶやく――その時、純白色の甲冑がカチャリと音を立てた。
「……ぅん、ここは……」
女騎士が、苦痛に眉を寄せながら意識を取り戻した。
その隣でメイドも身を震わせ、瞬時に主の前に這い寄る。
「アリスお嬢様! ……貴方達、何者です。ここは牢獄……?いや、違いますね……ただ、先ほどまでの場所とは違うようですが」
鋭い眼光が悠馬達を射抜く。
望海は「ひぇっ」と声を上げて震えた。
「俺か? 通りすがりの案内人だ。……望海、悪いがこいつらの身元が割れるまで俺が預かる。手続き、適当に回しとけ」
「えぇ!? 悠馬、勝手すぎ――」
背後の叫びを無視して、悠馬は半ば強引に2人を促し、ロビーを後にした。
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悠馬の「矢印」、便利ですよね。でも本人は面倒くさがりというギャップ。続きを応援してくださる方は、ぜひブックマーク登録をお願いします!




