犬頭の王様は黄昏を越えた未来で何時でも明日を夢見ていられるか⑳
こうして、九界で繰り広げられていたとある物語の再演、世界を懸けた戦いは終わった。
間違いなく、これまでの全てで。誰か一人、何か一つ欠けていれば。きっと、この結末に辿り着くことが出来なかっただろう。
「ベオ様。ニザウェリルの鷹野様より此処と同様に九界、並びに外界において。現在その全てで、巨人の活動停止、そして崩壊を確認した、との事でございます」
「って、事は。つまり、さ」
「うん、私たちの勝利、という事だね」
「・・・やりました、やりましたわね!」
スルトが完全に倒れると同時に、周囲で包囲を狭めつつあった巨人の群れは一斉に活動を停止して、その身体はまるで初めから幻であったかの様に崩壊していく。
今、俺たちの傍には、スルトに相対していたみんなに加えて、既に三上、オルターも集まっていて、更にはニヴルヘイムの防衛線側に、今は小さいが、此方へと向かって来る防衛部隊の姿が見える。
聞けば、スルトが巨人を呼び寄せ、前線の圧力が下がった際に。此方の援護を行う為、三上に代わって前線を指揮していたシロウが、援護の為に皆を率いて逆侵攻し、その後背を討っていてくれたのだという。
更に見れば、彼らの中にはターミナル配備であったタクミを含む警備局の面々も確認出来て、やはり何か一つでも欠けていれば、この結果には辿り着けなかったのだと。
数時間ぶりにバァルの鎧を解除して、肌で風を感じ、匂いを感じながら、そう俺は考えていた。
「ええ、本当に良かった。私たち、皆でやり通したのです!」
「ふふ、これこそ正に、後に語られる英雄たちの戦い、というものだ。その場にこの身が在った事、後々までの語り草となるだろうな」
喜んでいるみんなの顔が見える。絶望的な戦いを経て、誰一人失う事が無かったという奇跡に。何よりも、自分たちには未来が、明日が在るのだという事実に、誰の表情も明るく、輝いている。
きっと、それは事実で、少なくとも今、この勝利は紛れも無い事実である。
だから俺は、見逃しても良かった。気付かないフリをして、見ないフリをしていても良かったのだ。
そうすれば多分、何か影響があるとしても、それこそ俺たちが気が付きもしない、暫くは後の事。輝かしい勝利に浮かれる今に比べると、そんな後の事なんて、どうでも良いはずだ。
他の世界で在った事と同じく、ソレをソレと気が付かないまま。今回の様に辛く悲しい事も無く、何の不思議とも思う事も無いまま、静かに訪れるソレを迎える。
ソレは今、この場に居る人たちと、ソレまでの間に。
幸せなまま、何も知らないままで居られる事を俺が優先したとしても、誰からも非難される事もなく、気が付かれる事も無く。
だから俺は、ソレを別に、無視していても良かったのだけれども。
『それでも、お前は行くのだな』
「うん、だって」
内に響くソォルの声に応えながら、俺に宛てられた、ベルからの伝言を思い出す。
それはきっと、最後に俺が何を選択するのかという事をあいつは分かっていて。呆れながらも、その背中を押す為に、残してくれた道だから。
何より俺なら、そんな馬鹿みたいな選択を選ぶのだと、そう信じてくれていたという事だから。そう思うと何だかくすぐったくて、笑えてしまい。
そして何故だろうか。それを俺は、ちょっとだけ、誇らしく感じている。
「どうしたんだ、ベオ?」
勘の良い彼女の事だ。今の間に何でもないようにふるまっていたが、きっと、何処か俺の様子がおかしな事に気が付いたのだろう。
それだけで、少しだけ自分の選択を後悔してしまい。だけどそれは、間違いなのだと識っている。
だから言葉で誤魔化す代わりに、自分がそうしていたいという事もあって、俺は黙ったまま、彼女の小さな体を抱きしめた。
「・・・本当に、どうしたんだ?ベオ」
抱きしめた体は、少しではあるが以前と比べて大きく感じられた。
それは彼女にちゃんと、この街での時間が、人生が在って、その中で彼女自身が人間として、少しずつだが確かに成長しているという事で。
これからも、ゆっくりと時間を重ねて、アリスは間違いなく、素敵な女性になっていくのだと。そういう未来が待っているのだという、そんな嬉しくなる証。
だから俺の選択で、これから。
今までの様にその傍にいて、一人の大人に成長していくアリスの未来を見守る事が出来ないという事実を、少しだけ寂しく想うから。
「なあ、アリス。一つ、君にお願いが有るんだ」
「・・・え?」
その言葉に、アリスは反射的に強く、俺の服の端を掴む。多分、俺の言葉に、平静を装って取り繕う顔に、何か不穏なモノを感じ取っているのだ。
「大したことじゃないよ。うん、きっと俺がこんな事をお願いしなくても、君はこれからも。君らしく生きていく事が出来る。だって君は今だって、何時だって素敵な女の子なんだから」
「いや、だ。いやだ、ベオ。お前、何を言って、どうして、そんな、あの時のお母さんみたいな顔を、瞳を、しているんだ」
安心してもらえる様に微笑んで見せようとするがどうにも、どうしても上手くできない。俺は今、歪んだ笑顔で取り繕い、酷く滑稽な顔でいるのだと、鏡で確認しなくても分かる。
「・・・ごめん。ごめんな、アリス。だけど、俺はやっぱり馬鹿だからさ、こういう方法しか思いつかなかったんだよ」
「なんで、何をするって、いうんだ」
ああ、本当に俺は馬鹿だ。アリスを不安で泣かせて、この後にきっと、他の皆にも悲しい想いをさせて、後始末もしないまま、迷惑をかけてしまう。
しかもその理由は、結局俺がそれを許容できないという、納得出来ないという、そんな我儘からで。
「いやだ、いやだ!何処かに行かないで、私の傍にいてよ!ベオ!!」
ああ、これ以上は駄目だ。もう、耐えられない。
縋りつく彼女を、初めて自分から引き離した。俺の、最後の言葉を伝える為に。
それは今度は約束ではなく、一方的なお願いで。だからこそ、履行されなくとも問題は無い。だけど、一応の区切りとしては相応しいだろう。
そんな最後に、こんなみっともない顔を見られたくはないから、俺は再度、バァルの鎧を身に纏う。
「バルドルの名の元に、この場に在る全ての者に命ずる。『暫しの間、その足を止めよ』」
俺には全く似つかわしくない王の権能。バァルの権能として引き継いだ、バルドルに連なる者たちへ向けた、九界の王としての絶対命令権。これを行使して、なおも縋りつこうとしたアリスと、その異変に気が付いて此方へと駆けだそうとしていた皆の足を一時的に止めた。
言葉は無くとも、皆の目が語っている。それ以上に、その匂いが痛い程に伝わる。
そこから目を逸らす様にすると、ふと、明るさを感じて地平線を見た。気が付かなかったが辺りはうすぼんやりと明るく、彼方には日の光が差して、世界は夜明けを迎えようとしている。
ああ、そういえば。ベルとの別れから、たった一日しか経過していない。あんなに辛い事が、悲しい別れが在ったとしても、世界は変わらずに続いていく。
だからきっとこの別れが、また迎える夜明けの様に。変わらず続いていく日々の中で、その傷跡がどうか癒えて、出来れば忘れてしまう事が出来る様に。
「ごめん、みんな。俺は、行かなきゃならない。だから、だからさ。皆に、お願いがあるんだ」
出来るだけ明るく、朗らかに。
「此処で、さよならだ。だからみんなは、こんな自分勝手な王様の事なんて、早めに忘れてくれていいから」
ああ、ちゃんと、俺は俺の勝手なお願いを伝える事が出来ただろうか。
正直、自身は無い。ちょっとだけ、言葉の終わりが震えていたような気がする。
それを誤魔化す様に、スルトから転がり出た赤い岩塊。その砕けた心臓の一部、今も活動を止めない匂いの元凶を抱えて飛翔する。
動けなくても、言葉すら無くても縋りつく様に感じる皆の匂いを無視して、振り切った後は、スルトが開いたままの次元の狭間を越えて。更にもう一度越えて、これまでスルトが、黄昏が存在していたこの九界の果て、最下層ヘルヘイムへと辿り着いた。
其処で、俺がベルから伝えられた言葉、ソレを起動するためのキーワードを、この世界との別れの代わりに告げる。
「『之より永遠に、生者と死者は別たれる。即ち死は、永遠の別離となるだろう』」
その言葉に呼応する様に、一つ大きな爆発が起きた。
それは、第九階層に存在する唯一の構造物、観測基地シンモラが自爆した事を意味している。
その爆発と、密かに込められていた術式によって、ユグドラシルの根の先にぶら下がっているだけの小さな異界、ヘルヘイムは繋がりを断たれた。その後は、空を落ちる果実の様に、頼りなく何処までも、世界の間に広がる虚空を落ちていくだろう。
つまり、世界は永遠に別たれたのだ。外界と繋がったままの生者が生きる八つの階層と、ただ一つ、ただ一人の命を内包したまま、何処までも落ちていく棺桶である、そのもう一つとに。
加速しながら、小さな世界は落下していく。
最早、元の世界の気配などは僅かも感じられない。確実なのは、一分、一秒が経る毎に。
つまり今の俺と、俺の愛すべき街。そして、其処に居る俺の愛すべき人達との距離はどんどん離れて遠くなっているという事。
今では、夜空の星の方がずっと近いかもしれない、そんな距離を。俺はそれはきっと良い事なのだと、素直にそう思えた。
後悔は無い。そうするべきだと、始めから分かっていた。
何より俺が、そうしなければならないと、そう納得したから。だから俺は、この永遠の別離を受け入れる。
「まあ、そういう事だ。そろそろ観念して、そのクソったれな面を見せて、何とか言ってみろよ」
目の前に転がる小さな赤い石ころは俺の声に反応したのか、ただの石くれにしか見え無いソレの表面が、脈打つように拍動を始めた。中空に浮かんだ石ころは、ある程度の高さで静止する。そして。
「A、a、亜、あー」
表面に刻まれたヒビが、ばっくりと開いて音を発した。どんな原理でそうなっているのか、何度か確かめる様に音が変化した後、その無機質な音は声になる。
「ドウも、ハジメまして。こと葉は、通じているでしょうか?」
段々と流暢になっていく声は、男にも女にも聞こえた。こんな異形が、これ程に人間らしく、普通に話しかけてくる事が、こんなにもムカつく事だと感じられるというのは初めての発見で、出来ればもう二度と、同じような奴に出会いたくはない。
まあ、こんな所じゃあそんな機会も永遠に無いとは思うけれど。
「私は■■■■■■。貴方が、『黄昏』と呼ぶ存在。この度はどうも、私の不手際にて、皆様に望まれた終焉の再現と完了に至る事が出来ず、誠に申し訳ございません」
「・・・まあ、そんなとこだろうと思ってたさ」
いきなりの謝罪は、皮肉でも憎まれ口でもない。直接その本体と対峙して、ようやくコイツの匂いが良く分かる。
この黄昏は、紛れの無い本心から。何かを出来なくて申し訳ないと、そう考えているのだ。
「はい。貴方の御想像通り、私の使命は遍く全ての世界、其処に存在する全てのヒト型知生体に、速やかな終焉を迎えていただく事にあります。それこそが、私を創造した人々の祈り。そして、本質的に全てのヒトが持っている、根源的な願いなのですから」
人間的に装っているのに、機械的にすら聞こえる声色は、そんな大それた事を言いながら、少しもブレたりしていない。
そんな良く分からない存在に、これまでどれ程の世界と、其処に居た人々が。こんなイカれた石ころに良い様にされて来たというのか。そう考えると、訳もなく腸が煮えくり返る思いになってくる。
「死ぬことが。今すぐにでも滅ぶことが、人の祈りで、願いだって?」
「勿論です。そもそも、ヒト型知生体は、酷く歪で、不完全な存在であるのです」
目の前の石ころは、流暢に人の言葉を話しながら、理解しがたいそんな事を言う。
「何故なら、『ヒトは本質的に死を恐れている』。有限の身体は死を免れないと知っていて、何時かやって来る死を恐れ続けて。いざその死に直面すると、多くはソレを受け入れられず、拒絶して。だというのに抗う事も出来ずに、結局はその生を終える。これ程悲劇的で、哀れな事は有り得ない。これならば、ただ思考無く、反射と本能のみで活動する、微生物の方が遥かにマシであると断言できます」
ああ、そうかよ。テメェには、俺たちがそんな風に見えていたって言うのか。
「私の創造主たる人々もそうでした。避けられぬ滅びに直面し、恐れ、逃げ惑い、どうにかできないかと四苦八苦した挙句。滅びが絶対に逃れられないと理解して、その果てにこう祈った。避けられない終わりなら、逃れられない終焉がこれから訪れるのなら。『せめてソレが、自分たちに理解出来て、受け入れられる事が出来る様なモノ』でありますように、と」
ああ、そうか。そうだったのか。とある世界、其処に在った人々は。自分の首をくくる代わりに、そんな逃避の果てに、こんなモノを創り出してしまった。
「そうして、望む滅びを迎えて、その終焉の淵で。最期に残った誰かが、幸福の中で願ったのです。『どうか、他の世界、他に生きる全ての人々に。我々と同じく理解でき、受け入れられる終焉が訪れる様に。その苦痛ばかりの生に、出来るだけ速やかに、終わりという安心を得られるように』、と」
そんなおせっかいの結果。これまでの永遠に、失った無限。数えきれない程多くの世界が、命が。奪われ、失われる理由も知らないまま消えていった。
「ですから、今回の事はとても残念に考えています。ああ、もう少しで新たな終焉を検出し、その再演の準備が行えたというのに。加えて貴方たちの言う外界を観測した事で、更に多くの人々に終焉をもたらす事が出来たというのに。推定ですが、もうどれ程の時を経たとしても、あの世界へと私は辿り着く事が出来ない。例え奇跡が起きてそれが叶っても、これ程に空間と時間がねじれた世界の狭間を経由したなら、その間に膨大な時間が経過していて、私がそれを成さずとも自ずと世界は滅んでいるでしょう」
それは落胆、というよりは悲哀に満ちた、小さな存在に向ける、そんな哀れみの言葉であった。
「その終わりが引き延ばされてしまった事が、どれ程に苦痛を伴い、どれ程に耐えがたいソレであるか。私の力不足でその終わりを、ただ無意味に長引かせてしまった事が。それを考えるだけで、私は非常に残念だと感じるのです」
表面的な言葉ではなく、黄昏は心から。本当に残念に思っているのだと、ハッキリと匂いで伝わってくる。
ああ、なんだ。言葉にすると馬鹿馬鹿しくて仕方ないが、俺はこれ以上齟齬が無い様に、一応コイツに尋ねてみる事にした。
「つまり、テメェは、『俺たちをちゃんと、さっさと滅ぼしてやれなくてごめんなさい』とでも言いたいのか?」
「その通りです。ご理解いただけたようで、何よりですね」
だらだらと長い話で、何を偉そうに宣うかと思えば。まあ、最初から話が通じる様な存在だとは考えていない。自分から訪ねておいてなんだが、俺はもう、コイツと言葉を交わす事すら億劫に思っている。
「ですが、どうかご安心を。こうして自らの終わりを求め、この空間を訪れた貴方には、確実な終焉をお約束します。この様に言葉を交わして相互理解出来た事も何かの縁。特別に、貴方には口頭にて、望む終焉の再演についての聴取をいたします」
ああ、もう本当にめんどくさい。俺はそんなおせっかいを無視して、スコルとハティの具合を確認した。
バァルの加護を受けて黄金に輝く相棒は、ご機嫌に今からその爪と咢にかけて、めちゃくちゃに引き裂く獲物を待ち望んでいる。
「貴方の終焉はどのようなモノをご希望で?これまでの記録から推察するに、無限の敵対者との闘争の果てに相打ちとなる勇壮で、壮絶な戦死を?若しくは永くそう過ごしていた時を懐かしく思って、ぴったりと体が収まるサイズに調整された容器の中で穏やかに衰弱死する事がお望みでしょうか?」
「・・・ああ、どうだろうな。そんなに俺の望む終わりを知りたいのなら、俺の頭の中でも覗いてみたらどうだ?頼んでもいないのに勝手に人から思考を読み取るとか。そういうの得意だろ、テメェ」
投げやりな俺の言葉に、馬鹿正直にその石くれは淡く光って、俺が望む終焉を、俺の頭の中から探しているようだ。
俺はその間ヒマなので、他の武器の手入れを始めた。
ミョルニル、嵐の招き手、バルムンク、ムナカタ。どいつもこいつもご機嫌で。
『なあ、いい加減このクソ野郎を丸かじりにしてやらないか?』
だなんて、ソォルもバァルと共に、俺に似た口調で気持ちの良い事を言っている。
「在り得ません」
「あ?」
いい加減眠くなってきた時、ようやく石ころは俺の考えとやらを読み取ったようだ。全く、使えないポンコツにも程がある。
「在り得ない、在り得ない。貴方は、死を恐れていない。だというのに貴方は、どのような場合であっても、自ら終わりを受け入れる事が無い」
コイツに人間的な感情に似たようなモノが有るかどうかは分からないが。匂いから察するに、どうやらコイツは、こう思っているのだ。
「貴方は、絶望を知らない。貴方は、諦めを知らない。そんな人間が、ヒト知生体が、存在する筈がない」
『何なんだコイツは、どうなっているのだ』と。
恐らく発生して初めて、自分の解釈では理解できないモノを目の当たりにして、酷く混乱しているのだ。
「まあ、俺まだ一歳だから人生経験浅くて、そういうの疎いんだよ。もういいだろ、つまり俺が自分から、俺の終わりを望む事なんて、絶対に無いのさ」
茶番に付き合うのはもう終わりだ。これから行う事は、只の後始末。
「そんな事も分かんねぇ奴は、これ以上よそに迷惑かけないように。確実に此処でブチ殺す」
ぴたりと目の前の石くれが動きを止めた。ああ、そうだ。きっと、感じているだろう?
「テメェに次は来ない。自分で言っただろ?順番が回って来たのさ」
目の前に立っている俺が、テメェの終焉だと。
「良いでしょう。求める最善が無いのなら、次点を用意して遇するが必定」
石くれが負け惜しみを言いながらどろりと溶けて、そのカタチを変えていく。
「であれば、これまでの終焉にて記録した、数多の終わりの具現化を以て。貴方に終わりを贈ってさしあげましょう」
千変万化していく紅い霧は、次第に明確な容を創っていく。それは過去、何処か、遠い世界で終わりをもたらした存在の影法師。
「上等だ」
さあ、面倒なこいつの言い訳も一応聞き終わった。だからこれからは、単純なお話が始まる。
「幾千、幾万の終焉のカタチ。例えそれが、億だろうが、兆だろうが。それすら越えて、無限無窮の彼方でも」
一つカタチとなった良く分からない羽の生えた人型の顔面に。間を置かずハティで風穴を穿った後、スコルを叩きつける。
「御託は要らねぇ、雁首揃えてかかって来いよ。俺はまだ、此処で生きている・・・!」
俺の始まりの合図に待ちかねたという様子で、勢いよく回転するソーチェーンは派手に紫色の血しぶきを上げて。
大穴が開いても蠢いているその頭ごと、無数の腕が生えた体を真っ二つに両断したのだ。




