友とその死と
「......いるんでしょ、華香?」
織田の陣から北に少し離れたところにある小さな廃寺。そこに足を運んだ優姫は、周囲を見渡しながら鉾を構える。
「......あんたも、一緒に来い」
その声に応え、周囲から黒い煙が渦を巻き、その中から柴田勝家役の戸谷華香が姿を現す。手には、依然と変わらない十字槍。しかし、その恰好は死神そのものだった。
「全身をすり切れた黒いマントで覆ってるなんて、流石の私も服のセンスを疑うわよ?」
「優姫、あたしは既にあたしではない。この肉体も訳の分からない形で接合されている偽り。与えられた能力は全てを殺しつくすという外道。そしてあたしの心は、絶望と虚無に満ちた廃人。もうあんたの知っているあたしではないのだよ」
よろよろと寺の階段を上がりながら華香は話す。
「じゃあ、何で私を呼んだの? 私は確かにあんたからテレパシーっぽいのを受け取ったのよ。この寺に来いって」
「ああ、あたしが呼んだ。しかし、理由はあんたを殺すためだ。他の者に殺されるより、せめてあたしがあんたを堕としてやろうと思っただけよ。そう、あんたもあたしたちと同じ死者の戦士となりやがれ!」
その叫びと共に、華香は階段から飛び降りながら槍を振るう。狙いはもちろん、優姫の頭だ。
「! このスピード、姉川の時とは大違いね!」
身を投げ捨てるように転がりながら間一髪で攻撃をかわす優姫。
「けど、私だってあの時よりは成長しているんだから!」
そして、鉾を高速で振る。
「......甘い」
しかし、華香にあっさりとかわされてしまう。
「言っただろう。もはやあたしは別人だって。もう、あんたと張り合える低いレベルじゃないんだよ!」
「......華香。どうやって生き返ったの? 雷光寺さんから聞いたよ、あんたは織田と三郎の間に挟まれて苦しんだって。そして、どちらも選べないから自殺したって。なのに、なんで『死者の軍勢』っていう織田にも浅井にも敵対する組織に入ったのよ!? これじゃ誰も喜ばないわよ!」
「あたしが、自殺......?」
一気に間合いを詰めようとした華香だが、優姫の言葉に一度動きを止める。
「あたしは、殺されたのだぞ。そして、今はそのものと共に戦っている。奴はまだ生身の人間なのにな......」
「そ、それって。まさか......」
「みなまで言うな。あのずる賢い殺人鬼のことだよ」
諦めた表情をして華香が答える。
「速水陸。竹中半兵衛として召喚された、我が高校きっての腹黒男......」
優姫自身、彼には浅からぬ因縁がある。織田でも浅井でも、彼はやはり敵だと。それも、親友をこんな慣れの果てにさせた張本人だと知らされ、怒りと絶望が込みあがって来るのを彼女は痛感するのだった。
すみません。急に疲れが出てきたものでして。とりあえず、出来る限りで進めます。
里見レイ




