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使命の槍と宿命の刀  作者: 里見レイ
転戦

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記憶、展開、集結

「速水先輩が、何で華香を殺さなきゃなんないのよ!? 第一、あんたたち同じ織田家の人間だっただしょ?」


 華香が物事の根底を覆す発言をしたのに、優姫は動揺を増幅させる。


「さあな。こればかりはまだ聞けていないんだが、あの人の事だ。私を殺すことで浅井に何らかの不利益があったのだろうよ」


「それって、私を怒らせるため?」


「分からない。姉川の後、あたしはあの男に捕らえられ、あの男にあんたの話ばかりされ、あの男に散々悩まされた。あの男は何のためにあたしを助けたのか、全く理解できない。ああ、記憶がだいぶ飛んでいるからあまり思い出せないがこれだけは覚えている。あたしは速水陸に殺されたこと、そしてあの男に悩まされた最期を迎えたという事だ......」


「ねえ、華香。確認だけど、『あの男』ってサブローのこと?」


 華香の攻撃を必死にかわしながら、優姫は尋ねる。


「ああ、姉川で死にかけの私によくわからない情けをかけた変な男の事だ」


「あいつ、華香のことを好きだったと思うんだけど......」


「......よく言っている意味が分からないのだが?」


「あのさあ。雷光寺さんの話を聞く限り、サブローはあんたにゾッコンなのよ。けどあいつ、幼馴染の私を言い訳にして全然あんたに告白もしないでさ。そのすれ違いの結果があんたの自殺だって思ってたんだけど、違うの?」


 戦闘中なのは確かなのだが、華香の反応があまりにも薄いので優姫の気は少し緩む。


「お、思い出せない。何も思い出せない。小谷の城に閉じ込められたという事実とあの男が変に世話を焼いたという事以外、何をあたしが思っていたのかも、何が具体的にあったのかも......」


 振り回していた十字槍を止め、華香は深刻に悩みだした。


「......殺されてから速水さんに記憶を消されたのかしら? まあ、本当に何があったかはあの奥手なアホサブローに聞かなきゃ分かんないけどさ」


 攻撃がやんだので、優姫は頭を動かす。手がかりは少ないのだが、歩からの情報とと三郎、華香の性格を踏まえると両者は想い合っていたという結論になるが、確証は持てない。


「しばらく悩めばいいわ、華香。私はあんたが答えを出すまでちゃんと待ってあげる。それまで、戦闘はお預けね」


 そして、これを好機にと戦線離脱の宣言をする。無益な戦いを、彼女は好まない。


「うう、分からない。思い出せない......」


 華香は返事をせず、ひたすらに悩んでいた。


(華香。あんたには悪いけど、こんなあんたとは絶対に戦うのはごめんだからね。若干苦しい思いをさせるかもしれないけど、それがあんたの為だから)


 そんな華香を無視し、全速力で寺から脱出を始める優姫。と、その時だった。


「全く。東と西の両方で似たように戦うって面倒だわ。私がまとめてあげるから、そこで戦いなさい。その方が、みんながいい戦いをできるはず。貴方もそう思うでしょ、中山優姫さん?」


 突如一人の少女が優姫の前に現れる。桜庭丸を助けた人物、春海だ。


「! だ、誰なのあんた?」


 鉾を即座に構えなおして優姫は聞く体制に入る。


「そうね、貴方たちからすれば黒幕と呼べる立場かしらね」


「......死者の軍団の、統率者?」


「そうではないんだけど。まあ、とりあえず西で戦っている貴方の未来の旦那に合わせてあげるわ」


「? 未来の、旦那?」


「すぐわかるわよ。じゃ、いくわよ。ゲート解放、アナザーコロシアム!」


 優姫の疑問に特に答えるそぶりもなく、春海は指を鳴らす。直後、白い光が彼女を中心に同心円状に広がっていく。


「え? なん、なの......」


 授業の成績は上位級だが、そんな優姫でも起こっていることを理解できなかった。その光は側にいる華香を巻き込み、織田の陣中をも飲み込んだ。

進めるだけ進めます。里見レイ

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